DIR EN GREY欧州ツアー、ドイツにて開幕
去る5月4日、東京・新木場STUDIO COASTでの三夜にわたる追加公演の大盛況をもって、DIR EN GREYにとって今年最初の国内行脚が終了。しかし<TOUR09 FEAST OF V SENSES>と銘打たれたツアーはまだまだ終わらない。それからちょうど1ヵ月を経た6月4日、バンドはドイツに飛び、同日にニュールンベルク入り。翌5日、同地で開催されている恒例のフェス<ROCK IM PARK>に出演し、さらに同7日にはニュルブルクリンクでの<ROCK AM RING>にも登場。この両公演を起点としながら、2007年夏以来となる欧州広域ツアーが開幕した。
<ROCK IM PARK>と<ROCK AM RING>は、双方の都市で3日間にわたって同時開催されている恒例の“姉妹フェス”で、2009年は6月5日から3日間にわたっての同時開催。2009年もSLIPKNOTやLIMP BIZKIT、PRODIGYやMARILYN MANSON、THE KILLERSをはじめとする数多くのビッグ・ネームや注目度の高い新進アーティストたちがジャンルの壁を超えながら多数集結し、DIR EN GREYはクラブ・ステージのヘッドライナーとしての出演となった。
◆DIR EN GREY欧州ツアー、ドイツにて開幕 ~写真編~
彼らにとってこの両フェスへの出演は今回が初ではなく、2005年と2006年には2年連続で参戦。2005年はいわゆるセカンド・ステージにあたるオルタナ・ステージに登場し、2006年にはTOOLやKORN、GUNS N' ROSESと肩を並べながらセンター・ステージに出演を果たしている。今回彼らが立つことになったクラブ・ステージは、この巨大フェスにおいては最小の“第三のステージ”ということになるが、それでも規模はいわゆるアリーナ・クラス。しかもこのステージで1時間の演奏枠が与えられているのは、いわゆる“トリ”を務めるDIR EN GREYだけだ。同ステージの出演者には、たとえば母国アメリカではミリオンセラーの実績を持つBUCKCHERRYも含まれているが、午後7時台に組まれた彼らのステージは35分間。今、もっとも注目を集めている若手バンドのひとつといえるBRING ME THE HORIZONの持ち時間も40分間にすぎない。DIR EN GREYのステージは午前1時を過ぎてからの開演で、他のステージでのすべてのライヴが終了してからということになるが、そうしたポジションに彼らが抜擢されたのは「熱心なファン層を確実に獲得しているバンドとして評価されている」からだと現地の関係者は言う。要するに「観客を帰さないバンド」と見られているわけだ。
この種の海外でのフェスへの出演はDIR EN GREYにとって、日常的とは言わないまでも、もはや特殊なことではない。しかも現地に支持基盤を持っている状態での出演なのだから、これはかならずしも“アウェイ”な状況とはいえないだろう。が、同時にやはり“ホーム”でもない。メンバーたち自身も異口同音に認めていることだが、要するに「フェスには完全に“慣れる”ということがない」というのがひとつの結論でもある。今や百戦錬磨のライヴ・バンドといった形容の似つかわしいDIR EN GREYにとっても、こうしたひとつひとつの機会は相変わらず新鮮な刺激と思いがけない発見をもたらすものであり続けているのだ。
正直なところ、<ROCK IM PARK>での彼らのライヴ・パフォーマンスには、贔屓目にみても通常の彼らの基準からすればベストな部類に入るものとは言い難いところがあったし、結果的にメンバーたちは不完全燃焼なままステージを降りることになったと思われる。実際、リハーサルはおろかサウンド・チェックすら皆無の状況で臨んだライヴではあったし、時計の針が午前2時に近付くにつれ、帰路を急ごうとする観客の姿が目についたことも否めない。が、彼らはそれを言い訳にはしない。そして、結局はそうした経験もまた、バンドをより強靭にし、さらに前進させていくための原動力へと転じることになる。それがポジティヴなものであろうとネガティヴなものであろうと、DIR EN GREYはすべての経験を栄養にしながら前進を続け、“昨日と同じバンド”のままであろうとはしない。このバンドのそうした性質を改めて証明していたのが、それから2日後に行なわれた<ROCK AM RING>での鬼気迫る演奏ぶりだった。
DIR EN GREYにとって、国外のフェスというのはもはや「参加することに意義がある」という次元のものではない。確実にそこに、爪痕を残すこと。それができなければ意味がないと言ってもいいだろう。そしてこの夜、実際にDIR EN GREYのステージを目撃したオーディエンスは、8万人を越える<ROCK AM RING>の全観衆のうち一割にも満たない。しかし、確実に彼らは、約四半世紀もの歴史を持つ由緒正しいこの巨大フェスの歴史に、浅からぬ爪痕を残したと言っていいはずだ。大袈裟に聞こえるかもしれないが、そんなことを口走りたくなるくらい、純粋にいいライヴだったのだ。
今後、このツアーは英国の<DOWNLOAD>をはじめとするいくつかの巨大フェス出演の合間に単独公演を挟み込むようにしながら、6月27日まで継続されることになっている。ツアー終了に至るまでの経過については、今後もおりを見て、新たなトピックを織り交ぜながらお伝えしたいと思う。が、とにかくこの<ROCK AM RING>でのライヴの充実ぶりを実感できた今、僕は確信している。このツアー自体が表面的な意味ではないところでの“成功”に終わるはずだということを。
増田勇一
<ROCK IM PARK>と<ROCK AM RING>は、双方の都市で3日間にわたって同時開催されている恒例の“姉妹フェス”で、2009年は6月5日から3日間にわたっての同時開催。2009年もSLIPKNOTやLIMP BIZKIT、PRODIGYやMARILYN MANSON、THE KILLERSをはじめとする数多くのビッグ・ネームや注目度の高い新進アーティストたちがジャンルの壁を超えながら多数集結し、DIR EN GREYはクラブ・ステージのヘッドライナーとしての出演となった。
◆DIR EN GREY欧州ツアー、ドイツにて開幕 ~写真編~
彼らにとってこの両フェスへの出演は今回が初ではなく、2005年と2006年には2年連続で参戦。2005年はいわゆるセカンド・ステージにあたるオルタナ・ステージに登場し、2006年にはTOOLやKORN、GUNS N' ROSESと肩を並べながらセンター・ステージに出演を果たしている。今回彼らが立つことになったクラブ・ステージは、この巨大フェスにおいては最小の“第三のステージ”ということになるが、それでも規模はいわゆるアリーナ・クラス。しかもこのステージで1時間の演奏枠が与えられているのは、いわゆる“トリ”を務めるDIR EN GREYだけだ。同ステージの出演者には、たとえば母国アメリカではミリオンセラーの実績を持つBUCKCHERRYも含まれているが、午後7時台に組まれた彼らのステージは35分間。今、もっとも注目を集めている若手バンドのひとつといえるBRING ME THE HORIZONの持ち時間も40分間にすぎない。DIR EN GREYのステージは午前1時を過ぎてからの開演で、他のステージでのすべてのライヴが終了してからということになるが、そうしたポジションに彼らが抜擢されたのは「熱心なファン層を確実に獲得しているバンドとして評価されている」からだと現地の関係者は言う。要するに「観客を帰さないバンド」と見られているわけだ。
この種の海外でのフェスへの出演はDIR EN GREYにとって、日常的とは言わないまでも、もはや特殊なことではない。しかも現地に支持基盤を持っている状態での出演なのだから、これはかならずしも“アウェイ”な状況とはいえないだろう。が、同時にやはり“ホーム”でもない。メンバーたち自身も異口同音に認めていることだが、要するに「フェスには完全に“慣れる”ということがない」というのがひとつの結論でもある。今や百戦錬磨のライヴ・バンドといった形容の似つかわしいDIR EN GREYにとっても、こうしたひとつひとつの機会は相変わらず新鮮な刺激と思いがけない発見をもたらすものであり続けているのだ。
正直なところ、<ROCK IM PARK>での彼らのライヴ・パフォーマンスには、贔屓目にみても通常の彼らの基準からすればベストな部類に入るものとは言い難いところがあったし、結果的にメンバーたちは不完全燃焼なままステージを降りることになったと思われる。実際、リハーサルはおろかサウンド・チェックすら皆無の状況で臨んだライヴではあったし、時計の針が午前2時に近付くにつれ、帰路を急ごうとする観客の姿が目についたことも否めない。が、彼らはそれを言い訳にはしない。そして、結局はそうした経験もまた、バンドをより強靭にし、さらに前進させていくための原動力へと転じることになる。それがポジティヴなものであろうとネガティヴなものであろうと、DIR EN GREYはすべての経験を栄養にしながら前進を続け、“昨日と同じバンド”のままであろうとはしない。このバンドのそうした性質を改めて証明していたのが、それから2日後に行なわれた<ROCK AM RING>での鬼気迫る演奏ぶりだった。
DIR EN GREYにとって、国外のフェスというのはもはや「参加することに意義がある」という次元のものではない。確実にそこに、爪痕を残すこと。それができなければ意味がないと言ってもいいだろう。そしてこの夜、実際にDIR EN GREYのステージを目撃したオーディエンスは、8万人を越える<ROCK AM RING>の全観衆のうち一割にも満たない。しかし、確実に彼らは、約四半世紀もの歴史を持つ由緒正しいこの巨大フェスの歴史に、浅からぬ爪痕を残したと言っていいはずだ。大袈裟に聞こえるかもしれないが、そんなことを口走りたくなるくらい、純粋にいいライヴだったのだ。
今後、このツアーは英国の<DOWNLOAD>をはじめとするいくつかの巨大フェス出演の合間に単独公演を挟み込むようにしながら、6月27日まで継続されることになっている。ツアー終了に至るまでの経過については、今後もおりを見て、新たなトピックを織り交ぜながらお伝えしたいと思う。が、とにかくこの<ROCK AM RING>でのライヴの充実ぶりを実感できた今、僕は確信している。このツアー自体が表面的な意味ではないところでの“成功”に終わるはずだということを。
増田勇一
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