サー・サイモン・ラトル、各国の文化賞を連続受章

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世界最高峰のオーケストラと賛美されるベルリン・フィルハーモニー管弦楽団を率いるサー・サイモン・ラトル。8月にCD『ブラームス:交響曲全集』をリリースし、8/9付SoundScan Japan週間クラシックチャートで初登場1位を獲得。またその精緻で重厚な演奏は高く評価され、日本での人気も特筆すべきものになっている。

さて、そのサー・サイモン・ラトルは、2009年~2010年にかけても精力的な活動を続けるようだ。BARKSでは、彼の動きを6ヶ月連続で追いかけていくので注目してほしい。まずは、10月の動向から。

10月5日、ベルリン・フィル芸術監督のサー・サイモン・ラトルが、ホルスト・ケーラー独大統領よりドイツ連邦共和国功労勲章を授与された。これはドイツ国家が与える唯一の勲章で、ラトルが受章した大功労十字章は国際的な格付けでは「司令官」に当たる。

授章の理由は、彼が提唱したベルリン・フィルの青少年活動「未来@ベルリン・フィル」で(その模様は、映画『ベルリン・フィルと子供たち』で観ることができる)、ベルリンの児童・生徒にクラシック音楽を広めた功績が評価された。この日彼は、他の43人の受賞者と共に、ベルリンの大統領官邸「ベルヴュー」での式典に参列。音楽家としては、ヴァイオリニストのアンネ=ゾフィー・ムターも同勲章を授与されており、新聞には笑顔で並ぶふたりの写真が掲載されている。

さらにラトルは、その直前にポーランド文化省の「グロリア・アルティス」金メダルと、スペイン・ブルボン王家の「ドン・フアン・デ・ボルボン音楽賞」も受賞。

「グロリア・アルティス」では、ポーランドの作曲家シマノフスキとペンデレツキを紹介した功績、「ドン・フアン音楽賞」では、ベルリン・フィルの青少年活動における業績が称えられている。前者はすでに2007年に与えられていたものだが、9月のベルリン・フィル・ワルシャワ公演を機会に、ボグダン・ジロイェフスキ・ポーランド文化大臣より贈呈された。後者は、9月30日にマドリッドで式典が行われ、ラトルはスペイン・フェリペ王太子より賞を受け取っている。6万ユーロの賞金は、ベルリン・フィルと「未来@ベルリン・フィル」に半分ずつ寄付される予定。

なおこの賞は、ラトル以前にはピアニストのマリア・ジョアン・ピリス、ベネズエラの青少年オーケストラ・プロジェクト「エル・システマ」創立者ホセ・アントニオ・アブレウなどに贈られている。

城所 孝吉(音楽評論・ベルリン在住)

今後、数ヶ月に渡って、サー・サイモン・ラトルの動向を毎月お伝えしていく。お楽しみに。

そして、サー・サイモン・ラトルが芸術監督を務めるベルリン・フィルハーモニー・オーケストラの「2009/2010パンフレット」を5名様にプレゼント。200ページ近い重厚なものだ。全編ドイツ語なので読み解くのは苦労するが、写真を眺めているだけでも楽しい。ぜひドシドシ応募してほしい。
◆プレゼント応募ページ

『ブラームス:交響曲全集』
TOCE-90097~9 特別価格6,000円(税込)
CD1:交響曲第1番ハ短調作品68
CD2:交響曲第2番ニ長調作品73&第3番ヘ長調作品90
CD3:交響曲第4番ホ短調作品98
DVD(2枚組み):交響曲全4曲の演奏シーンやインタビューなどを収録(約187分)
◆サイモン・ラトル・オフィシャルサイト
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