トニー・ベネット、まさに芸術と呼びたいパフォーマンス

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多分、“いま世界で1番モテモテのおじいちゃん”トニー・ベネットが月曜日(10月3日)、85歳の誕生日を記念し、ロンドンのPalladium Theatreでコンサートを開いた。

◆トニー・ベネット・ライブ画像

世界最高の歌声を持つシンガーの1人であり、85歳にして全米No.1を獲得した、まさに“生きる伝説”であるトニー・ベネットを観客はスタンディング・オベーションで迎えた。

ダークカラーのスーツに胸元のポケットから赤いハンカチーフをのぞかせたダンディな姿でステージに上がったトニー・ベネットは、1910年に建造された劇場の荘厳なインテリア、そしてその中でダーク・ブルーに照らされ、背景に小さなライトが散りばめられた――まるで星が輝く夜空のようなロマンチックな演出のもと、「霧のサンフランシスコ」「ビコーズ・オブ・ユー」「スマイル」などのスタンダードの名曲を披露した。

その歌声は年齢を感じさせない、力強く、滑らかで朗々とした素晴らしいものだった。ソウル、ジャズ、ポピュラー、クラシック――ときに語りかけるように優しく、センチメンタルなときもあれば軽快だったり、その反対にディープで大胆だったりと、その技量は驚くほど広く深遠なもの。そして、英国の大御所女性歌手クレオ・レーン(83歳)との「The Way You Look Tonight」では、彼らの年齢に達したからこそ成せるのではないかと思われる感慨深く切ない、情緒的なデュエットを披露。また、「I Wanna Be Around」のラストでは鳥肌ものの、気迫のこもったうなり声を聴かせて、ラストの「Fly Me To The Moon」ではマイクを使わず凛とした歌声を会場に響き渡らせた。まさに、芸術と呼びたいパフォーマンスだった。

また、威厳に満ちているだけでなく、曲の合間ではジョークを飛ばし、間奏ではクルリと回転してみたり軽快なステップを披露するなど、お茶目な面も多々見せてくれた。その歌声だけでなく、このキャラクターもモテる秘訣だろう。

あらためて、なぜ最新作『Duets II』で、レディー・ガガ、エイミー・ワインハウス、マライア・キャリー、アレサ・フランクリンなど数多くの豪華な共演者を集めることができたのか納得。シンガーであるならば、トニー・ベネットとのデュエットは名誉なことだろう。そして、アクが強かったり、ジャンルが異なるアーティスト達すべてを自分の色に染めてしまう彼はやはり凄い。

この夜はクレオ・レーンのほかに、レオナ・ルイスもゲスト出演。また会場には、故エイミー・ワインハウスの父親ミッチの姿も見られた。

セットリストは以下の通り。

「Watch What Happens」
「They All Laughed」
「Maybe This Time」
「I Got Rhythm」
「Cold, Cold, Heart」
「Sing You Sinners」
「But Beautiful」
「Just The Way You Look Tonight」(with クレオ・レーン)
「Steppin' Out With My Baby」
「Just In Time」
「Because Of You」
「I Wanna Be Around」
「Once Upon A Time」
「The Good Life」
「For Once In My Life」
「The Shadow Of Your Smile」
「I Left My Heart In San Francisco」
「The Best Is Yet To Come」
「Who Can I Turn To」(with レオナ・ルイス)
「Who Cares」
「Smile」
「When You're Smiling」
「Fly Me To The Moon」

Ako Suzuki, London
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