スガシカオ、どこまでもリアルな<Suga Shikao FUNK FIRE 2012>ファイナル

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2012年6月29日、恵比寿LIQUIDROOM<Suga Shikao FUNK FIRE 2012」ファイナル>が行われた。

◆スガシカオ画像

ライブ開始前から会場がひとつになり、主役を待つ。十分に温まった空間。今日は、座りなしのオールスタンディングFUNK Liveだ。

赤いシャツで、スガシカオが登場。1曲目はいきなり新曲「Re:you」。通常、新曲を耳にするとき、メロディと歌詞は同時に入ってくる。しかし、この曲はタイトルを公募するため、歌詞だけが6月8日にBlogで公開された。字面だけを知っている曲が、どんなメロディで歌われるのかを妄想する時間は非常に貴重な時間だった。そして、ライブという生の場で、その瞬間を手にした。デビュー16年目にしての2度目のデビュー曲。

2曲目の「ストーリー」を聴きながら思うのは、スガシカオという人間が発する独特の匂いのようなものに魅了される人たちは、終わりなく何かを探し続けている人なのかもしれない、ということ。人は、まだ見ぬ未来をきっとそこにあると信じて生きている。いつ終わるか分からない人生を、どこか楽観的に受け取りながら。そうして描かれていく人生はまさに「ストーリー」だと、改めて思った。

続く「19才」「ファンカゲリヲン」。逆説的な言葉で何かを裏切りながら、肯定される感覚。これは他力本願だなと思いつつ、とても健康的だと気づく。そんな空気が溢れ、むせかえりそうになる。これは「生きている」証。

そして、かっちりと晴れることない、常にどこかが湿って粘着性のあるリアルの世界。それを知りつつ、他人の目を意識することで今日も笑う。「サナギ」が連れてくる思考。

このあたりから、Ustreamでの放送が開始される。

「正義の味方」。1999年発売のこの曲は、妙に印象的で一気に13年前に引き戻される。おそらく、会場に居る多くの人たちも、曲によってそれぞれの生きてきた特定のポイントに引き戻されているに違いない。この曲は、ファイヤーホーンズとともに。

続いて、「GO GO コーナー Washington,D.C.Funk」へ。たたみかけるように流れていく曲に乗せられて進む。アレンジされた「愛について」は、原曲よりも孤独を隠すかのよう、だけど、その分、余計に切ない。続いて、flyingkids浜崎貴司氏を迎え「幸せであるように」。あるラインを超えて支持される人が抱える責任とか重さとか、苦しみのようなものが、時に歌になっていくのだと思う。ネガティブにも思える感情があるから、創られ産まれてくるものがある。限られた音符の組み合わせは、無限に広がる人の営みなのかもしれない。

そんな人の営みを感じていたら、突如の「まぐまぐコール」。今年編纂1300年を迎えた古事記の冒頭を思い出さずにいられない。まさに「目合ひ」。

MCのあと、「バラードやっていい?」と確認し、新曲「傷口」を。<君のアドレスを消したら ケータイ 少し軽くなった>。この曲で一番好きなフレーズ。確かに秤で量れない重みはたくさんある。

気づけば、熱を帯びている身体。「ミートソース」では、真っ白なシャツを着て、手づかみでシャツや顔を汚しながら食べたい衝動に駆られる。すでにスガマジックに掛かっていると自覚する。「俺たちファンクファイヤー」では、ファンクファイヤーをパンチパーマと歌うメンバーが会場を和ませる。そして、見事な45回のハンドクラップ。45という数字のセレクトは、彼の年齢か?

「コノユビトマレ」は、梅雨の晴れ間のよう。明日を明るい日を書く理由が、ふと分かった気がした。人生って悪くない、楽しむことは罪じゃない、自らを低くみてしまう性分は、変えられないけれど、少し視点を変えてみればいい。「人はみな、どこか病んでいて普通。何も心配することはない」17年前に言われて、自分を取り戻したあの瞬間を思い出す。彼の音はさまざまな感情を連れてくる。

本編ラストは、FFで演奏してほしい曲で1位だったという「イジメテミタイ」。

アンコールは、Tシャツに着替え、タオルを持って登場。「黄金の月」。20代のときに書いたであろう言葉を、40代になって歌う。あの頃と今は、彼にとってどう違って、どう同じなのだろう? 11月のライブ告知のあと、今しか歌えない、今だから歌うということで、選ばれたラストソングは「RealFace」。直球すぎるセレクトに、彼ならではの比喩から離れた現実を見た気がした。人は、いつだってギリギリで生きているのに、それを意識している人は少ない。この曲は、それを教えてくれる曲。生きているうちに纏う多くの虚像。リアルだけで生きていたら、キツイからどこかで逃げながら生きていく。だけど今、そのキツさに敢えて、挑戦した彼が見ているものをライブ越しに感じた。

ライブからの帰りに電車に乗るというリアルに戻りたくない、と初めて思ったライブだった。

<Suga Shikao FUNK FIRE 2012」ファイナル 2012年6月29日>
1.Re:you
2.ストーリー
3.19才
4.ファンカゲリヲン
5.サナギ
6.正義の味方
7.Opening
 サヨナラホームラン
 魔法
 ウッドペッカー
 叩けばホコリばっかし
8.愛について
 幸せであるように
 ハーレムノックタウン
 朝まで生テレビ
 Fire
9.傷口
10.ミートソース
11.Loveless
12.ドキドキしちゃう
13.俺たちファンクファイヤー
14.コノユビトマレ
15.イジメテミタイ

アンコール
16.午後のパレード
17.黄金の月
18.Real Face

<LIVE TOUR 2012 -Autumn- Funk/POP/Ballad/Dance… スガシカオ“おいしいとこ全部盛り”ツアー>
2012年10月25日(木)北海道 Zepp Sapporo
2012年10月29日(月)福岡 Zepp Fukuoka
2012年10月31日(水)愛知 Zepp Nagoya
2012年11月1日(木)大阪 Zepp Namba(OSAKA)
2012年11月5日(月)東京 Zepp DiverCity(TOKYO)
2012年11月6日(火)東京 Zepp DiverCity(TOKYO)
2012年11月15日(木)高知 BAY5 SQUARE

iTunes配信:200円(1曲)
1.Re:you
2.傷口
http://itunes.apple.com/jp/album/re-you-shang-kou-single/id535740240

[寄稿] 伊藤 緑:http://www.midoriito.jp/

◆スガシカオ・オフィシャルサイト
◆スガシカオ・オフィシャルブログ
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