【異次元連載】トム・ハミルトンが語るエアロスミスの真実 Vol.15「かつて“6人目のメンバー”と呼ばれた男、ジャック・ダグラスが最新作で果たした重要な役割」

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『ミュージック・フロム・アナザー・ディメンション!』に収められた各楽曲については、前回までのうちにトム・ハミルトン自身がひと通り話してくれているが、今回はこのアルバムが誕生するうえで欠かせない存在だったといえるプロデューサー、ジャック・ダグラスに関することを訊いてみよう。アルバム自体がそのジャックによるナレーションで幕を開けているという象徴的なエピソードについては以前にも触れているが、彼はかつて、このバンドの“6人目のメンバー”とまで呼ばれていた人物。トムは「ジャックと一緒にやっていなかったら、このアルバムはできていなかった」と断言していたりもする。

◆トム・ハミルトン画像

「プロデューサーの仕事とか役割というのが本来どういうものなのか、ほとんどの人は知らないだろうと思う。実際それは単純に説明できるようなものじゃないけどもね。ただ、いわばプロデューサーというのは、バンドから最高の曲を引き出して、それらを最高の状態でレコーディングできるようにするための手助けをすべき立場にあるんだ。つまりレコーディング・プロセスのすべてをコントロールしてオーガナイズするということ。レコーディングに関わる技術面とクリエイティヴな面、すべてをアレンジすることが求められることになる」

トムはこうしてプロデューサーというものの役割について語りながら、ジャックと初めて仕事をした当時を振り返り始めた。

「最初にジャックと一緒に仕事をしたのは1974年のこと。『飛べ!エアロスミス(GET YOUR WINGS)』のレコーディング当時だった。彼はプロデューサーとしての典型的な役割を果たしてくれるだけじゃなく、素晴らしいコーチでもあってね。生まれつきリーダー・タイプの人間なんだろうな。各々が積極的にアイデアを持ち寄れるよう、みんなを励ましてくれるんだ。僕は常にそれをありがたいと思ってきた。それこそ「ソルティおじさん」も「スウィート・エモーション」(ともに1975年発表の『闇夜のヘヴィ・ロック(TOYS IN THE ATTIC)』収録)もそうやって完成に至ったんだからね。僕自身、すごくシャイでもあったから、みんなに対して“僕の書いてきたものを聴いてくれ!”なんて押し付けることはできなかった。でもジャックは、誰かがアイデアを思いついたことを察すると、それを曲として完成させていくプロセスの一端を担ってくれた。それがいいアイデアであれば、の話だけどね。そうやって僕たちを助けてくれたのがジャックであり、彼は常にそういった役割を果たしてくれていた。その結果が、『飛べ!エアロスミス』や『闇夜のヘヴィ・ロック』『ロックス』(1976年)に出たんだ。バンドはあの一連のアルバムを楽しく作ることができた。だけどそれが可能だったことの理由のひとつがジャックの存在だったといえるんだ。バンドの内輪揉めや馬鹿げた争い、間違った態度といったものを、うまく彼が跳ね除けてくれていたんだよ。そうやって彼は、バンドのメンバー全員がちゃんと作品に関与できるような状況を整えてくれていた。そして今回のアルバムで一緒にやることになった際も、彼は同じような役割を果たしてくれたんだ。こうしてメンバー全員が貢献をしながらいくつもの曲ができたというのは、見ようによっては少しばかり妙なことでもあったかもしれない。でもそれはポジティヴな意味での“いつもと違った感じ”だったんだよ。すべてはジャックが常に励ましてくれていたからこその成果なんだ」

つまりジャックの存在は、具体的なサウンド・メイキングにおいて重要というだけでなく、エアロスミスがバンドとして機能するうえで非常に大きな意味を持っていた、ということになるだろう。トムの発言は、さらに次のように続いている。

「僕たちは幸運にも数多くの素晴らしいプロデューサーたちと一緒に仕事をしてきたけども、なかにはキャリアのことばかり気にして、どうすればヒットするか、いかにレコード会社を味方につけるか、といったことばかり考えているプロデューサーもいる。“シングル・ヒットの種はどこにある?”みたいなことにばかり気をとられているのさ。もちろんそれも重要なことではあるし、ジャックだってそういうところにはしっかりと着目している。ただ、そればかりじゃなく、“粗削りではあるけどもヴァイブのあるアイデア”というものも大切にしなくちゃいけない。ジャックはそういったものの可能性に目を光らせながら、“やってみたらどうだい?”と背中を押し、それを完成させられるようにみんなを先導してくれる。しかもそこで今回の場合は、マーティ・フレデリクセンが違った次元のところで手伝ってくれた。だからこそメンバー全員、毎日頑張ることができたんだよ。コーヒーをたくさん飲みながらね(笑)」

やさしくも厳しいコーチのような存在のジャック・ダグラスと、モダン・テクノロジーに精通し、アイデアを具現化していくことに長けたマーティ・フレデリクセン。彼らの存在なしに、このアルバムの有機的な空気はやはり生まれ得なかったのだろう。そして、トムの話はまだまだ続いていく。次回の更新をお楽しみに。

取材/文:増田勇一

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