【CDレビュー】keeno、あまりにも痛切な名曲揃いの2ndアルバム『before light』全12曲を徹底解説

ポスト


7. alternate
コンピレーション・アルバム『EXIT TUNES PRESENTS Vocalofantasy feat.初音ミク』のための書き下ろされたナンバー。恋愛の終わりの合図。“割れる心の音”という悲しくも印象的なフレーズ。“狂おしいほど何度も叫んでいるのに 届かないから私といるの? ずるいよ”という、畳み掛けるように自分の気持ちを吐き出す言葉の重み。近くにいても距離を感じてしまうせつなさ。それでも離れたくない想いが奏でられていく。

▲「alternate」イメージイラスト



8. 8
8曲目だからタイトルは「8」なのか? 1週間が7日間あるとしたら、もう1日あるかのような時間軸が壊れた気持ちの様を描いているのかもしれない。やわらかに歪んだギターがつむぎだすせつなさ。まるで雫が落ちるかのようなパーカッシヴな響き。心が離れていく瞬間に気付かされた“私の知らない今の君に泣いてた”という一節。自分の居場所を無くす喪失感。それでも明日はやってきて、日々は続いていく。

9. scrape
身体は繋がっていても心は離れているむなしさ。“君の背中に爪を立てて 繋ぎとめたつもりでいたのに”という、間違った繋がり方? 淡い気持ち、溢れ出す感情……。頭の中は君で一杯なのに“愛じゃない何かを繰り返して 無様にもがきながら 声を殺しているわ”だなんて、残酷で一方通行な、響き合えない恋物語。ラスト、ギターアルペジオでそんなどうしようもない気持ちを後悔するかのように残る想いを醸し出す。

10. madder
タイトルは、歌詞で登場する通り“茜”をあらわしている。イントロには、keenoの特徴である気持ちを空間に解け合うかのように響き渡る淡いシンセフレーズが印象的。テンポはスローながらも、珍しく四つ打ちビートを感じさせる、ダンスミュージック的なテイストも気になるナンバー。恋煩いを抱えながらも、覚悟を決めた決意がサウンドのポジティヴィティと呼応するかのように力強さを解き放っている。

11. breath
やわらかくもノイジーなエレクトロニカ・テイストを彷彿とさせるトラック。絡み合うkeenoらしいギターアルペジオが醸し出す、溢れんばかりのせつなさ。恋の初期騒動とでもいうべき“切なくて苦しくて こんなにも痛いなら 最初から気付かずにいたかった”という誰しもが抱えた事があるであろう気持ち。それでも生きたいのは“切なくて苦しくて こんなにも痛いけど 君がいる世界でただ息をする”というひとつの真理。

12. before light
アルバムのタイトル曲。keenoらしさを表現する、溢れ出すせつなさを奏でる洗練されたサウンド。アルバムで描き出した物語の全てを凝縮しているようなナンバー。人との繋がりに正しさなんて無いのだろう。それでも人は人を求める“きらりきらりゆらゆらと溶けていくわ 燃えそうな空に 流れ落ちてさらさらと私はずっと泣いてた”という気持ちの拠り所。音楽で絶妙に心の揺れ動きをkeenoはあらわしていく。

▲「before light」イメージイラスト



  ◆  ◆  ◆

以上、12曲にわたる全収録曲のレビューをお届けしたが、BARKSではさらに、keenoとのメールインタビューを行った。このアルバムの制作について、そしてkeenoという音楽家について、様々な切り口からkeenoというボカロPを紐解いていく内容になっているので、今回のレビューと全曲クロスフェードを胸に刻みながら、インタビューの掲載を楽しみにして欲しい。





アルバム『before light』

2015年9月16日発売
WPCL-12148 ¥2,400+tax
Jacket Illustration:麺類子
※初回生産分限定 デジパック仕様+オリジナルクリアカードケース付き

[Track List]
1.morning haze
2.decide
3.yours
4.scene
5.unripe
6.weep
7.alternate
8.8
9.scrape
10.madder
11.breath
12.before light

この記事をポスト

この記事の関連情報