【レポート】MICHAEL主宰フェス、「みんなの顔がよく見えるよ。いい顔してた」

ポスト

松岡充(Vo)と豊田和貴(G)によるMICHAEL主宰イベントフェス<MICHAEL SPRING JUMPING CIRCUS 2017>が4月23日、東京・赤坂BLITZにて全7日間6公演の全行程を終え、大盛況のうちに閉幕した。

◆<MICHAEL SPRING JUMPING CIRCUS 2017> 画像

4月17日(月)に開幕した同フェスは、初日からDAYDREAM BABYS*(荒木宏文/平田裕一郎/五十嵐麻朝/真緒/松岡充)、撃弾ハンサム、劇団鹿殺しRJPという濃い3組が集結。トータル14名にもおよぶ俳優達が演劇ジャンルを超えて同じ舞台に立ち、1本の演劇ストーリーにまつわる音楽パフォーマンスが、その間に挟まれるというオリジナリティー溢れる展開。まさに、MICHAELフェスでしか絶対見られないだろうステージで、初日を大いに盛り上げたことは前回のレポートでもお伝えした通りだ。このレポートでは2日目以降の模様をお届けしたい。



2日目となる4月18日(火)は、3ピースバンド“リアクション ザ ブッタ”を1st Actに迎えてスタート。「名曲!」と松岡が絶賛する楽曲達を立て続けに披露し、「初の赤坂BLITZ」に気合いを見せるなど、身体中から同フェス出演への感謝を発していた様子がオーディエンスの心に響く。舞台袖で見ていた松岡も「主宰者として熱い想いが込み上げた」と語るステージとなった。

1st Actに続いては本編へ。I Don’t Like MondaysとSKY-HIという、今、日本音楽ファンをときめかせるトレンドアーティストの登場だ。そのステージの前には、客席フロア中央に設置したサブステージにI Don’t Like MondaysとSKY-HI、松岡と行司コスプレの豊田が現れ、紙相撲で本日の出演順を決定するというサプライズ。MICHAELフェスならではの遊び心が冒頭から出演者とファンを沸かせた。次はI Don’t Like Mondaysのステージだ。



“極上のセレブリティーロック”と松岡から紹介されたI Don’t Like Mondaysが「WE ARE YOUNG」「TONIGHT」のキラーチューンで盛り上げる。続いてはSKY-HIの登場だ。冒頭にMICHAELを「マイケル」と呼び間違えて、この失態を最後までMICHAELからイジられるというシーンに場内爆笑。ライブでは「初めましての人、安心して。世界一優しいラッパーとは僕のことです」との言葉通り、しなやかにダンサーと踊りながらラップを披露。ラップメドレーでは一転してテクニカルなマシンガンラップを聴かせてヒップホップの魅力をアピールしていくなど、多彩ぶりを発揮した。

そんなSKY-HIのミュージックビデオを見た松岡が「SOPHIAの『little circus』というアルバムの裏ジャケットを思い出してね」と話し出し、MICHAELのステージでは、本人には内緒でSKY-HIの「アイリスライト」を特別にカバー。松岡のエモーショナルなラップからSOPHIAの名曲「CIRCUS」へつなぎ、この2曲にリンクするメッセージをオーディエンスに切々と唱える。この場面は、2日目のハイライトとなって場内に感動的な空気を生み出した。ラストは出演者全員でSOPHIAの「ミサイル」(2000年発表シングル)をセッション。SKY-HIのオリジナルラップをフィーチャーしながら、この日ならではスタイルでフィニッシュした。



4月19日(水)、フェス3日目はセグウェイに乗って登場した1st ActのDALENが、アクティヴなアクトで会場を温めて開幕。続いて前日同様にサブステージへ、ソロロックシンガー中島卓偉、ロックレジェンドにして30周年を迎える森重樹一率いるZIGGYが登場した。驚きは、その衣装。MICHAELの2人と卓偉は共に学生時代にZIGGYの大ファンで「カバーしていた」ということから、なんと学ラン姿だ。学生時代に戻ったという設定で大先輩 森重を迎え入れるが、森重も貫禄ある学ラン姿で登場すると、場内にファンの絶叫が響き渡った。コワい森重先輩に3人の後輩達がただただビビりまくるという設定の学園コント(?)まで行われるなど、MICHAELフェスでしか見られない大サービスの演出に観客は笑いが止まない。

そして本編は中島卓偉から。先ほどまでのコミカルな空気が吹き飛ぶような、抜け感抜群の声質を曲ごとにコントロールするヴォーカルスタイルは彼ならではのもの。美しいメロディーを高い歌唱力で次々と届け、観客を魅了していく。





そして、岡村靖幸の楽曲「イケナイコトカイ」カバーからスタートしたMICHAELのステージも、1曲目からヴォルテージが高い。中盤ではリスペクトを込めてZIGGYの楽曲「WHISKEY,ROCK’N ROLL AND WOMEN」「I’M GETTIN’ BLUE」カバーを熱唱したがこれは、松岡が「高校生の時に初めて組んだバンドで披露した」という思い入れの深い2曲だった。いつも以上にロックな熱い空気をフロアに送り出し、トリのZIGGYへつないだ。

50代とは思えない森重のカッコよさに、この日初めてZIGGYを観たオーディエンスは驚きを隠せなかったようだ。ロックスター然としたカリスマ性の高いオーラ、ヴォーカリストとしての圧倒的歌唱力と存在感を放つ森重を筆頭にZIGGYは、惜しみなくヒット曲や新曲を連発。ラストは出演者全員でZIGGYの「GLORIA」を全開で熱唱し、3日目をどこまでもロックで熱い夜にした。




1日の休息を挟んで、4月21日(金)から始まったフェス後半戦。その4日目は、1st Actの“ぞんび”がライブを繰り広げるなか、サブステージにASH DA HERO、SHIN、MICHAELの松岡がおもむろに登場した。3人が出演順をじゃんけんで決めるという、ぞんびのライブを無視した振る舞いに場内も思わず笑み。我慢しきれず、奏多(Vo)が3人に話しかけるが、3人はそのままフロアからぞんびのステージを観戦するというカタチに。そんな予想不可能なオープニングで4日目が開幕した。

本編の口火を切ったのはASH DA HERO。「“ASH”って呼んで下さい!」と始まった彼のステージはアメリカンロックの豪快さを漂わせながら、自前のタンバリンが割れるぐらいの激しさで、初っ端からパワフルに飛ばしまくる。ステージングもサウンドも規格外だ。軽快なトークでノリ方をオーディエンスに説明したり、フロアに飛び降りてオーディエンスを刺激したり、フェス慣れしたパフォーマンスであっという間に場内を一つにした。





SHIN(元ViViD)の不変のノーブルな美しさは、松岡充に「守ってあげたい!」と言わしめるほど。真っ白な衣装でキラキラした王子感をまとい、白いグレッチをかき鳴らしながら、ファルセットを駆使した流麗なヴォーカルを響かせる。サポートメンバーを迎えたバンドサウンドもキレがよい。「このイベントがあったから、生きられた」と自分の気持ちを正直に吐露。掲げた目標に向かって一歩一歩歩んでいく、という決意を描いた新曲を届け、ステージを後にした。

MICHAELの第4夜はSOPHIAのデビュー曲「ヒマワリ」のアコースティックVer.からスタート。うす暗い照明のなか、松岡に続いて、この日の出演ヴォーカリスト3人がリレー形式で歌い継いでいくというレアなコラボレーションが繰り広げられる。しかし、その流れのなかにゴールデンボンバーのキリショーこと鬼龍院翔の声。この突然のサプライズには場内が一気にざわめいた。実は、スケジュール的に出演したくてもできなかったキリショーが、なんとか時間の都合をつけて観に来ていたとのこと。松岡が本番直前に「出る?」と冗談混じりに聞いたところ、即座に「はい!」と答えたというキリショーの男気溢れる登場だった。

そして、この夜のMICHAELは「ange」「誰が為に 風に向かう」「キミニアゲルヨ」と新曲を続けて披露。MCでは、出演アーティストの美しさを讃えるように「今日はビューティーDAYだね」と松岡が表現した。加えて、その言葉の端々に感謝の気持ちを込めて「今日出てくれたみんなは、すげぇ苦労人だと思う」と語るなど、先輩として改めて出演者に敬意を表した。そのラストは全出演者でSOPHIAの「街」をカバー。SOPHIAファンを自称するぞんびの奏多は松岡コスで登場。胸がいっぱいになって感涙する奏多や、松岡に肩を抱かれるASH DA HEROやSHINなど、にこやかで温かなムードに包まれたまま4日目が終了した。





5日目となる4月22日(土)は1st ActのUNFACEからスタート。宇宙からの遠隔操作によってプレイするというスタイルは、彼らならではのものだった。続いて、本編へ。この日の出演バンドは、エアーバンド禿夢とMICHAELと事前発表されていたが、実際にはMICHAELではなくSOPHIAだった。

まずは禿夢のステージから。禿夢とは、エアドラマー・ヨシユキ(よゐこの濱口優)を中心に結成されたバンドであり、ブサイクとヴィジュアル系を融合させた"ブジュアル系"スタイルを持つ。ちなみに、ヨシユキ曰く「YOSHIKIさんコスはTOSHIさんにはバレたが、YOSHIKIさん本人にはまだバレてない」とのことだ(笑)。ハゲ頭のキク(Vo)がカツラテーブルクロス引き、タカマサ(G)が鎖骨と顎で音楽を奏でるタカマサ体操と、芸人らしいネタでツカミはOK。初日に続いて甘王のサプライズ乱入で、場内が程よく盛り上がったところで、ついにライブがスタートした。「激〜HAGE〜」(NIGHTMARE / JAKIGAN MEISTERの咲人が楽曲提供)のような激しいV系ナンバーから、湘南乃風を思わせるタオル回し系アゲアゲパーティーチューンまで、笑いのプロならではのパフォーマンスで徹底的に会場を温め続けた。




SEの「愛の讃歌」が流れると、この夜のメインアクトSOPHIAのステージだ。松岡と豊田は<SOPHIA TOUR 2002 HARD>当時の衣装で登場、ライブが「大切なもの」で幕を開けた。MCでは松岡が、今回SOPHIAをやるにあたって「他の3人のメンバーにも連絡をしたけど、来れなかった」ことをファンに詫びた。3人が戻ってきて5人でSOPHIAがやれることを「いつでも待っている」と話した上で、「でも、歌わないと曲はどんどん死んでしまうんです。これ以上、みんなのあの時の気持ちを殺したくないから、やらせてもらいました」とSOPHIAとしてステージに立つ想いを伝えた。

「君と揺れていたい」「黒いブーツ 〜oh my friend〜」「青い季節」に「KURUKURU」。次々と思い出を作ってきた名曲達が演奏されると、Tシャツやひまわりなど、この日のために当時のSOPHIAグッズを身につけたファンの中で、4年前のあの日から止まっていた時間が巻き戻り、ついに時を刻み始めた。また、SOPHIAを2人で演奏するに際して、その背中を強く押してくれたエピソードが明かされる。それは、SOPHIAの5人がお世話になっていた人が闘病の末、SOPHIA再始動を見ることなく先日亡くなり、その葬儀で松岡がアカペラで泣きながら「Thank you」を届けたというもの。そうして「SOPHIAを待っててくれたみんな。そして彼に」と「Thank you」を披露。ファンは涙を流しながらこの曲を受け止めた。懐かしさと嬉しさと感動が胸いっぱいに入り混じったSOPHIAのステージ。最後は出演者全員でMICHAELの「こころ」を歌って5日目を終えた。




あっという間の1週間。4月23日(日)、ついに<MICHAEL SPRING JUMPING CIRCUS 2017>の最終日となる。ロビーにディスプレイされていたパネルが、出演者のサインで埋め尽くされていく中、フェスを締めくくったのはMICHAELのOneman Showだ。そのオープニングで2人は恒例のサブステージに登場し、名残惜しそうにフェスを初日から振り返っていく。そのトークの中では、3日目のZIGGYについて「青春、取り戻したわ」との的確なコメントを述べて松岡に褒められた豊田が満面の笑みを浮かべ、「今日は全開でやります!」と力強く宣言。松岡が「ファイナルスタート!!」と合図した後、感謝の気持ちを込めてサポートメンバーを一人ずつステージに呼び込んだ。

いつものSEが鳴り響く中、MICHAELの2人はサブステージからフロアを突っ切りながら、オーディエンスとハイタッチを交わしてステージへ。ライブは「られぬ」で口火を切った。隅々まで埋め尽くされた1階フロアと2階席に向かって「最終日の覚悟はできましたか? 今日は化粧とかどうでもいいやん!」とお茶目な表情を浮かべて松岡がフロアを煽りたてる。ファイナルということでMICHAELは、ZIGGYの「WHISKEY,ROCK’N ROLL AND WOMEN」「GROLIA」、SKY-HIの「アイリスライト」をカバーするなど、楽曲でフェスを振り返るような渾身のパフォーマンスをみせる。





「1週間、最初は前人未到という気がしてましたけど、やってみると意外といけました。やり切りました。SOPHIAのライブでもいつも言ってたけど、ステージからはみんなの顔がよく見えるよ。みんな、いい顔してた。MICHAELとみんなが過ごした時間はまだ少ないけれども、いつの日か、この日のことを思い出して……あと一歩踏み出すことに繋がったり、背中を押したり、そういうときに思い出してくれたら。それが、僕らが音楽をやっていく理由。温かい心をここに持ってきてくれてありがとう。ここに心を向けてくれた人々に、心を込めて」──松岡充

そして、演奏されたナンバーはファンとの絆をつなぐ大切な「White」、今やMICHAELのテーマソングとも言える「Amazing Grace」。最後のパワーを振り絞るような全身全霊を込めたヴォーカルでリスナーの胸を打つ。ラストには松岡の提案でSOPHIAの「エンドロール」までプレゼント。ライブの終わりには、豊田が松岡へ、感謝の気持ちを綴った手紙を読み上げるサプライズ。「一緒にプレイできて幸せです。夢中になれて、本気になれて、松ちゃん。ほんまにいつも夢と感動をありがとう!」と松岡に伝えると、松岡は「ジル君がいてくれるから、俺はこうしていられるよ」と、2人は身体を寄せ合い、熱い握手を交わした。場内に感動が広がるなか、松岡が次のライブの予定を口頭で発表、ファンの歓喜の声に包まれて<MICHAEL SPRING JUMPING CIRCUS 2017>が終演した。




松岡が発表したライブスケジュールは、12月16日(土)および17日(日)に大阪・松下IMPホール、12月23日(土)および12月24日(日)に東京・山野ホールで、<MICHAEL LIVE 2017 第四章>を行なうというもの。MICHAEL恒例のクリスマスライブとなる。さらには今秋、劇団鹿殺しの丸尾丸一郎とタッグを組み、松岡充が主演を務める舞台『不届者』が上演されることもフライヤーを通じて緊急発表された。フェスを通じてたくさんの新曲をプレイしてきたMICHAELからは「新しいアルバムも出したいな」という声も聞けた。そちらにも期待したい。

取材・文◎東條祥恵
撮影◎堀卓朗(4/17,18,19,21,22)/今元秀明(4/23)


■<MICHAEL LIVE 2017 第四章>

▼大阪公演
2017年12月16日(土) 大阪IMPホール
開場17:30 / 開演18:00
2017年12月17日(日) 大阪IMPホール
開場16:30 / 開演17:00
▼東京公演
2017年12月23日(土・祝) 山野ホール
開場17:30 / 開演18:00
2017年12月24日(日) 山野ホール
開場16:30 / 開演17:00

■映像作品

●LIVE DVD「MICHAEL SUMMER NIGHT CIRCUS 2015」
●DVD「Mitsuru Matsuoka presents DAYDREAM BABYS*」
HMV ONLINE http://www.hmv.co.jp/fl/10/1612/1/
BLUE SHOP https://blue-shop.tokyo

■2マンイベント<ASH DA HERO 2MAN SHOW SERIES 2017「CONNECT X」>

【ACT.4】ASH DA HERO × MICHAEL
2017年5月18日(木)東京・TSUTAYA O-WEST
開場・18:30/開演・19:00


■映画『TOKYOデシベル』

2017年5月20日(土)より、ユナイテッド・シネマ豊洲他全国ロードショー
▼Cast
松岡充 安倍なつみ 長井秀和 鈴木優希 宮地大介 入江要介 村井良太 SUGIZO 山中秀樹 坂上忍 安達祐実
▼Staff
原作・監督・脚本:辻仁成 音楽:SUGIZO
日本/2017/97分/HD/カラー/5.1ch (C)「TOKYO DECIBELS」製作委員会

この記事をポスト

この記事の関連情報