【インタビュー】SHE IS SUMMER、claquepotとのコラボ作で「今年の夏に寄り添えたら」

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今年4月にタイのシンセポップユニットPlastic Plasticとコラボしたデジタルシングル「綺麗にきみをあいしてたい」をリリースしたSHE IS SUMMER。今年はコラボレーションイヤーということで次なる展開が注目されていたが、その第2弾となる作品の配信が7月15日から始まった。新曲「summer end feat. claquepot」は、謎多きシンガーソングライターclaquepotとともに作り上げたアーバン・サマー・アンセム。例年とは全く違う景色になるであろう今年の夏に寄り添う、2人の歌声に注目してほしい。

  ◆  ◆  ◆

■不思議な夏になると思う

──7月15日にデジタルシングル「summer end feat. claquepot」がリリースされました。いろんなことが中止になったり延期になったりしているので、こうして予定通りに新曲が聴けることのありがたみを感じています。

MICO:本当に、そんな状況になってますよね。私達作る側も、配信できるのはありがたいことだなと思っています。アルバム『WAVE MOTION』のツアーはファイナル(東京公演)だけ中止になったし、タイのイベント<Cat-T>は告知をする間もなく中止。同じくタイの<POW FEST>だけはオンラインになったので出させてもらいましたけど、私も出演予定だった、claquepotさん主催の2マンツアーも中止になりましたからね。



──今回の新曲は、そのclaquepotさんとのコラボレーションなんですよね。

MICO:はい。その2マンで一緒に歌えたらいいなっていうのはお互い考えていたんだけど、残念ながら中止になってしまって。楽曲だけは届けたいということになって、2人で曲を作ることになったんです。実は、2マンでライブをやることが決まってからclaquepotさんのライブを見に行かせてもらったんですが、その中で、とある曲がすごく心に残ったんです。特にメロディが頭に残る素敵な曲で、帰り道でも思わず頭の中で歌っていたくらい。オフィシャルには公表していないんですが、その曲のその後というか後日談みたいな側面“も”あるんです。もちろん、それはそれであって全く新しい曲として聴いてもらいたいんですけどね(笑)。

──どの曲なんだろう?気になります。

MICO:一応、言わないことにしています。私の一存では決められないから(笑)。

──わかりました(笑)。

MICO:でもこんな風に曲を作るのは、珍しいパターン。いつも曲を作ってもらう時は、私が「この人のこういう表現の中で、こういうことを歌ってみたいな」と思って依頼をすることが多いんですね。でも今回はボーカル同士、一緒に歌うという前提で曲も一緒に作ることになった。だから私も、自分だけの世界を作るというより、claquepotという世界に入るような感覚もあったんです。面白かったですよ。作品を発信している者同士だから。

──それこそ、コラボレーションの醍醐味かもしれないですね。どちらも受け身ではない感じが。

MICO:そうそう。ライブに声かけてもらって、声をかけてもらったからこそ私も曲を作りたいと思うようになったわけで。コミュニケーションというか、キャッチボールしているような感じがすごく楽しかったんです。

──作業のやり方も、普段とは違うところがありました?

MICO:どうだろう?元バンドメンバーでもあるヤマモト(ショウ)さんと歌詞を書く時はキャッチボール…というか、延々と電話で喋りながら作ってるんですが(笑)、全く「はじめまして」の状態から作品のキャッチボールで作るのは、初めてと言えば初めてだったんですよね。でも、やり方は違えど、やるべきことは変わらないような気がします。

──どんな曲にするか、2人の間に何かキーワードみたいなものや共通のイメージがあったりしたんですか?

MICO:この夏のアンセムを作りたいという気持ちはすごくありました。でも今年の夏は、みんなが経験したことのない夏になるだろうから想像がつかなくて。だから、この夏にちょうど合うようなテンション感って一体どんなものなんだろうって、話し合って考えましたね。

──確かに!こういう状況ですから、今年はどんな夏になるんでしょうね。

MICO:不思議な夏になると思うんですよね。もしかしたらパーン!と例年通りの夏になるかもしれないけど、全く別かもしれないし、その狭間かもしれない。誰にも読めないですよね。もしかしたら、これまでのどの夏ソングも当てはまらないかもしれないから、今年の夏に寄り添えたらいいなっていう想いが一番大きかったです。

──誰も経験したことがない、想像すらできないくらいの夏を一緒にイメージして曲を作る。ワクワクもするけど、具体的じゃないからこそすごく難しそうな気もします。

MICO:でも“人それぞれ”が混ざって、全部足されて、全部割れば、何かの夏にはなる。だから、ちょうどよかったのかもしれないですよ(笑)。もちろんちゃんと今っぽくもあるっていう、そういう部分は大事にしつつでしたけど。

▲summer end feat.claquepot - SIS WEB CM〜思い出の水族館編 より

──サウンドプロデューサーのGeorge(Mop of Head) さんともやり取りをしながら。

MICO:はい。Georgeさんとは今のトレンド感みたいなことについてもすごく話をしました。あとは、claquepotさんのオリジナル曲のメロディのセンスやボーカルとしての強さや表現力、声、聴き取りやすい歌詞に魅力を感じたので、そういうところはコラボする上で大事にしたいと思っていました。その辺りのバランスを探っていく感じでしたね。

──でも2人の声の温度というか、この重なり具合ってすごくいいなと思いました。

MICO:本当ですか!?自分と彼の声は合うのかなって、ずっと心配だったんです。だって、claquepotさんはすごく歌が上手いじゃないですか。私、ライブを見に行って楽屋でご挨拶した時も、ひと言目で「歌、上手いですね」って言っちゃったくらいですから(笑)。

──(笑)。

MICO:で、思わず「私も頑張ります」って言っちゃったんですけど(笑)。

──だけど曲の頭から2人でスッと歌うあの感じ、最高じゃないですか。

MICO:あのサビの部分は、私にとってはすごくキーが低いのでダブルみたいな感じで入れさせてもらいました。でも平歌からはすごく高くなるから(バランスとして)おかしくならないかなと思っていたんですが、探り探り、頑張ってみました。

▲summer end feat.claquepot - SIS WEB CM - 待ちぼうけの喫茶店編- より

──レコーディングは別々だったそうですが、自分の作品で1人で歌う時とは違う、今回だから気をつけた部分などもありました?

MICO:それこそclaquepotさんのボーカルは張りがあるというか、軽やかだけど力強い感じだったので、そこに寄り添えるようにしたいなというのはありました。なので、普段とはちょっと歌い方も変えましたね。ずっと歌は練習しているからどんどん変わっていくんですが、その中で「こういう部分を使ってみようかな」ってやってみたりして。

──楽曲によってというのもあると思いますが、きっと相手によって引き出される部分もあったりするんでしょうね。

MICO:そうなんですよね。(2マンの)ライブに誘ってもらえたというところからやっぱりちょっと拓けたものもあって。いままでは、バンドや女性シンガーと一緒にやる機会が多く、今回のような男性シンガーでジャンル的に異なるアーティストにライブに誘って頂いたのは初めてのことなんです。今回、SHE IS SUMMERの音楽を聴いてもらって、claquepotの音楽とマッチすると思って誘ってもらえたのかと思うと、これまで自分が出してきた作品に対する見え方──他の人がどういう風に聴いてくれてるんだろうってところが自分のなかで変わったかもしれないです。

──自信にもなったみたいな。

MICO:はい。こういう方向も良いのかなってところが拓けた気がする。(SHE IS SUMMERは)ソロプロジェクトだからいろいろやっていっていいんだなって思っているんですが、いろいろって、もう無限じゃないですか(笑)。でもこれまで培ってきたルーツみたいなものもあるし、自分が持っているもの、手放せないみたいなものもいっぱいある。だけど私と違うルーツで育った人からはこういう見え方をすることもあるんだってことを知れると、じゃあこっちもやってみようかなって思うきっかけになるんですよね。

──そこからさらに、自分も知らなかった自分を発見出来たりして。

MICO:ね。まぁでも、いつもとは違う曲を歌うって普通に楽しいですし(笑)。

──あ、単純にそうですね(笑)。

MICO:ずーっと同じスタイルのボーカルを練習するのもひとつの技ですけど、私は結構移り気なので。

──これまでの髪型を見てもわかるように(笑)。

MICO:そう(笑)。いろんなことに挑戦して、いろんな良さを知っていくのが好きなんです。だから今回はまさに、そういう作品になったなとも思っているんですよね。

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