【インタビュー】前田紘利TJ、女性目線で描く切ない恋物語「砂時計」のキーワードは「泣き顔で笑った」

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■大変さのほうが今でも大きいですね
■でも、楽しめるようになってる


──タイトルにもなっている“砂時計”は、この曲に込められている感情をいろいろ想像できるモチーフだと思います。

TJ:“こういうことじゃない?”って、いろいろな解釈ができるのが嬉しいんですよね、僕は。針式の時計やデジタル時計は、あと何秒とかわかりますけど、砂時計ってよくわからないじゃないですか? 砂がまだまだ残ってると思ったら、一気に減ったというようなことがあるので。

──砂時計は、ファジーな部分がありますからね。人間の感情は正確に一定のペースで動くものでもないですから、その感じに通ずるものがあるのが砂時計なのかなと。この曲を聴きながら、そんなことも思いました。

TJ:こうしてお話をすると発見がありますね。今、新しいエモさが生まれたって思いました(笑)。

──“初めてのショートも悪くはないでしょ?”という歌詞も、物語をいろいろ想像させてくれる一節です。

TJ:男性女性問わず、気持ちを一新したい時って髪を切るのかなと。こういう描写はよくあるのかもしれないけど、それもいいなと思って書いてみました。“上書き保存みたいに いつかは忘れられるのかな?”という部分もそう。恋愛に関して“女性は上書き保存で、男性は名前をつけて保存”みたいなことって、よく聞くじゃないですか? でも、僕はそこに性別とか関係ないように感じていて。曲を聴いた時の引っかかりになるというか、“聴いた人はどう感じるんだろう?”と思いながら書きました。


──“今でも 好きだと ⾔えずに 泣き顔で 笑った”も、いろいろな解釈ができると思います。“気持ちを前向きに切り替えた”と解釈する人もいるでしょうし、“まだ悲しみから抜け出すことができていない”と解釈する人もいるはずです。

TJ:“泣き顔で 笑った”は、キーワードだと思っています。強がりと解釈することもできるでしょうね。これも聴いてくださるみなさんの解釈を訊いてみたいです。

──リスナーのその時の状況、経験してきたことによっても、捉え方は変わってくるんだと思います。

TJ:昔聴いていた曲を大人になってから改めて聴いて、より胸にグッと来た経験は、僕もしたことがあります。それは音楽っていいなって思う瞬間ですよね。「砂時計」もそういう曲になったらいいですね。何年後かに改めて聴いた際、新しい捉え方とかをしていただけたら嬉しいです。

──サウンドに関しては、1コーラス目まではピアノとギターが主体で、2コーラス目からベースやドラムも加わっていきますね。

TJ:歌声をしっかり届けるためには楽器の音をシンプルに、バンドの生音感に近いものにしたほうがいいのかなと思っていました。

──TJさんはご自身で作詞作曲をするようになっていますが、そういう制作も楽しめていますか?

TJ:やり始めた頃は楽しいとかよりも、どうしたらいいんだろう?という感じだったんです(笑)。でも、アイドルグループのプロデュースとかをしたことで、いろいろ勉強できました。そういう経験を活かせるようになってきた中で、ようやく「これは自分の曲です」と言えるようになってきたのかなと。自分がやりたいことを提案してやっていくのは、大変さのほうが今でも大きいですけどね。でも、楽しめるようになってるのかもな?と、今、お話をしながらふと思いました。


──「砂時計」のMVに出演しているサラン・ヘヨさんは、TJさんがプロデュースしていた無酸素女子学園の元メンバーですよね?

TJ:彼女は演技もすごくできるんです。個人的にも彼女の演技を観たかったので、出演していただきました。彼女は今、中学三年生なんですけど、お願いして良かったです。演技というか、なんで自然に泣けるの?って思ったんです。僕の歌を聴いていただきたいのはもちろんなんですけど、彼女の演技をぜひ皆さんに観ていただきたいですね。撮影の時、「泣けなかったら、それはしょうがないからね」という感じだったんですけど、見事でしたよ。僕は彼女のことをものすごく小さかった頃から知っているんですけど、大人になったなってMV撮影の時に感じました。親でもないのに勝手にウルっときっちゃって(笑)。映像作品としても良いものを形にできたので、ありがとう!という気持ちでいっぱいです。

──逸材なんですね。

TJ:そうです。グミをずっと食べていたり、一時はファミチキにはまってずっと食べ続けるような、小学生そのままみたいな女の子だったんですけどね。カメラの前で演技をする瞬間に切り替わる姿に驚かされました。カメラ越しの彼女は、大人の表情になっていたんです。「砂時計」のMVを観た皆さんは、彼女のオフの姿を知ったら驚くんじゃないですかね? 普段はヘナヘナなので(笑)。

──今後、女優として世に出るようになるかもしれないですね。

TJ:ぜひそうなってほしいです。彼女がそうなってもビックリはしないと思いますよ。

──「彼女の才能を最初に見出したのは僕です!」と言えるんじゃないですか?

TJ:それを言い続けると思います。「TJさんのおかげですって言ってね」って毎日LINEするかも。既読スルーされるかもしれないですけど(笑)。

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