【ライブレポート】NIGHTMARE、最新シングル「Rebel」を掲げ2023年ライブ納め「お前達の本気具合を俺達に聞かせてくれ！」

11月8日に最新シングル「Rebel」をリリースし、11月12日から12月12日にかけて＜NIGHTMARE TOUR 2023 Rebels＞と銘打った全国ツアーを行ったNIGHTMARE。

◆ライブ写真

3月にシングル「FAREWELL」をリリースした後2カ月に及ぶ全国ツアーへと旅立ち、8月にはMUCCとの東名阪ツーマンツアー＜悪夢69＞を開催、そして11月に「Rebel」リリース、ツアー開催と、2023年のNIGHTMAREは非常に意欲的な活動を行った。長いキャリアを経てペースダウンするどころか逆に加速している感すらある彼らには、圧倒されずにいられない。最新作「Rebel」で新たな魅力を提示したこともポイントで、忙しい中でも音源制作をルーティン化することなくさらに進化を続けているのはさすがの一言に尽きる。


そんなNIGHTMAREにふさわしく、MUCCとのツーマンツアーから3ヵ月弱という短いスパンにも拘わらず、今回の＜NIGHTMARE TOUR 2023 Rebels＞も各地ともに多数のファンが終結。ツアーファイナルを飾った東京Zepp Haneda公演もチケットはソールドアウトとなり、1階フロアから2階席最後列までオーディエンスでビッシリと埋まった状態で開催された。

ステージにNIGHTMAREが姿を現すと客席から大歓声と熱い拍手が沸き起こり、ライブは緊迫感を湛えた「TO BE OR NOT TO BE」で幕を開け、パワフルな「Can you do it?」「Mr.trash music」を続けて聴かせる流れから始スタート。ステージサイドに設置されたPAスピーカーに登って歌うというアクティブな動きを見せるYOMI（Vo）を筆頭に、フィジカルなステージングを展開しながら、身体を揺する音圧とキレのよさを併せ持った上質な轟音を鳴り渡らせるメンバー達。客席は早くもヘッドバンギングの嵐と化し、NIGHTMAREはオープニング3曲で場内を完全に掌握してみせた。


「お前達、会いたかったぜぇー！　今日はツアーファイナルでございます。そして、NIGHTMARE、今日が2023年ライブ納めになります。お前達、納める準備はできているんだろうな！　お前達の本気具合を俺達に聞かせてくれ！」というYOMIのMCを挟んだ後、セカンドブロックではハードネスと洗練感を巧みに融合させた「Rebel」やNi~ya（B）のスラップと咲人（G）のスリリングなギターソロなどを配した「Cynical Re:actor」、柩（G）のソリッドなギターワークやRUKA（Dr）が叩くタイトな高速ビートが心地いい「極上脳震煉獄・弎式」などをプレイ。キャッチーなメロディーと爽快感を放つサウンド、そしてメンバー全員が織りなす上質なプレイなどが折り重なった楽曲達は、気持ちを引き上げる力に溢れている。オーディエンスも一体感と熱さを湛えた華やかなリアクションを見せ、ライブは終始いいムードで進んでいった。


ライブ中盤では「minus」や「縷々～lulu～」「茜」といった翳りを帯びたナンバーが届けられた。抑揚を効かせたYOMIのボーカルと楽器陣が奏でるテイスティーなサウンドが描き出す透明感を湛えた美麗な世界観は本当に魅力的で、深く惹き込まれずにいられない。アッパーなNIGHTMAREもエモーショナルなNIGHTMAREも良質なのは大きな強みといえるし、「Rebel」に収録されている新曲の「minus」が早くもライブの中で絶妙なアクセントになっていることも印象的だった。

その後はオン／オフを活かしたロックチューンの「Re:Do」やレトロが香る「Gotta Get a Ghost」、刺々しさを発しながら疾走する「Pierrot Le Fou」などをプレイ。NIGHTMAREは楽曲の良質さに加えて、演奏力の高さも魅力といえる。安定した歌唱力と秀でた表現力を誇るYOMIのボーカルや鉄壁のアンサンブル、プレイのディテールの精緻さなどが光る彼らのサウンドは心地よさに満ちていて、そこもNIGHTMAREのライブが多くのファンを魅了する大きな要因になっていることは間違いない。ヤンチャな雰囲気を保ったまま熟成を重ねてきた現在の彼らは、唯一無二の魅力を湛えた存在といえる。


ハードな「極上脳震煉獄・弐式」からライブは後半に入り、客席から大合唱が湧き上がったファストチューンの「ジャイアニズム天」とダンサブルな「404」が畳みかけるように演奏された。眩いオーラを放ちながらステージを行き来するメンバー達の姿とラウドなサウンドの応酬に、オーディエンスも熱狂的なリアクションで応える。場内のボルテージはどんどん高まっていき、ツアーファイナルにふさわしい盛大な盛り上がりを見せて本編は締め括られた。

アンコールを求めるオーディエンスの熱い声に応えて再びステージに立ったNIGHTMAREは、まずはメンバー全員が今回のツアーの思い出を語る。

「Ni~yaと、いっぱい飲んだ。あとは大坂でメンバー5人でご飯を食べて美味しかったし、すごくファミリー感があったよね」（柩）

「曲を作ったときはいつもみんなからの感想をもらって、すごく好きですといった意見があることで自分もその曲を好きになれるんですよ。（曲を好きになるには）そういう段階があるけど、今回は初日から感触がよくて、最初からちゃんと好きになれました。皆さんに救われているなと思ったツアーでした」（咲人）

「札幌の楽屋でみんなでやったトランプ（ババ抜き）が、異様な盛り上がりを見せたよね（笑）。それが、めちゃくちゃ面白かった」（RUKA）

「広島で楽屋に占いの本があってYOMIが占ったら、自分は“変態”だった（笑）。広島で変態と呼ばれ、仙台で“スケベ”と言われ、なんか俺ヒドくない？」（Ni~ya）

「初日の横浜で、マネージャー情報でチリから来てくれたファンの方がいらっしゃると聞きまして。その方は多分アニメから入ったと思うので、「the WORLD」を1コーラス演奏してあげたんですね。そうしたら、すごく喜んで帰ってくれたそうです」（YOMI）



“バリッ”としたライブを披露しつつMCで素顔を見せる辺りは本当に心憎い。それぞれの言葉に客席からは笑いや感嘆の声などが相次いであがり、オーディエンスにとってメンバーのMCもNIGHTMAREのライブの大きな楽しみの1つになっていることが如実に感じられた。

その後はハードチューンの「a:FANTASIA」と爽やかかつメロディアスな「Star Spangled Breaker」を経て、「the FOOL」「the DOOL」「My name is“SCUM”」のメドレーを披露。「the FOOL」「the DOOL」で明るくハジケた後、「My name is”SCUM”」でアグレッシブに炸裂する流れが決まって場内は怒涛の盛り上がりとなり、NIGHTMAREとオーディエンスの双方が完全燃焼したことを実感させて＜NIGHTMARE TOUR 2023 Rebels＞は幕を下ろした。


意欲的に駆け抜けた2023年を最良の形で締め括ったNIGHTMARE。観応えのあるライブだったし、オーディエンスの熱狂ぶりにも圧倒された。客席のあちこちに若い世代のファンが見受けられたことも含めて、NIGHTMARの“引きの強さ”は翳りを見せることがないようだ。そんな彼らだけに、2024年の活動にも大いに期待したい。

取材・文◎村上孝之
写真◎Takehiro Suganuma