AC/DCワールドツアーはアメリカから

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AC/DCは8月1日(火曜日)の夜ミシガン州Grand Rapidsに「地獄へ続く高速道路」を敷いた。『Stiff Upper Lip』のリリースにともない、力強さに深みが増し、シンプルな中にも勇敢さと厳格さを備えた賛歌、ドラマチックな演出と派手なステージが繰り返されてた。AC/DCは初めから燃えるような熱いロックショーを見せた。初日に多少のトラブル(会場を取り囲む反悪魔デモ隊の仕業か)はあったが、それをもってあり余る、一瞬たりとも目が離せず音を聴きこぼすことができないような、すばらしい宴であった。

5人のメンバーは24年間のキャリアを誇る充実したレパートリーで初端から観衆を熱狂の渦へと誘い込んだ。オープニングに堅実な「You Shook Me All Night Long」を、『Stiff Upper Lip』から2曲、そして、'77デビュー当時の『Let There Be Rock』から雅量ある選曲にファンは呻りをあげた。ボーカルのBrian JohnsonとリードギターのAngus Young(伝統的な学生ファッションを披露)はステージからアリーナ中央まで延びる通路を頻繁に行ったり来たりしながら、観客が手を伸ばせば触れることができるような位置に身を置き、演奏を続けた。また、ヴィデオスクリーンが3カ所に設置され、各メンバーの動きを大画面が映し出していた。「Hells Bells」での大きな鐘、「For Those About To Rock (We Salute You)」の6連射砲など、AC/DCお決まりの演出に加え、ビジュアル面でいくつか趣向を凝らした楽しさが見られた。光った目に悪魔の角をつけた巨大なYoungの彫像がスモークにまかれ何種類もの花火をならし、2台の5階建て組立ステージが側面を囲いみ、「Let There Be Rock」では曲間の演奏を長引かせリフトに乗ったギターリストが水圧で空中へ押し上げられ場面があり、また、「Highway To Hell」ではの火投げで盛り上がった。

バンドはGrand Rapidsで2週間リハーサルをし、従来のギター中心のサウンドに安定感と力強さが備わった。人気者Johnsonは終始陽気で、金切り声をあげはしゃぎ回っていたが、後半少しバテ気味になった。また、「T.N.T」演奏時の激音はクリアー(できわめて大音量の)サウンドが連なったものへのカウンターパンチ。概して、AC/DCのステージはスリルに満ち、ロックンロールは騒音公害などではないことを改めて認識させるものだった。AC/DCのライヴで米国は今夜も熱い夜を迎える。

約30分のオープニングアクトが組まれ、SlashのSnakepitが演奏、新作『Ain't Life Grand』(Kochから米国10月10日発売)に先駆けて「Just Like Anything」と「Shine」の2曲を披露した。また、「It's So Easy」などGuns N' Roses時代の曲も演奏した。

Slashは定番のシルクハット姿で、従来の味のあるダイナミックなギターテクニックが健在であることをアピールした。それに比べ、Snakepitの他のメンバーはSlashのプレーについていくのがやっとという感じで退屈なものに終わった。ボーカルのRod Jacksonに至っては使い古された面白みのないステージトークに従事し、挙げ句の果てには観客にその日初めて聴く曲を歌わせようとした。

AC/DCコンサート初日の演奏曲目

“You Shook Me All Night Long”
“Stiff Upper Lip”
“Shot Down In Flames”
“Thunderstruck”
“Hell Ain't A Bad Place To Be”
“Hard As A Rock”
“Shoot To Thrill”
“Rock And Roll Ain't Noise Pollution”
“Get It Hot”
“Bad Boy Boogie”
“Hells Bells”
“Satellite Blues”
“The Jack”
“Dirty Deed Done Dirt Cheap”
“Back In Black”
“Highway To Hell”
“Whole Lotta Rosie”
“Let There Be Rock”
(アンコール)
“T.N.T.”
“For Those About To Rock (We Salute You)”

記:Gary Graff、デトロイト
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