大解剖 ソロ・インタヴュー/アキラ

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デビューしてからの3年半で、RUN & GUNは何を手に入れたのか?


ダンスじゃないですかね。この業界に入るまで、ダンスをまったくやったことがなかったんですよ。単なるサッカー少年やったんですよ。だから、ダンスは……まだ足引っぱってる部分はありますね。伸びがまだ甘い(苦笑)。努力が苦手なんですよ……努力とか根性とか、そういうのが苦手なんです。なんか一瞬やってみて「できた!」って思ったものを伸ばすタイプだから。だから、自分が苦手なものにはあんまりチャレンジしないほうなんです、僕は。だから勉強とかも、できない教科はやらないで、できる教科をどんどん伸ばしていくんです。スポーツもそう。例えば球技系はだいたいなんでもできるんですけど、バスケはまったくできないんです。RUN& GUN ってバスケ用語なんですけど、でも、バスケができないという(笑)。
(――RUN &GUNをやるようになって、自分自身、変わっていった部分はある?)
苦手なことにも挑戦してみる、という穴埋めはしてますね。そこは変わった。昔は、ほったらかしやったから。
(――それはメンバーの足を引っぱるのが嫌だからそうなっていったのかな?)
それもありますし、自分自身、舞台の上に立ってる演者として、あんま情けない部分は見せたくないってとこもあります。なんか、負けみたいじゃないですか? 基本、負けず嫌いなんですよ。だから、前はほったらかしてたできないことにも、徐徐に取り組むようになったんです。RUN& GUNとして進化したところというと……いろいろやらせてもらったっていうことですかね。例えば、特殊なところでは和太鼓がちょっと叩けるようになったり。去年の11月には、関西の劇団「赤鬼」さんとコラボで舞台をやったり。得るものはすごくたくさんありましたよ。



二十歳になっても、オトナにはならない

今回のアルバムのソロ曲っていうのは、メンバー一人ずつ、いま自分が思ってることや恋愛観をいろいろ喋り倒して。それプラス、それぞれが好きなジャンルの音楽を(作家に)伝えて。そこから出来上がったものなんですよ。だからみんなが納得できるソロ曲だったんじゃないかなと思います。僕はテクノ系っていうか、パラパラとかのユーロとか、ガチャガチャした音楽がすごい好きなんですよ。そういうことをまず話して。あとは、自分が考えてることとして、僕は世の中に不満がいっぱいあるんですけど。年金払っても60年後とか絶対支払われへんとか。日本はいま借金まみれで、そのうちアメリカに吸収されるんじゃないかとか(笑)。友達が仕事関係でそういうことに詳しいので、いろいろ話を聞いたなかでの不満であったり。恋愛も昔は一筋やったのに、いまはチラホラ……とか(一同笑)。オトナが大っ嫌いとか。20歳になっちゃいましたけど、僕はいつまでもピーターパンでいたいなと。子供の心は忘れずに。とか、そういう話をして生まれてきたのが「timeshock」。
(――なんで大人が嫌いなの?)
自分のいいように嘘つくじゃないですか? 親も仕事関係の人も、多かれ少なかれそういうところはあって。だから、オトナはあんまり信用してないですね。話を聞くようにはなりましたけどね。昔は話自体、拒否してましたから。いまは、1回は話を聞いて「どういう思いでそういうことを言ってるのか」を考えてから、返すようになりました。「この人、嘘ついてんな」って思いながらも「(笑顔で)そうなんですか~」とかできるようになりました。そこはオトナになったところですね。でも、僕は変わらずいつまでもガキでいたい。



アキラが考える、RUN & GUNに足りないものとは?

RUN & GUNとしては、これからも基本であるダンスと歌を、僕が言える立場じゃないですけど(苦笑)もっと伸ばしていかなきゃいけないと思います。自分自身も含め、成長は見えるんだけど、そこまでガツンと上がってるようには思えないから。基本がまだできてないと思うんですよ。僕自身、ダンスもこれまでは振りをもらって踊るだけだったんですけど、去年、初めてダンス・レッスンをやりだして。基本を一個ずつマスターしていこうってことに取り組むようになったんです。前からダンス・レッスンはしたいって言ってたんですけど、いままでは「やらないと、やらないと」っていう感じで、気持ちにゆとりもなかったんでしょうね。僕個人としては、いま舞台俳優さんにすごい憧れてるんですよ。ブラウン管を通しての俳優さんって、生の声は聞こえないじゃないですか? でも舞台だとライヴだから、その場でお客さんの反応がダイレクトに返ってくるじゃないですか? そこにいると自分の足りないところとかその場で見えてくるんです。だから、いまは舞台俳優の経験をもっと積んでいきたいと思ってますね。でも僕、緊張しぃなんですね(笑)。見られてなんぼの仕事なのに、見られてるからこそ自分がどう映ってるのかとか想像したりして。でも、去年の11月にやった舞台は緊張するというよりも、すごく楽しくできたんです。「舞台の空間に入れた!」っていう感じで。
(――そこで何か見つけた感覚があった?)
そうですね。自分のやりたいことは舞台の上で演技をするっていうことなんだなぁと思いました。僕が舞台俳優としての経験を積んで、それがRUN& GUN に戻ってきたときに、またライヴでお芝居したりとか、フィード・バックできればと思います。
RUN & GUNは他の3人が元気なんで、僕は常に一歩下がったところにいて。何事も客観的に見てしまうタイプなんですよ。だからみんなには「もっと前に出ろ!」とは言われてるんですけど。自分をアピールするっていうことに関しては、例えば歌詞を書いたりとか、作り手側には僕、まったく興味ないんです。「アキラ君、いつもなに考えてるの?」って聞かれても「別に…」っていう感じで。自分を分かって欲しいとか知って欲しいっていうよりも、僕は常に演じ手でいたい。いろんな役を演じたいから、ひとつのイメージには染まりたくないんです。だからそうしてるのかもしれないですね。
取材・文●東條祥恵
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