小林武史ロングインタヴュー

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――土台を説明しなくてもよくなりましたよね。

小林:そうですね。ただ、逆にそれに慣れないように、なぜこのフェスをやっているのかということに関して、かなり追求をしました。今回は新しい人にも打診してみたんですけど、割とすぐに出演OKを出してくれる人が多くて。それは、ap bank自体がどういうことをやっているのかということを、ある程度わかっているからOKしてくれたんだと思います。でも僕は出演OKを出してくれた人にも会いに行って、ひと通り話をしてきました。それと、昨年よりも音に入り込んでやりたいということもあり、出演者が歌う楽曲もこちらから提案して、アレンジも変えるという話をしました。昨年は、出演者本人が歌いやすいであろうオリジナルに近い音の楽曲が比重としては多かったんです。だから今年は、もう少しフェス全体の一体感や流れを重視するために、僕らのほうで相当ワガママを言わせてもらいました。

――アーティストが希望する曲を歌うというわけではないってことですね。

小林:そうですね。持ち歌の中でも、もちろんみんなが知っている、知っていないというのもあるんでしょうけど、みんなが知っていればいいってわけでもないですし。その場で初めて聴いて、言葉が届くかどうかということが大切ですから。

――比較的新しい楽曲をやるとは限らないと。

小林:そうです。それと、今年のap bank fesでは、「自然との共生」「地球市民」「持続可能なエネルギー」という3つのテーマで、“エコレゾブース”を作るんです。コンセプトは、お客さんがブースにて、今、世界でどれだけ多くの問題が起こっているか、なぜ問題が起こるのか、その原因を考えていくっていう。

――3つのテーマの内容は、どんな内容になっているのですか?

小林:「自然との共生」では、僕ら人間がどれだけ自然を破壊しているか、それがどのように連鎖しているのかを掲示しています。僕らは自然と共に生きているということを感じてもらいたい。「地球市民」では、アメリカで起こった9.11の事件とか、世界各地で起こっている問題が、自分と無関係ではないということを知ってもらいたい。貧困や少年兵とか、どの問題も先進国がいろんなかたちで持ち込んだ文明によって起こっている問題ですから。「持続可能なエネルギー」では、僕らが生活に豊かさや便利さを求めた結果、CO2(二酸化炭素)をたくさん出しているということを理解してもらいたいです。

――小林さんは、そんな現状を把握しつつも絶望はしていないところがいいですね。

小林:小さいことだとしても、ペットボトルを潰して回収ボックスに入れるとか、みんなでまずはやってみるところから始まると思う。僕らがフェスでそういう風に現在起こっている問題を紹介することによって、フェスにきた人達へ少しでも、未来のためにエコレゾしようというアクションを起こせるかなと。

――そうやって「やってみたほうがいいよね」って言えるところが、フェスを含めてap bankの活動の大きなパワーなんだと思います。小林武史が諦めていないんだから、僕らも諦めるのはやめようって思わせますよね。

小林:地球の温暖化にしろ、修復できないところに行き着く前に、なんとかしないといけない。何とかするためには、先進国が発展途上の国へお金を渡すときに、一緒にエコ・プロダクツの技術も伝えないといけないんです。これから便利で豊かになっていく国には、間違ったやり方で発展したりせず、もっとエコ・プロダクツを使ってCO2をあまり出さないやり方で豊かになっていって欲しい。

――ap bankという存在がありながらの小林武史の音楽が、ap bank以前にあった小林マターの音楽と較べて、かなり記名的になってきたんではないでしょうか。

小林:そうかもしれないですね。でも、この話の続きをまた来年くらいに話せるといいですね。とにかく今は、もうちょっと広くいろんなアーティストへ入り込んで深くなっていきたいです。ap bankと音楽ではなくて、音楽は音楽でのスタンスで幅を広げたいですね。

取材・文●佐伯 明

⇒Bank Band「to U」&<ap bank fes'06>特集


  
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