柴田淳、自分の感覚を信じて作り上げた一つの絵本のようなアルバム『月夜の雨』インタヴュー

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──こういう番外編の曲もありつつ、先ほど柴田さんが“私のイエスマンがほしい”といった気持ちとちょっとリンクしているのか、このアルバム全体は“愛を模索する女の世界”が随所に出てると思うんです。


んー。探してる感はあるかも。愛されたいって思う人が聴く曲かもしれないです。全部が。満たされてるっていうんじゃなくて探してる、追いかけてるってカンジかな。

 

──前作にも増してそのヒリヒリ感が出てますよね。


  私の人生も愛されたい系かもなぁ。

 

──でも、このアルバムの「プロローグ」~「青の時間」で“その絶望、どうした!?”っていう内容で始まり、「私の物語」で未来があって救われ終わる、というところにグッと来ますよね。


「青の時間」は“僕はいつか僕を放棄した”だもんね(笑)。「私の物語」は前を向いている感じが一番強いかなと。これを最後にしたら美しいだろうなと。……って私、単純ですね(笑)。

 

──いや、でもその直感って大事ですよね。


そうなんですよ。その直感が評価されたりするんですよね、結局は。小さなアンテナがピピっと反応してるのを大事にしたいですよね。

 

──5枚目のアルバムを制作してみて、いま改めて発見したことってありますか?


自分ってわからない、ってことかな(笑)。歌詞が乗って初めて魂が吹き込まれるって思ってるんですけど、次、どういう曲が出てくるんだろうって、私ですら思うんですよね。だから今、こうやってアルバムの曲を見てると“わーこんなに曲あるー! こんなに私、曲書いたんだ!?”って(笑)。

 

──“こんなに曲書いて頑張ったぁ~”とは思わない?


頑張った…ってのを通り越して、“信じられない”ですね。制作しているときの私と、作り終わったときの私って別人格みたい。どこで書いた曲かも、レコーディングした曲順も覚えてないし…、人ごとみたい(笑)。

 

──マネージャーさん、制作中の柴田さんと今の柴田さんって別人格ですか?


マネージャー:別人格ではないですけど、でもすごくのめり込むタイプではありますよね。 確かに外界を遮断するかも……? マネージャー:うんうん。

 

──このアルバム、柴田淳にとってどういった作品になりましたか?


しばじゅん:ん~~~。今までで一番重量感を感じるアルバム。自分の感覚を自分で守る、自分で走ってみる、自分で飛び出してみるって勇気を必要とした作品ですね。

 

取材・文●星野まり子


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