映画『携帯彼氏』主題歌「LφST[ロスト]」で鮮烈デビュー!弓木英梨乃特集

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弓木英梨乃 映画『携帯彼氏』主題歌「LφST[ロスト]」で鮮烈デビュー

INTERVIEW

――【ビートルズが大好きな19歳の女の子】ということで。とりあえず、かなり年上の人たちにも好かれることが多いんじゃないかと。

弓木: はい(笑)。

――ビートルズ好きは、ご両親の影響ですか。

弓木: はい。お父さんがすっごくビートルズが好きで、ずっと聴いてました。音楽をやろうと思ったのは自分からだけど、そう思ったときにそういう環境がありました。いま考えると、すごいことだなと思います。

――ビートルズを大好きになるきっかけがあるんですよね。

弓木: はい。毎年大晦日に、親戚一同で天橋立に旅行に行くのが恒例だったんですよ。カニを食べに。それで中学生1年生のときに、旅行に行く途中の車の中でビートルズの「オブ・ラ・ディ・オブ・ラ・ダ」を聴いて、“この曲ヤバイ!”と思って、ハマりました。

――それまでも、ビートルズは家の中で流れていたんですよね。

弓木: はい。でも全然興味がなくて、流行りのJポップ的な音楽を聴いてました。それで、その日からずっと「オブ・ラ・ディ・オブ・ラ・ダ」ばっかり聴いていて、そしたらお父さんが「キャバーン・クラブに連れてってやる」といって、大阪にあるビートルズのコピーバンドが出演するクラブに連れて行かれて。私は「オブ・ラ・ディ・オブ・ラ・ダ」が好きなだけで、ビートルズが好きなわけではなかったから、全然行きたくなかったんですけど(笑)。でも面白そうだから行ってみたら、ジョージ・ハリスン役をやっていた人がすっごいカッコよかったので、この人と仲良くなりたいなと思って、これはギターを始めるしかないんじゃないかな?って(笑)。

――決断が速い。積極的な性格なんですね。

弓木: はい(笑)。

――最初に弾いたのはどんなギターですか? アコギ、エレキ?

弓木: エレキです。お父さんが、音楽が好きすぎて、仕事場にスタジオを作っちゃったんです。そこにいっぱいギターを持っていて、私がギターをやりたいといったら、すぐに持って帰ってきてくれて。

――そこからはひたすら、ギターと音楽の日々を?

弓木: はい。中学ではソフトボール部に入って、部活一本だったんですけど、ギターを始めて1週間で辞めちゃいました(笑)。ギターにハマりすぎちゃって。そこから、ギター一本です。ビートルズのことをいろいろ調べたり、ほかにもいろんなギター・ヒーローの曲を聴いたりしていました。

――たとえば?

弓木: 昔のロックをいろいろ聴きました。スティーヴ・ヴァイ、スティーヴィー・レイ・ヴォーン、ヴァン・ヘイレン、ジェフ・ベックとか。コピーはできないけど、すごいなあと思って聴いてました。

――最初にコピーしたのは「オブ・ラ・ディ・オブ・ラ・ダ」ですか。

弓木: 違います。最初は「レット・イット・ビー」。お父さんがコードを教えてくれて、初めて弾きました。コードが押さえられなくて挫折するとか、よくいうじゃないですか? そういうのは全然なくて、弾けないのが悔しいから、ずっと弾いてました。

――最初に弾いたギターは?

弓木: エピフォンのカジノです。あと、ビートルズ後期にジョージが使っていたサイケデリックなギターが欲しくて、お父さんの黒いストラトをお父さんと一緒にサイケデリックにペイントして。中学生のときはそれをずっと弾いてました。

――同じようなギター少女、周りにいました?

弓木: 全然いないです(笑)。

――その後、中学校3年生のときに曲作りを始めたきっかけにも、お父さんが登場するんですよね。録音用のMTRを誕生日に買ってもらって。

弓木: はい。なんか、すべてお父さんのおかげですね(笑)。

――どんな曲を作ってたんですか。

弓木: ビートルズばかり聴いていたので、詞も英語で作りたかったし、曲調もビートルズっぽい感じにしたくて。MTRだから、ギター、ベース、ピアノとか、全部自分で弾いて入れたんですけど、今は聴けないぐらい恥ずかしいです。歌詞は“ラヴ&ピース”的なものを英語で書いてました(笑)。でも、ほかのギター・ヒーローの影響で、インストも作りたいと思って、作ってましたね。

――そして高校に進学。ミュージシャンになる人は、その頃にバンドを組むという人が多いですけど、弓木さんはバンド経験がないんですよね。

弓木: 組もうと思ったんですけど、楽器をやっている子が周りにいなかったというのもあるし、私に協調性がないというか…(笑)、曲を自分で作って、全部自分でやりたいって。頭の中にイメージは全部あるけど、それをみんなの前で口に出して言えない。音楽だけではなくて、私生活でもそうなんですけど、人の中で自分の意見を言うことがすごい苦手なので。全部一人でやるほうが楽だし、楽しいし、そう思ってやってました。

――そしてその頃、もう一つ大きな音楽の出会いがあるんですよね。

弓木: はい。音楽が好きな友達ができて、一緒にCD屋さんに行って。そのときは私もいろんな音楽を聴くようになって、Jポップとかも聴いて、aikoさんが好きだったんですよ。それで「あ」のところに行って見ていたら、友達が“アナム&マキってすごくいいから聴いてみて”って言って、聴いて、すっごいハマりました。私、そのとき恋愛で悩んでたんですけど、アナム&マキのすごいストレートな詞を聞いて、初めて歌の歌詞に共感して、グッときて刺さったというか。“日本語っていいな”と思って、“私も日本語でこんな曲を書きたい”と思って、こういう人たちになりたいと思いました。

――そこからオリジナルをどんどん作り始めて、高校1年の秋には初めてライヴハウスにも出ちゃいます。

弓木: ライヴハウスで対バンして、友達はたくさんできました。みんなちょっと年上で、どこに行っても“若いね”ってチヤホヤされてました(笑)。

――そして一般公募のオーディション「第2回SCHOOL OF SCHOOL」に応募して、グランプリを受賞。自信はありました?

弓木: 全然。でもうれしかったです。今もですけど、自分にあんまり自信がなくて、だから人にあまり聴かせたくなかったし、言いたくなかったんですけど。自分のやっていることが初めて認められたというか、肯定されたというか、“これでいいんだなあ”って思って、ちょっと自信になりました。

――そして高校3年生でインディーズ盤の初CD『INITIATION』を出します。

弓木: めちゃめちゃ感動しました。私、絶対ミュージシャンになってやるっていう、そこまでの気持ちではなかったので、“自分でも出せちゃうんだ”ということに感動して。これからもっと本気で取り組んだら、メジャー・デビューとかもできちゃうかもしれないって。頑張りたいなと思いました。その日に、上京しようと決めました。

――やっぱり積極性と行動力の人ですね。それで今年の春に大学生になって上京して、10月にいよいよメジャー・デビュー。しかも映画『携帯彼氏』主題歌という、いきなり大きなタイアップ!

弓木: ビックリしました。自分が一番ビックリした(笑)。

――テーマをもらって書き下ろすということに、戸惑いはなかったですか?

弓木: 『20世紀少年』が好きで、前に一度、勝手に主題歌を作ったことがあったんですけど(笑)。でもこの映画『携帯彼氏』は、内容がサスペンス・ラブストーリーで、こういう物語の映画は私にとって初めてだったし、すごい悩みました。実家のお母さんとお姉ちゃんに電話して、“どうしたらいいのかな”って相談してました(笑)。結果的に、曲調はサスペンスで、歌詞はラブストーリーの曲になったと思います。

――できあがって、聴きどころは?

弓木: パッと聴くとサスペンスでダークな感じかなと思うんですけど、でもサビはキャッチーな耳に残るメロディにしたいなと心がけて作ったので、メロディが聴きどころです。それと、最初にデモを作ったときに“この曲には絶対にストリングスを入れたい”と思っていたので、実際にリヴァプール・セッション・オーケストラに演奏してもらって、それを聴いたときに涙が出るぐらいうれしかったです。そこも絶対聴いてほしいなと思います。あとはギター・ソロ。私は曲を作るときにギター・ソロにすごいこだわりたいなと思っていて、今回もすごい考えて、曲のイメージに合うように作ったギター・ソロなので、それも聴いてほしいなと思います。

――作詞、作曲、シンガー、ギタリスト。弓木さんの特長はいろいろあるけど、今はどの部分を中心にしていきたいですか。

弓木: 今は、いい曲を作ることを一番大事にしています。そのためには、いろんな音楽を聴くことが大事だと思っているので、蓄積量だと思います。私は、まだまだ足りないと思ってます。

――「LφST」はラブソングで、カップリングの「Pride」の歌詞は、“夢を叶えること”をテーマにした内面的なメッセージ・ソング。詞を書くときにはどんな気持ちで書くんですか。

弓木: 詞は、詞を書くという気持ちで書いたことはなくて、思ったことをそのまま書いているだけなんですけど。いろんなことを経験して、経験から思ったことを素直に書くのが、一番わかってもらえると思うので。いい曲を書くためには蓄積が大事だって言ったんですけど、詞を書くためにも、いろんなことを経験して、感じて、そういうことが一番大事だなって私は思います。

――まだ数曲しか聴いてないけれど、オリジナルはたくさんあるんですか。

弓木: 今創作中なので、頑張ります!

――自分の歌を届けたい人のイメージはあります? たとえば、同世代の女性とか。

弓木: 老若男女問わず、幅広い世代の人に聴いてもらえるのが一番だと思うんですけど、私は今19歳で、自分の思ったことを曲にしているので、同年代の女の子に共感してもらえるのが一番うれしいです。でも今までに聴いてきた音楽では、やっぱりビートルズが一番好きだし、ビートルズが好きなお父さんぐらいの年代の人が私の曲を聴いて、いいなと思ってくれたらいいなと思います。

――うん。いいなと思いました。

弓木: ありがとうございます(笑)。

――最後に、これを読んでいる方へメッセージをお願いします。

弓木: とりあえず、早く名前を覚えてもらって、一人でも多くの人に曲を聴いてもらいたいです。私も、一人でも多くの人に共感してもらえる曲を書きたいと思っているので、ぜひ応援してもらえたらうれしいです。ライヴもいろんなところでやりたいと思っているので、ぜひ見に来てください。

取材・文●宮本英夫

 

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