【FRF'01特集】山あいの森にエレクトロニック・ビートがこだまする!最終目のWHITE STAGEは苗場ならではの異空間と化した

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【フジロック'01特集】
山あいの森にエレクトロニック・ビートがこだまする!
最終目のWHITE STAGEは苗場ならではの異空間と化した
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ヒップホップ・シーンの勢いはこうした野外イベントにも及びはじめている

Little Tempo 最新Album

KEDACO IS BORN
カッティング・エッジ CTCR-11086
2001年5月16日発売 2,548(tax in)

SQUAREPUSHER 最新Album

GO PLASTIC
WARP BRC-40
2001年6月16日発売 2,500(tax in)

Orbital 最新Album

『The Altogether』
eastwest AMCE-7234
2001年4月11日 2,520(tax in)

電気グルーヴ脱退後、初となる砂原良徳の注目のライヴが急病のためキャンセルになってしまったのは残念だったが、29日WHITE STAGEのラインアップはテクノ系のアーティストを中心に大いに盛り上がった。

▲Joujouka
DJ TSUYOSHIは1日目のRED MARQUEEでもプレイ。このステージではB、Gも加わってさらにヒートアップ


▲Little Tempo
かなり暑かったが、ゆったり踊れるのでちょうどいい。スティール・パンの音色が真夏の太陽に映える

ゴア・トランスの第一人者から活動の枠を多方面に広げるDJ TSUYOSHIは、Jojoukaを率いてトライバル系ビッグビートとでもいいたくなるような独自のサウンドを展開。ベース、ギターが加わったステージは全体的にロックの香りが濃厚なステージだった。次に登場したインスト・ダブのリトル・テンポは、3人のスティール・パン奏者の自在なアンサンブルにより、カオティックな異次元の世界を繰り広げる。日中は太陽が直接照りつけ、おまけにWHITE STAGE周辺は日陰がなくてつらかったけど、前半の日本の実力派2バンドの演奏は、暑さから逃げることも忘れて踊りまくる人が多くて頼もしかった。


▲SQUAREPUSHER
とにかく終始ハイテンション。お世辞にも品が良いとは言えないお言葉を吐きつつ煽る煽る!

そして、一時期、ジャズ/フュージョン系生演奏への接近もあって一体どんなライヴになるか想像もつかなかったスクエアプッシャー(=トム・ジェンキンソン)が登場。その実態はサンプラー、ミキサーなどが収納された機材ボックスを操り、テンポ、サウンドが目まぐるしく変わる超高速ブレイク・ビーツを主体とした1人変態プレイだった。ただ、基本は1人プレイでありながら、顔から下が機材で隠れてしまっているという制約すら物ともせず、“F--KI'N GUY!”という芝居がかった雄叫びで何度も客とコミュニケートしようとするのがユニーク。1年目のフジロックで、はりぼての家に篭ったまま最後まで顔を見せなかった親友、エイフェックス・ツインとはひと味違う陽性なパンクのノリが何故かとても頼もしく感じられた。


▲Orbital
トレードマークのヘッドセット・ライトをつけた坊主2人。新作だけでなく、過去の作品からもタップリ披露!

すっかり日も落ちたところで登場したのは、オウテカの代わりに急遽出演が決定したオービタル。そのスタイルはオーソドックスなテクノだが、繊細な信号音のひとつひとつが微妙に絡み合うタペストリーのような構築美は彼ら独自のもの。さらにバックのプロジェクターに映る映像やステージのライティングも色彩鮮やかで、その温かい音と光の連なりは驚くほど周囲の自然と星空にマッチしていた。うずたかく積まれたシンセ類の向こうで、スキンヘッドに2つのライトをつけたメンバー2人が“今回のフェスで一番良かったのは他ならぬ俺たちだよ”とMCで話していたが、それも納得というくらいベテランらしい充実したパフォーマンスだった。


▲coldcut
'97年以降オリジナル・アルバムをリリースしていなかったが、間もなく新作が出そう。このインタビューではすごいVJシステムについて語ってます

ベテランという意味では、オービタルと同じイギリスの2人組、コールドカットも同様にこなれたライヴをみせてくれた。彼らの場合は、自らのレーベルであるニンジャ・チューンに映像ソフト開発部門を設けているだけあって、とにかくプロジェクターに写しだされる映像と音のシンクロが半端でなくスゴイ。今回はターンテーブルをなくし、メンバーはラップトップ型のMacで映像と音の両方をコントロールするのに専念していたが、これがすぐれたシステムで、音と映像を1セットにしてスイッチングでインサートすることができる。例えば、オーケストラヒットの音にはオーケストラが演奏している映像、木を切り倒している映像にはチェンソーの音、というふうに音と映像を完全にシンクロさせた状態でコラージュすることができるのだ。ただ、肝心の音と映像が基本的に数年前に来日公演をした時と同じ素材で、やや目当たらしさに欠けたのが残念。それでも前回のライヴでは、総勢5~6人の大掛かりなプロジェクトだったのが、今回はステージ上のメンバー2人だけでコントロールできていたし、ところどころで客席の模様をリアルタイムで挿入したりと、コールドカットのライヴのために独自に開発したというVJソフトはかなりバージョンアップされていた。

トリのブライアン・イーノに関しては別枠のレポートに譲るが、これも“人力テクノ”とでも呼びたくなるようなパフォーマンスで、アンビエントをはじめ、テクノへ多大な影響を与えた伝説のアーティストとしての底力をみせた。こうして、この日は最初から最後まで、気持ちの良い音で踊らせてくれた一連のテクノ/クラブミュージック系のアーティスト達だったが、何より印象に残ったのは、彼らの未来的なサウンドがWHITE STAGE周囲の森林や夜空に溶け込んでいたこと。例えば、コールドカットは、映画『ブレードランナー』やアニメ『攻殻機動隊』の映像がインサートされたりするのだが、こうしたSF的な世界観が都内のクラブで観た時よりもずっと説得力を伴っていた。これはバンド系のアーティストとはまた違った野外フェスならではのダイナミズムで、来年もこうしたタイプのアーティストはぜひWHITE STAGE中心でお願いしたいと感じた。もし会場が苗場ならば……。

文●K.O.D.A

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