無意識なものを自然に出していける、そんなポラリスを楽しんでいきたい

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無意識なものを自然に出していける、
そんなポラリスを楽しんでいきたい


もとLaB LIFeのオオヤユウスケ(G、Vo)、もとフィッシュマンズの柏原譲(B)が2000年11月に結成したPolaris(ポラリス)

翌年3月に気鋭のドラマー坂田学が加入後バンドの活動を本格的にスタートさせる。東京・大阪でのライヴ、ライヴ盤のリリースを経て、11月7日メジャーミニ・アルバム『Polaris』をリリースした。

バークスでは、ポラリス結成のきっかけからサウンドコンセプト及びレコーディング、今後の予定までをじっくりと、ヴォーカル/オオヤユウスケ氏にお聞きしました。

3人が混ざり合ったときに、面白いものができる

1st MINI ALBUM

『Polaris』

Family Song 発売中
MTCA-5001 2,000(tax in)

1. 4:30 a.m.
2. 光と影
3. Slow Motion
4. I talk to the wind





<Familysong Festival>

■大阪公演
会場:心斎橋クラブクアトロ
日 :2002年2月8日(金)
出演:Polaris&Nathalie Wise
料金:
前売り  3,800(税込/1DR)
当日   4,300(税込/1DR)
チケット発売日:2001年12月22日(金)

■東京公演
会場:新宿リキッドルーム 
日 :2002年2月11日(月・祝)
出演:Polaris&Nathalie Wise
料金:
前売り 3,500(税込)
当日  4,000(税込)

詳しくはオフィシャルサイトまで


――まず、このバンド結成のいきさつから教えてください。

オオヤユウスケ:
1年半くらい前に知り合いのライヴに行った時、偶然その楽屋で(柏原)譲さんに会いまして、それまでは全く面識がなかったのですが、話していたら盛り上がって、初対面にもかかわらず、その日のうちに「バンドやりませんか?」と。その時はたまたまぼくもラブライフというバンドが解散したところで、譲さんもフィッシュマンズから活動をしていなかったというタイミングがあったのでしょうが、その場の感覚で始まってしまったんですよ。普通は社交辞令で終わってしまうのに、すぐにその数日後に会うって話になって。作品リリースのために始まったわけではなく、演奏したい、ライヴしたいという気分がちょうど一致した時期だったんでしょうね。

――最初からサウンドの基本路線はあったのですか?

オオヤユウスケ:
全く新しいことをやろというのではなく、3人それぞれが経験してきたものを惜しみなく活かして、それが混ざり合ったときに面白いものができるんじゃないか、と話していました。だからダブっぽい曲もあるし、ミニマルなリズムもあったし。ミーティングで詰めていくというよりは、なるべく無意識なものを自然に出していける場にしようと。

――ラブライフとフィッシュマンズの融合といわれるのは心外ではありますか?

オオヤユウスケ:
それぞれが所属していたのは事実だから、それは構わないし、そのつながりで興味をもってくれる人もいるのでしょうけど、今やっているのはポラリスなんだよと。

――なるほど。それでもベースラインは個性的ですよね。

オオヤユウスケ:
ぼくが曲と詞を書くのですが、実際にそれをセッションするときに驚きますね。2人は自分では想像できないアイデアをもっているので、良い意味で最初とは違うものになるんですよ。

――それは作曲していても面白いでしょう?

オオヤユウスケ:
そうですね。あとは、いろんな人に聴いてもらいたいので、ギターとメロディが凄く大事な音楽だなと思うんです。でもそれはリズムがしっかりしているから言えることで、その自由な空間が凄く気持ちよくて、ぼくはメロディを作れるし、歌えるんですよね。フレーズだけをとるとレゲエ的なアプローチもあるんですけど、最後にまとまった時には歌を響かせたいな、とみんなで考えて作っているんです。だからインプロビゼーションに思われるけど、12分ある曲でも譜面があって構成も決まっているんです。12分の構成譜なんて嫌ですけどね(笑)。

――レコーディング方法も興味深いですね?

オオヤユウスケ:
ほとんど一発録りに近くて、プロトゥールスを使って細かく直したりはしていません。手でできるところはやろうと。ライヴは生で魅せるものだし。たとえば12分の曲のリズムをフィルなしで叩くことにしても、生とループでは違いますよね。叩く側の昂揚感も違いますし、聴く側にも伝わると思うし、そこに大事なものが詰まっているんじゃないかな、と思うんですよね。

――今回のアルバムは1stということでポラリスというバンド名通りのサウンド、例えば1曲目などはプラネタリウムのBGMのようで、星の説明を聞きながら聴くとはまりそうですね。

オオヤユウスケ:
そうですね(笑)。ぼくは宇宙とか科学とかが好きで、そういう言葉を探していたことは確かなんですよ。

――この間のしし座流星群はご覧になりましたか?

オオヤユウスケ:
見ましたね(笑)。よく見えましたよ。見ましたか?

――寝てしまいました…。

オオヤユウスケ:
うちのホームページにも「見ながら聴きました」という意見が多かったですよ。

――ぼくもそう思いましたよ。ベースはもちろん個性的ですが、ギターも雄弁に世界観を語っていますね?

オオヤユウスケ:
普通のロックバンドに比べると弾いていないと思うんですよ。音数的にも。リハでは弾いているんですが、「ここいらないよね」って感じで抜いていく作業になっていくと、なくても成り立つと感じることがある。ある意味、ベースがコードを弾きながら裏面も弾いている感じがしますからね。

――アルペジオが美しいですよね。

オオヤユウスケ:
もともとクラシックギターが好きで、自分はロックギターじゃないのかもしれない。今の一般的な音作りだと、そのほかの音が鳴りすぎていて、あの音を鳴らしても埋もれてしまうんですよ。大事なものが何なのかを考えないで成り立っているようなものにはしたくなかったんですよ。

――ひとつひとつの音になぜ鳴っているのかという意味がある?

オオヤユウスケ:
アレンジをしているときによくみんなで、音楽的なことではない、この曲はたとえばどんな時間で気温は何度で、どういう心理状態なのか、という話をするんですよ。

――大滝秀治は芝居するときに、小道具ひとつにも意識が行って「この湯呑みは何年使ったという設定なんだ」というらしいですから。

オオヤユウスケ:
それは凄いね。

――結成から1年半で、結構順調な滑り出しに見えますが…。

オオヤユウスケ:
バンド自体が無意識に始まってきているので、ちょっと自分では分からない、見えない力を感じることがありますね。良く考えると何でこの3人が集まっているんだろうね、と今も思うことがあって、不思議ですね。だからそういう場所で自分がもっと楽しんでいけるようなスタイルになっていければいいな、と思います。

取材・文●竹中吉人

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