Mr.Children、『HOME』リリース・ロング・インタビュー

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──じゃ、もっとくだけた話をしましょうか。自分の生まれ育った“HOME”について聞かせてください。

鈴木:そうくるかー(笑)。そうですね、体験してなくても、このアルバムの歌詞に当てはめられる原風景を思い浮かべることができるんですね。情景だったり、子供時代の断片なんかを喚起されるようなものがありますね。僕、“表に立ってなさい”なんて怒られると喜んで立ってるような子供だったんです。外に行くのが嬉しくて。東京の狛江だったんで、自然がいっぱいあったんです。

田原:普通のサラリーマン家庭でしたね。釣りとかキャッチボールとか。ま、面白さのない特殊性のない感じですね。

──僕は今まであなた方4人に、こんな質問したことないですよね?でも、こういう切り口から行かないと『HOME』のことを導き出せない。そういうアルバムです。それぞれの“HOME”感とレスポンスが面白かったです。

中川:ありがとうございます。

鈴木:ああ、終わらせちゃったよ。

──レコーディングも速かったんじゃないですか?

桜井:曲がまとまるのは速かったですね。デモを作ったのは「彩り」と「フェイク」くらいです。だから、小林(武史)さんを含めて5人でいっせいに作ったっていうカンジです。

鈴木:コード譜だけですからね。テンポも決まってなくてメロディもわからない。桜井がアコギで歌うのに合わせて、ちょっとずつ形が出来ていくんです。“もうちょっとこうした方が良いかな”“もう少し速くしよう”といった必要最小限のコミュニケーションだけで。

──難航した曲は?

鈴木:月曜日は「SUNRISE」の日だったんです。

桜井:ずーっとギターを弾いてたよね。

田原:本当に月曜日に何回も弾いていました。サビの部分がうまくいかなくて探してたんですね。ミリ単位のことなんで、みんなは何のことかさっぱりわかってなかったでしょうけど。それに耐えてもらって、本当にありがとうございました(笑)。

鈴木:わかってなかったけど、サビは劇的に変わりましたよ。もっとリフっぽかったのにね。本人が納得してないのは、空気でわかってました。

──このアルバムで、新しいミスチルの時代に突入した気がします。この空気をもっと濃密にして行ってください。

取材・文●佐伯 明

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