またひとり、魂を揺さぶる歌声を持った実力派ヴォーカリストが現れた。Elliott Yamin(エリオット・ヤミン)。

まずは余計な “雑音” で彼に対するイメージが固定される前に、5月21日にリリースされる日本デビュー盤『WAIT FOR YOU』の楽曲を聴いてほしい。もしくは聴きながら読み進めてほしい(全曲試聴用プレイヤーが表示されない場合は記事下部リンクより)。


▲ アルバム『WAIT FOR YOU』全曲試聴プレイヤー

「ビルボード史上、インディーズ新人アーティストで最も売れたアーティスト」「ビルボードR&Bアルバムチャート最高2位」「ビルボードTOP200チャート最高3位」「スターゲート、ジョシュ・エイブラハム、DJリーサルらがプロデュース」「スティーヴィー・ワンダーが大絶賛!」…。エリオット・ヤミンにまつわる名声を挙げればきりがない。オーディション番組で頭角を現した遅咲きの天才ソウル・シンガー。ダニエル・パウターとジェームス・ブラントのいいところを掛け合わせた、という表現もできるかもしれないが、いずれにしてもそんな聴衆の心を鷲掴みにするほどの彼の魅力的な歌の裏には、ハンディキャップと苦悩、そして決意がある。

L.A生まれのエリオット・ヤミン。ホイットニー・ヒューストンやスティーヴィー・ワンダーが好きだった彼に悲劇が訪れたのは、13歳の時。鼓膜が破れたことが原因で、右耳の聴力を失うことになる。当時の彼がアーティストを目指していたかどうかは定かではないが、もしそうだとすると(そうでないとしても)、この出来事は、彼の将来にとって大きなハンディキャップとなった。

そしてさらなる悲劇が彼を襲う。16歳で1型糖尿病を発症。死に関わるこの病気によって、彼の10代は終わる。誰もがやるようなクレイジーかつハッピーな出来事や遊びなどは当然できず、代わりに過酷な食事制限と定期的にインシュリン注射を打ち続けなければならない闘病の日々が始まる。

17歳から働き始めたエリオット・ヤミン。しかし、当日仕事場に行くガソリン代もないというほどの厳しい生活が続く。唯一の救いは、彼の友人たちが彼の歌声の素晴らしさを知っており、ジャズバンドで歌ったり、スタジオの手伝いをしたりといった音楽に関わる仕事を薦めてくれたことだろう。

そんな彼が27歳になった時、友人のひとりがあるオーディション番組へのエントリーを薦める。受けるか受けまいか迷っているエリオット。そんな姿を前に、友人は訊く。「何を失うものがあるんだ?」 エリオット・ヤミンの答えはひとつだった。

「失うものは、何もない」

そのオーディション番組『アメリカン・アイドル』で、スティーヴィー・ワンダーが彼の才能を絶賛。スティーヴィーは、彼のヴォイストレーニング中にフラっと部屋にやってきて、一緒にヴォイトレを行なうほどに彼の歌声に惚れ込み、 “絶対に音楽の道に進むべきだ” と彼と周りのスタッフにプッシュもした。そして全米中の視聴者がスティーヴィーと同じ考えを持ち、そして彼の歌声に魅了されていくまでに時間はかからなかった。

“ステージに立っている時は、自分がいるべき場所にいる気持ち。そしてそれは、今までにない位の確かな感情なんだ” と語るエリオット・ヤミン。彼の、ダイレクトに心の内壁に触れてくるような艶のある声、豊かな声量、そしてあまりにも感情的な表現力は、まさに彼がそこにいるべくして、歌うべくして歌っているからにほかならない。

数々のハンディキャップを抱えつつも、それでも神は彼にステージという居場所を与えた。そんなエリオット・ヤミンにとって、歌こそがすべて。彼から歌を取ったら何も残らないのだ。

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以上の “雑音” を読んだ上で、再び、彼の歌声に耳を傾けてほしい。これが、“失うものは何もない” 男の、心の奥から滲み出てくる、喜びと悲しみのエモーショナルな叫びだ。

●『WAIT FOR YOU』CD情報・楽曲試聴
https://www.barks.jp/cdreview/?id=2000478371

●「Wait For You」PV視聴(フルサイズ)
https://www.barks.jp/watch/?id=1000021853

●「One Word」PV視聴(フルサイズ)
https://www.barks.jp/watch/?id=1000021854