ジェイ・ショーン、『マイ・オウン・ウェイ』インタビュー

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──地元に帰ると昔からの友達はどういう反応?

ジェイ:僕の学生時代の友達はすごくユーモアのセンスがあって、僕が有名になったのをからかって、“お前みたいなデブがよくスターになれたもんだな”とかって言うんだ。っていうのは僕は学生時代すごく太ってたからね。だから、僕に対して畏敬の念を持つとかっていうんじゃなくて、何でお前が的な感じで話すんだ。かなりおかしいし、いい話だよね。

──今まで聞いた自分に関しての噂で、最も変な噂って何?

ジェイ:今まで聞いた中で一番変な噂は、僕がゲン担ぎでつねにピンクのテディベアを持ち歩いてるっていう噂だね(笑)。どっからそういう話になったのかわかんないんだけどさ。もしかしたら、ファンからいろいろプレゼントをもらったりするからテディベアをもらったりしたのかも。それでそのスナップ写真を見た人がいつも持ち歩いてるって思ったりしたのかもね。おかしい話だよね。

──地元にいる時はどういう風に過ごす?

ジェイ:できる限り両親には会いに帰るようにしてるんだ。僕にとって家族はすごく大事な存在だからね。おじいちゃん、おばあちゃん、両親、兄弟たち。家に帰ると家族がマサラ・ティを作ってくれて、マサラ・ティっていうのはインドの紅茶で、僕が大好きなお茶なんだ。で、おばあちゃんはつねに僕に食べ物を勧めてくれて、つねに満腹にさせたがる。とにかく食べ物責めなんだ(笑)。一日中食べつづけて紅茶を飲み続けてる。楽しいよ。

──今はどこに住んでる?

ジェイ:ウィンブルドンに家があって、だからウィンブルドンとウエストエンドを行ったり来たりしてる。両方だね。

──20年後どうなってると思う?

ジェイ:みんなもそうだと思うけど、自分の愛する人、人生を共に歩んでいける人と一緒にちゃんと家庭を築いて、子供もいて、どこかに家も持って、っていう風になってたいね。もしかしたら幸運にもエルトン・ジョンやスティングみたいに、まだずっと歌い続けているかもしれないし、あるいは裏方の仕事にまわって、アーティストのマネージメントやプロデュースなんかをやり始めてるかもしれない。僕のマネージメントの2point9と一緒にジェイディッド・レコーズを立ち上げたのもそういう理由からなんだ。将来的には、新人のアーティストと契約してその面倒をみていくっていうことをやりたいと思って立ち上げたんだ。

──今までやったことの中で最もとんでもなくすごいことは?

ジェイ:えー!? そうだなぁ…たぶん武装車による護衛を受けたことかな。インドの近くにあるナーガランドっていう場所での話なんだけど、もともとはインドの一部だったらしいんだけど、独立を求めて紛争が起こってたんだ。だから内戦がいろいろ勃発してて、で、僕はそのナーガランドで唯一初めてパフォーマンスをする海外アーティストとして、政府主催のライヴに出演するためにそこに行ったんだ。何かそのライヴの目玉となるものが欲しかったんだろうね。プライヴェート・ジェットに乗せられてナーガランドの国際空港に到着したんだけど、着いたら武装した戦車が4台待ってて、その護衛に先導されてホテルまで行ったんだ(笑)。ホテルの部屋には銃を持った警備員が24時間待機でスタンバってた(笑)。すごい経験だったよ。

──ロックを聴いたりすることはある?

ジェイ:僕はいろんなタイプの音楽を聴くよ。コールド・プレイとかスノウ・パトロールとかはすごく好きだね。最近だとワンリパブリックはすごくいいと思うよ。

──自分の中にロック的なはじけた側面ってありますか?

ジェイ:ロック的な側面…当然この業界で仕事をするには必要なものだね。正直、この仕事ってすごく自己陶酔的な部分があると思うんだ。つねに自分のことについて語ったり、つねに自分の写真やビデオを見たり、自分の曲を聴いたりね。だから魂という観点からするといいことじゃないよね、正直なところ(笑)。でもこの仕事をするには、尊大な雰囲気も少しは持ってないといけないし、華やかさも備えてないといけない。だからそういう理由から、ポップ・スターだったらそういうロック的な側面っていうのは、普通よりも表に出てくるものだと思うよ。ディーヴァ的な部分とかさ。スターはみんなそういう部分を持ってるもんじゃない?

──あなたのトップ5アルバムを教えて。

ジェイ:まず一番目が、ボーイズIIメンの『クーリー・ハイ・ハーモニー』。素晴らしい作品。2番目がジョデシィの『ダイアリー・オブ・ア・マッド・バンド』。このアルバムを聴くとR&Bがきになった頃を思い出すんだ。次が、スティーヴィー・ワンダーの『デヴィフィニティヴ・コレクション』かな。スティーヴィーのベスト盤で、これはよく聴いてる。本当に素晴らしい作品さ。それから…ドネル・ジョーンズ。アメリカのアーティストで、知らない人もいるかもい知れないけど、大好きなアーティストさ。彼の『ホエア・アイ・ワナ・ビー』っていうアルバムは素晴らしいよ。このアルバムから曲作りについての素晴らしいテクニックをいろいろと学んだよ。最後は、マイケル・ジャクソンの『スリラー』。本当に素晴らしいアルバムだよね。今でも聴いてる。本当に最高のアルバムさ。

──最近どんな本を最近読んでる?

ジェイ:普段は、気分転換にフィクション系とか小説を読むんだけど、最近読んでるのは『The Secret』っていう本で、ぜひ読んでみて。人生に関するコーチ・ブック的な本で、自己啓発本的なものではないんだけど、気づかせてくれる部分はある。僕のようにこの業界で仕事をしている人間にとって、違った物事の見方に触れられるのはいいことだからね。

──あなたの究極の望みは?

ジェイ:何か影響を与えるようなことをすることだね。マザー・テレサ的な話ではなくて、あとで振り返った時に…例えば僕が70歳になった時に、“ジェイ・ショーンは後進に門戸を開いてくれたよね。彼のお陰で状況が変ったし、それを僕らは忘れないよ”って言われるようなこと。歴史に名を残すようなことだね。引退した時に、誰かに影響を与えるようなことができて、いい人生だったって思いたい。それだけだね。

──あなたに憧れている人にどんなアドバイスを送る?

ジェイ:そうだなぁ…サイドの髪を刈るときにハーフじゃなくてNo.1(のバリカンの刃)でやること。でないと、短くなりすぎることがあって、写真を撮ると坊主に見えちゃうから。それから、(頭に)ラインも入れて…ラインを入れる場合は、清潔な大きめのかみそりを使って入れることだね。僕はそれが一番いいやり方だと思う。他に音楽的な部分だと…そっか、質問はそういう意味ね。キャリア的には、もしこの世界に入りたいと思ってるなら、神経が太くないとやってけない。太い神経をもって、打たれ強く、タフで、自分を信じないといけない。すごく大変な世界だからね。本当に大変な世界さ。だから、自分を信じないといけないし、自分のやってることが大好きで、それをエンジョイできないといけない。とにかく自分のやってることを楽しんで、一生懸命にやることだね。

──来年はあなたにとってどんな年になると思う?

ジェイ:今から来年にかけては、本当にムチャクチャ忙しくなると思う。いっぱいツアーをやって、プロモーションもいっぱいやって。でもそれが僕の仕事っていうか、この数年このアルバムの制作に費やしてきて、やっとこれからこのアルバムを持って世界中を回る。だから、世界中いろんなところに行って、このアルバムの曲を歌って、いい年になるといいなと思ってるよ。

訳:林美和

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