TAHITI80、ロックの原点に立ち返った意欲作4thアルバム『アクティヴィティー・センター』リリース大特集

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Tahiti80 約3年半ぶり通算4枚目のオリジナルアルバム『アクティヴィティー・センター』リリース大特集 INTERVIEW

──久しぶりにメンバー全員が揃ってのレコーディングは、改めて新鮮な感動や喜びなどはあった?

グザヴィエ:僕のソロ・アルバムが、バンドのメンバーにとってはブレイク(小休止)となったと思う。そして今回のアルバムで、僕達は様々なことに挑戦した。なんだか、新しいサイクルが始まったような気がしたよ。セッション中も楽しかったけれど、実はドラマーのシルヴァンが、耳に大きな問題を抱えているんだ。徐々にライヴでは演奏をしなくなっていった。というのも、彼は常に耳を保護していなければならないから、ライヴは厳しいんだ。大音量だと、彼の耳が悪化してしまうのさ。でも、スタジオの中ではずっと僕達と一緒に仕事していたんだけど、今回はとうとう……彼はもうドラムを叩けなくなってしまった。彼は素晴らしいドラマーだから、すごく残念だし悲しいよ。だから、今回はシルヴァンがドラムを叩いていない作品という意味でも、初めてのアルバムだと言える。もちろん、シルヴァンはバンドに所属しているよ。マルチ・インストゥルメンタリストだから、今回は数曲でキーボードを弾いているしね。キーボードの音は、ドラムの音よりも耳に優しいんだ。曲のアイディアも出してくるし、れっきとしたメンバーさ。ドラムについては、僕がソロでショウをやっている時のドラマーを起用した。彼がシルヴァンから説明と指導を受けて、ドラムを叩いたから、サウンド的にはシルヴァンのドラムとよく似ていると思う。

──今の自分たちの方向性は間違っていないと、最初にしっかりと確信した曲は?

グザヴィエ:たぶん「Brazil」だろうな。ギターが前面に出ているギター主導のアップテンポ・トラックだけど、メロディックでもある。この曲の持つエネルギー、ギター、シンプルなハーモニー……全てが新鮮で、アルバムを象徴していると思う。

──レコーディングの現場も楽しいものだったの? スタジオで最も記憶に残っている出来事があれば教えて。

グザヴィエ:「Predictable」って曲があるんだけど、あの曲にはちょっと面白い裏話があるよ。僕達、日本のアーティストから楽曲提供やプロデュースの依頼を受けることがあるんだ。日本から「曲を書いて欲しい」というリクエストが来たから、ジャムして「Predictable」が生まれた。でも、あまりにも出来がいいから、他人にあげるのはもったいなくなってしまって、自分達のものにしてしまったのさ(笑)。3時間で作ってしまった曲なんだ。僕達がジャムして作ったのはデモだったんだけど、デモに入っていたスピリットを失いたくなかったから、ドラムだけを再録音して、エレキギターやキーボードといったその他の部分はそのまま生かすことにした。それから、ドラムをレコーディングしている時、ダンサーの友達がスタジオに来たんだ。彼が「Predictable」を非常に気に入っていた。ドラマーが演奏をしている横で、このダンサーの友達は踊っていたんだけど、実際に何をやっていたのかは僕達は見ていなかった。でも、曲をミックスしている時に、大きな“Woooooooooooooow!!”って声が聞こえたんだ。どこから来た声なのか分からなかったけれど、その時は、たぶんドラマーが叫んだんだろうなんて思っていた。レコーディング中、他の友達がヴィデオを取っていたんだ。それを見たら、ダンサーの友達が踊りながら叫んでる姿が映ってた(笑)。これで、あの声を入れた犯人が分かったってワケ(笑)。

──振り返ってみて、アックス・リヴァーボーイをやってみて、良かったと思うことは?

グザヴィエ:『フォスベリー』を完成して、ひとつのサイクルが終わったような気がした。プロダクションで実験してみるという点では、かなりのところまで行ったと思う。僕達は元来、ポップ/ロック・バンドとして活動を始めけれど、3枚目のアルバムの頃には、僕達をソウルやファンクのバンドと称する人まで現れた。僕としては、それは違うって思っていたよ。というのも、Tahiti80は色々なスタイルを試みるポップ・バンドだって僕は思っていたからね。あの頃は、そんなことを考えていた。そして僕は、多種多様な音楽を聴いていた。アフロビートやジャマイカン、エレクトロニック・ミュージックにソウルなんかも聴いていたんだ。日本のJVCが作ったコンピレーションの選曲をした関係もあって、色々な音楽を聴いていたんだけど、おなかいっぱいって気分になってしまって、ギターを弾き始めた頃に好きだった音楽に立ち戻りたくなった。だから、ソングライティングの原点に戻った。例えば、ポール・マッカートニーやビートルズ、ストーン・ローゼズといったバンドに帰ったんだ。ソロ・アルバムの制作は楽しかった。他の人がいなくても一人でアルバムを作れるということも分かって嬉しかったよ。バンドにいると、他の三人の意見もあるから、集団として冒険できる楽しみがあるけれど、なかなか大変なこともある。だから、こうしてバンドをひと休みして他のことをやることで、ソングライティングを第一に考えることができた。曲を書き、あまり手を加えないで、曲が自分に語りかけてくることを大切にする。それをソロ・アルバムから学んだ。そこで学んだことを、Tahiti80でさらに発展させようと思ったんだ。実は、1月に日本へ行った時、アックス・リヴァーボーイのショウで数曲演奏しているんだよ。「Brazil」と「One Parachute」を演ったんだ。

 
 
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