木村カエラ、かつてないほど現実世界に向き合った5thアルバム『HOCUS POCUS』特集

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木村カエラ 5th Album『HOCUS POCUS』特集 「リアルなものを描いていきたいと思いながらも、自分のリアルだけを描いていたら、今までやってきた意味もなくなる」

こうして流れていってる時間がぜんぶ、人の希望と夢なんです。

――ガーリーな「乙女echo」や「Super gir」みたいな曲がある反面、「Another world」(作詞:木村カエラ/作曲:會田茂一)という、<なぜ私の世界は 愛する人が苦しむの>というエンディングが悲しすぎる曲があったり。

カエラ:ね、みんなにいわれます(笑)。もうね、これは、どうしょうもないんですよ。私のおばあちゃんの妹さんが、亡くなっちゃったんですね。で、お葬式に出た喪服のままこの詞を書いて。でも、彼女の死に対して、すごく悲しんでいてどうっていうよりは、不思議だなって感じてしまったんですね。天国に行って、すごく幸せそうに笑ってる姿を見ていたら、天国って幸せなのかな?っていう考えがまず生まれて、じゃあこの現実の世界って何だろう?って。ニュースで暗いことばっかり報道されてるけど、凶悪な事件なんて、江戸時代とか私たちが生まれる前からずっとあっただろうし。生と死に対してすごく考えた詞だった。だから、私の求める世界を描きたかったっていうのが、まずありましたね。『ドラボンボール』にでてくる「精神と時の部屋」をイメージして書いたんですよ(笑)。まぁ「精神と時の部屋」の設定とは違いますけど、この曲では、時間軸の1秒1秒を砂時計として描いて、その砂時計の中の砂が、人々の夢だったり希望だったり、そういうものが溜まっていけばいくほど、時間っていうのは長く続いて、それがなくなってしまえば時間が止まってしまう。砂の一粒一粒が人の希望とか夢でできていて、人がそれを思い描けば描くほどその砂が増えていって、時間も長くつながっていってっていう、そういう世界をイメージして。だから、こうして流れていってる時間がぜんぶ、人の希望と夢なんです。

――素敵っ! 超イイ話ですね~。

カエラ:でしょっ! この詞もほかの曲と同じように悩んでいたんですけど、その最後の言葉だけ私の中で離れなかったんです。で、最初は前のほうに持ってきてたんですけど、なんかシックリこなくて、歌う直前に一番うしろに入れたらシックリきちゃったので。自分にとってはポジティヴなものだし、だからこそ違う世界を求めるというか。私は、近くにいる人、愛してる人、家族、そういう人たちが苦しんでいる姿は見たくないから。そのために自分は何ができるか?っていうところにつながっているんですよね。

(結婚を意識することは)ありますね、たまに(笑)。

――なるほどね。そして、「ゼクシィ」のCMソングにもなっている「Butterfly」(作詞:木村カエラ/作曲:末光篤)ですが。

カエラ:私のいっちばん仲のいい親友が結婚するっていうので書いた歌で、結婚式で歌ってきました。そしたら後々、「ゼクシィ」のCMが決まったってきいて、"ほんと!?"って。みんなからも「ゼクシィ」のCM用に書いたんでしょ?っていわれるんですけど、違うんですよ。きっと、CM用に書いてほしいっていわれても、こういう詞は書けなかったでしょうね。親友のためだから、こういう詞ができたんだと思います。自分でもこの歌詞を書けたのがビックリしましたよ。"なんだこの詞?"って。"恥ずかしいぃ~"って。

――ブライダル・ソングを描いているときの心境っていうのは?

カエラ:もぅ、その友達との何年間を思い出しながら書いてたから、泣いて書けない、みたいな(笑)。気持ち入りすぎちゃって。結婚式を想像した瞬間にまた泣いて、みたいな。実際の結婚式でも号泣でしたけど、歌うときはさすがに泣いちゃいけないと思って、友達が号泣してたんですけど、もぅ見ないようにして、必死に(笑)。

――ちなみに、結婚を意識することはありますか?

カエラ:ありますね、たまに(笑)。でも、結婚はしてもしなくても、なによりも子供がほしい! 結婚しなくちゃいけないのかな?とか思いますしね。たぶん私みたいなタイプは、何をやっても"カエラちゃんっぽいね"っていわれるんですよ(笑)。

――そうかも(笑)。で、またアーティスト写真が大変なことになってますね。

カエラ:ネコちゃん。

――ネコなんですか? てっきり『HOCUS POCUS』の"ちちんぷいぷい"にちなんで、おまじないとか人を化かすとかいう意味も含めて、タヌキかキツネかとばかり…。

カエラ:葉っぱ乗せてる系だ(笑)。アルバムのブックレットの中で、歌詞にちなんだいろんなものに変身してるんですけど、このアーティスト写真は「マスタッシュ」の別テイクで。マスタッシュは"髭"っていう意味のほかに"ネコの髭"っていう意味もあるので。「Jeepney」ではカタツムリになっていたり、「Super girl」は金髪のカツラをかぶってスーパーガールになってるんですけど、最初はイメージしていたアメコミみたいにならないで、ポルノ女優みたいに写っちゃって(笑)。どうすればポップに写るのか研究して、そういう表情で撮りました。もぅ、大コスプレ大会でした(笑)。

(と、ここでスタッフがブックレットの色校紙を持ってきてくれました)

――スーパーガール、色っぽいですね! っていうか、最近のカエラちゃんは要所要所にセクシーさがありますよね? 「BANZAI」のミュージックビデオとか。

カエラ:コマネチ・ゾーン?(笑)

――あのチラリズムは、木村カエラにしかできないスタイリッシュ・エロスですよ。

カエラ:そこまで考えてなかったけど(笑)。ダサくならないように、レオタードのラインにはこだわりましたね。

――初回盤にはその「BANZAI」含め4曲のミュージックビデオと、『saku saku』MC復活ウィークの編集版、さらに初のメイキング映像も入るという。

カエラ:そうなんですよ! そこが今回のポイントなんです。いままでメイキングを入れてこなかったんですけど、倖田來未さんのアルバムでメイキングが入ってたのが、すごくうれしかったんですよ(笑)。それで、メイキングって大切だ!と思って、これは入れなきゃと。

――じゃあ今後、ミュージックビデオ撮影があるときにはBARKSも動画用カメラを持っておじゃまします!

カエラ:ぜひぜひ! メイキング作っていきましょうよ。メイキング命的な感じで。

ライヴ以外の部分でも楽しめるものだったり、買ったほうがいいものだとかメチャメチャいっぱい作ってるんで、お金を持ってきてください(笑)。。

――ぜひ! よろしくお願いします! では最後に、5周年記念ライヴ<GO!5!KAELAND>の意気込みと、ファンのみなさんに"こんな気持ちで臨んでほしい"という心構えを。

カエラ:今まで以上に、ファン感謝デーという気持ちでやりたいと思っています。みんなが楽しめるように、"KAELAND"という名前も遊園地をイメージしているので、入り口を入った瞬間からみんなが"うわっ!"ってなるような空間に仕上げたいと思っています。ライヴ以外の部分でも楽しめるものだったり、グッズもいいものをメチャメチャいっぱい作ってるんで、お金を持ってきてください(笑)。あとは、たぶん暑くなると思うので、日射病とか熱射病にならないように気をつけてほしいな。

――聞いたところによると、入り口と出口にもこだわりがあるとか。

カエラ:そう。ステージも含め、会場は私自身なので、みんなは私にとっての"栄養"っていう。今回、初めてのパンフレットも作ってて、そこに詳しく書いてあるので、ぜひ買って見てみてください(笑)。

取材・文●望木綾子

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