藤澤ノリマサ、オペラとポップスの歌唱法を自在に操り自由な発想の歌を埋め込む最新アルバム『Appassionato~情熱の歌~』特集

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藤澤ノリマサ 最新アルバム『Appassionato~情熱の歌~』2009.12.2リリース特集

オペラとポップスの歌唱法を自在に操り 1曲の中に自由な発想の歌を埋め込む 柔らかでもあり重厚でもある歌の翼は 今の音楽シーンのなかで際立った存在だ

藤澤ノリマサはオペラの歌唱法であるベルカント唱法とポップスの歌唱法を自在に操るシンガーだ。その才能を1曲の中で表現するために生まれたのがポップ・オペラというスタイル。クラシックやオペラのフレーズとポップスのメロディを融合させた彼のサウンドは、「音楽は自由だ!」ということを感じさせてくれる。2ndアルバム「Appassionato~情熱の歌~」は、さらに柔軟に音楽の翼を広げリスナーの耳を楽しませてくれる作品だ。

INTERVIEW

──藤澤さんを初めて知ったときに、「ポップ・オペラって何?」 って、まず思いました。ビートもロック調だったり、ラテン調だったり様々ですし、声もまるで2人で唄っているような感覚になります。ちょっと不思議。

藤澤ノリマサ: デビューしたときは"何人組ですか?"って言われたこともあるんですよ。クラシックの唄い方とポップスの唄い方と発声法を分けて唄っているんで。一曲の中にクラシック曲の一部を取り入れポップスと融合させて、その二つのジャンルを一曲で楽しんでいただけるのがポップ・オペラですね。

──新ジャンルという感じですけど、なぜこういう音楽性に至ったんですか?

藤澤: 話せば長くなります(笑)。おふくろが歌の先生で、オヤジが声楽家。だから家にも支離滅裂に音楽が流れていて、親の世代の歌モノをよく聴いてました。小学校4年のとき、おふくろが町内カラオケ大会に僕を勝手に出場させたんですけど、そのときには高橋真梨子さんの「for you… 」を唄って優勝したのがきっかけで人前で唄うことに興味が湧いて、唄うことが大好きになりました。そのあと自分で作曲もはじめたんですよ。ポップ・オペラを作る大きなヒントを得たのは、カナダでのホームステイ中のサマースクールで出会った音楽の先生の影響が大きいです。先生が弾き語りをしてくれたセリーヌ・ディオンに衝撃を受けて。セリーヌ・ディオンって、単なるポップスじゃないから、"こういうポップスもやってみたい"って思うようになったんです。もしこのホームステイの経験がなかったら、クラシックかポップスか、どちらかをやっていたと思います。もう一つ、ポップ・オペラになったきっかけとしては、自分の性格が優柔不断だったから(笑)。どっちをやりたいのか決められなかったんですよ。声楽家の父が言うには、ポップスっていうのは自分の個性を活かすものだけど、クラシックはスポーツと一緒で鍛えることで声が磨かれる、と。だったら僕も音大に行って声を磨こうと、父が通っていた武蔵野音大に行ったんです。クラシックもポップスも、両方出来るようになりたいと思ってたのですが、今でこそ緩くなったとはいえ、クラシックっていまだに堅いところもあって、ポップスの活動を並行してやるのはいけないみたいな風潮もあったんですけどね。

──そのときはまだクラシックとポップスは別々にやっていたわけで、まだポップ・オペラではなかったわけですね。

藤澤: はい。僕はどうしてもデビューしたかったので、いろんな事務所にデモテープを送ったんですけど、今の事務所に送ったデモテープの中にオペラをピアノで弾き語りして入れたんです。そうしたら面接に来てほしいと言うので、そこで自分のオリジナルと久保田利伸さんの「LA・LA・LA LOVE SONG」を唄ったら、"素晴らしかったです。デモテープのクラシックの曲が!"と言われ。さっき唄った曲じゃないんだ! と(笑)。それでクラシックの発声で一節唄ってほしいと言われて唄ったら、"こういう声も出るんだね。藤澤くんはどういう音楽をやりたいの?"って聞かれたので、"クラシックをやりたいのか、ポップスをやりたいのか、まだ迷ってます"と正直に答えたんです。だったら"一緒にやってみませんか?"ということで、今の事務所に入ってデモを作り始め、ポップ・オペラが出来上がりました。

──優柔不断さが結果的に新しいジャンルを生んでしまったと(笑)。

藤澤: ホントにそうだと思いますね(笑)。まだデビューして一年半ですが、誰もやってなかったことなので、どういう風に受け入れられるのか心配でした。ですがこのポップ・オペラを通していろんな人に出会えました。特にこのニューアルバム『Appassionato~情熱の歌~』は、自分の生まれたときからの26年間がギュッと詰まっているんですよ。ポップ・オペラとはこういうものだっていう1stアルバム『VOICE OF LOVE~愛の力~』に対して、2枚目では素の自分が出た。唄い方もそうだし、ラブソングにしても色んな愛を唄っているし、すごくバラエティに富んでいる。

──肩の力も抜けた?

藤澤: はい。1stアルバムは自己紹介でしたからね。オペラが一幕、二幕って別れているのと同じように、2枚目のこの作品は二幕目。1ターム目に出来なかったこと……オリジナル曲も作ったし、アルゼンチン・タンゴもやったし、色んなことに挑戦しました。今まで、1曲の中で、ベルカント唱法とポップスの歌唱法を頭で考えて歌っていました。でもそうやって頭で考えるのではなく、本来の僕の唄い方ってどんなものなんだろうっていうのがわかったら、違ったアプローチができるんじゃないかと。それをこのアルバムで研究し続けたんです。自分が心地よい唄い方というのが自分の素の唄い方だと僕は思っているので、曲によってポップ・オペラのコンセプトからは外れる曲もあるのかもしれないです。ただそこにはクラシックの匂いというのはブレずに置いてある。そこがブレると、君は何がしたいの? って、バラバラなアルバムになっちゃうので。

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