KAN、渾身の全9曲収録の15thアルバム『カンチガイもハナハダしい私の人生』大特集

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KAN 15thアルバム『カンチガイもハナハダしい私の人生』2010.3.10リリース

8ビートポップスはもちろん ビッグバンドジャズ、ウェストコースト風ロック、テクノ、シャンソンフランセーズ、そしてASKAとの共作曲を含む渾身の全9曲

INTERVIEW

――オリジナルアルバムは久しぶりですね。

KAN: 前回が2006年の秋なので、3年半ぐらいですね。

――ちなみに前作と前々作との間は5年ありました。このぐらいがちょうどいいペースということですか。

KAN: このぐらいじゃないと、なかなか無理ですよね。僕としては、全然ゆったりしてる気はないんですよ。年齢的なものもあるでしょうし、過去に出してきた数もあるでしょうし、いろんな意味でそう簡単に作れなくなってきてますからね。自分の作品に対する基準も、どんどん上がっていくものですから。

――今回は、どんなテーマでアルバム作りを始めたんですか。

KAN: アルバム全体のテーマは特に設定することはありません。結果論です、いつも。その時にやりたいと思っていることをやれば、ちゃんとその時期のことが結果として出るんだなということは、過去の作品もそうだったので。今回も、作りたいものを作ったというだけですね。

――1曲目「REGIKOSTAR~レジ子スターの刺激~」、いきなりびっくりしました。テクノポップですね。

KAN: これはね、Perfumeです(笑)。僕がビートルズ、ビリー・ジョエル、スティーヴィー・ワンダーとかが好きで、たとえば「ビリー・ジョエルのああいうタイプの曲が作りたい」とか、そういう作り方はずっとやってきたんですけど、それとまったく同じですね。「Perfumeカッコいいな、俺もこういうのやってみたい」と。実際には、何がPerfumeかといえば、音作りとヴォーカル処理なんですよ。曲自体は僕の昔からあるタイプのメロディなので、曲は自然に作りました。ただ、最新の音作りのことは僕はわからないので、そこは若い人に頼んだんです。僕が作ったデモはすごく80年代っぽくて、カイリー・ミノーグの最初の頃とかバナナラマとか、ああいう感じだったのを、今の音色にしてもらったんですね。20歳以上下の人に音作りを任せたのは初めてで、明らかに世代が違う感じが良かったですね。

――そして2曲目も驚きました。本格的なビッグバンド・ジャズのスタイルですね。

KAN: 1曲目とは50年ぐらい時代が違います(笑)。もう何年も前からビッグバンドでやりたいという思いがあって、それがやっと実現しました。最初に曲ができた時に、こういう曲調ですから、アメリカ的に「夢はかなうのさ」って歌いたいと思ったんですよ。でも今の僕が「夢はかなうのさ」と歌ったところでどうなんだろう? と思ってたんですけど、ある時ふと「オレは小学3年生」というフレーズを思いついて、そこからですね。小学3年生だったら夢に説明も根拠もいらないし、現実を無視して大きなことをばんばん歌っても全然ありだなと。で、この曲はなんと言ったってアレンジが、今まで僕がやった中でもダントツに一番大変でした。1パートずつ打ち込んで、重ねて鳴らしてみて、「こうじゃないなぁ」とか思いながら、ものすごい時間をかけて作りましたね。この曲のアレンジに予想を大幅に超える時間がかかったのが、今回のアルバムの進行が遅れた最も大きな原因です(笑)。でもやりきって良かったですね。「REGIKOSTAR~レジ子スターの刺激~」の音づくりは、自分でいくら頑張っても無理ですけど、「小学3年生」は絶対に自分でやらないと駄目だと思ったので。メロディ自体はスタンダードな感じで、僕のオリジナリティはそれほどないんですけど、アレンジと歌詞を含めると、自分にしかできないものを作った感じはあります。

――この1、2曲目で新鮮に驚かされて、3曲目「ピーナッツ」からいつものKANさんらしい、優しくてせつなくてポップな世界に入っていく。そういう流れだと思って聴きました。

KAN: 「ピーナッツ」はこぢんまりした感じの可愛い曲なので、ここに置くしかなかったですね。「REGIKOSTAR~レジ子スターの刺激~」「小学3年生」「ピーナッツ」と来たらたぶん、「ピーナッツ」がめちゃくちゃいい曲に聴こえるだろうなと(笑)。曲順は重要なんですよ。一つ変えるだけで全然印象が変わるし、すべてを生かすために曲順はものすごく難しいです。

――「ピーナッツ」「バイバイバイ」と、せつない別れの歌詞が続きますね。そして「青春の風」でノスタルジックに、「ordinary days」で日常に戻って…と、流れがとても心地よいです。

KAN: 過去のアルバムには、10年前の曲とかが普通に入ってたんですけど、今回は比較的最近の曲が多いんです。そんな中で、「ordinary days」と、その次の「オー・ルヴォワール・パリ」の2曲はわりと古い曲ですね。古いといっても、「ordinary days」が2001年頃で、「オー・ルヴォワール・パリ」も2003年ぐらい。あと「青春の風」も2004年に作ってますね。年をとると時間のタームが昔とは違うので、2004年なんてつい最近っていう気がしますけど(笑)。

――「オー・ルヴォワール・パリ」はシャンソンのイメージですか。

KAN: そうです。ベタな感じの。

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