ポール・ウェラー、「国民よ、目覚めよ」

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10枚目のソロ・アルバムとなる『Wake Up The Nation』を作り上げたポール・ウェラー。政治的な要素を含むメッセージと挑戦的でエッジーなサウンド、同作品で“怒れるウェラー”が帰ってきた。

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「国民よ、目覚めよ」と喚起するウェラーに、彼を怒らせるものとはなんなのか、アルバムに込められた思い、そして不況の中、頑張る日本の若者へのメッセージを訊いた。

――前作『22 Dreams』をリリース後、これ以上アルバムを作るなんて思ってなかったと言っていますが、何があなたをスタジオへ戻らせたのでしょう?

ポール・ウェラー:サイモン・ダイン(プロデューサー)のおかげかな。俺自身にはとくにアイディアもなかったし、その通り、またアルバムを作ろうなんて思ってもなかったけど、サイモンの持ってきたアイディアがすごくよくて、またスタジオへ戻る気になったんだ。

――前作では政治には触れたくなかったとのことですが、今回は政治的な要素が濃いですよね?

ポール・ウェラー:そうだね、すべてで政治的なことを言っているわけじゃないけど、一部では触れている。

――なにか、お怒りがあるのでしょうか?

ポール・ウェラー:俺たち…、英国民ってことだけど、何でも受け入れて言いなりになってる自分らにウンザリしてるんだ。それが最良のものじゃなくても大人しく受け入れる。メディア…TVやラジオは最悪なものばかり流してるだろ。それなのに、それで我慢している。俺を怒らせるにはそれで十分だ(笑)。2番目にいいもので満足しようとしている。英国民のプライドってものがない。

――では、アルバム・タイトル『Wake Up The Nation』に込められた意味は?

ポール・ウェラー:目覚めるときだ、自分たちの手で国をコントロールすべきだってこと。難しいかもしれない。どうやってそれをすべきか、俺にもわからない。でも、この国には文化的な革命ってものが必要なんだ。

――アーティストとして変わり続けることは大事だとおっしゃってますが、ここだけは変えられないというモットーはありますか?

ポール・ウェラー:うーん、わからないな…。変えられないものっていうのはあると思う。でも、それは悪いことじゃない。自分を作り上げたルーツっていうものはある。そこに戻ることだってあるだろう。でも、アーティストとしては常に前進すべきだ。学ばなくてはならないことはたくさんある。音楽的に進むべき道はたくさんある。オープン・マインドでいるべきだ。

――世界的な不況により、なかなか将来に希望を持てない若者もいますが、頑張っている日本の若い人たちにメッセージをいただけますか?

ポール・ウェラー:希望を捨てるな。踏ん張れ。不況は何年かに一度は起こる。悪くなっても、またよくなるものだ。希望を捨てずに、状況がよくなるのを待つんだ。長く生きてると、こういうことは何度も起きてるのがわかる。状況は必ずよくなるんだ。

――この先達成したいこと、目標はありますか?

ポール・ウェラー:音楽作ったり、いま自分がやってることをやり続けながら生きていきたい。それが目標だな。自分のやってることや自分の人生が大好きだからね。もっとやらせてくれ(笑)。

――音楽を、ということですか?

ポール・ウェラー:すべてだよ。生きることすべてだ。

ポール・ウェラーの『Wake Up The Nation』はデラックス・エディションが日本先行発売中。UKでは4月19日にリリースされる。

Ako Suzuki, London
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