サイモン・ラトル、ザルツブルクの<イースター音楽祭>でバッハを熱演

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ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団を率いるサー・サイモン・ラトルの近況をご報告する連載ニュースも第六回を迎え、今回で最終回となる。

映画『のだめカンタービレ最終楽章 後編』が公開され、日本ではクラシックが日常に溢れているような状況。聴けば聴くほど面白いクラシックの魅力を伝えるべく、ベルリンフィルの情報をお届けする。

今回は、ザルツブルクで開催された<イースター音楽祭2010>の模様だ。

3月27日から4月5日まで、恒例の<ザルツブルク・イースター音楽祭>が開催された。2010年は、エクサン=プロヴァンス音楽祭でプレミエを迎えた『神々のたそがれ』(ワーグナー)が上演され、2007年からの『ニーベルングの指輪』4部作が完結。

ピットに入ったサー・サイモン・ラトルとベルリン・フィルは、聴衆から大きな喝采を得ている。とは言うものの、ステファヌ・ブラウンシュヴァイクの演出は全体に不評で、ドイツ・オーストリアの各新聞は静的な舞台を「演技不在」と批判。しかし厳しい論調は、舞台の不出来という以上に、プロダクションを他のフェスティヴァルからを借りてきたことに向けられているようである。「由緒ある音楽祭にあるまじき制作方針」ということだが、幸い来年は、ラトル指揮の『サロメ』(R・シュトラウス)がシュテファン・ヘアハイムの演出で自主制作されることになっている。ラトルがこの作品を振るのは初めてであり、成果には大きな期待が掛かる。

一方コンサートでは、ラトル指揮の「マタイ受難曲」、「幻想交響曲」、マリス・ヤンソンス指揮のヴェルディ「レクイエム」、ベルリン・フィル団員による室内楽が演奏され、盛況を示した。

とりわけ注目を集めたのは、ラトルのバッハ。上演はピーター・セラーズにより「儀式化」され、合唱とソリストは舞台上で演技する。『ザルツブルガー・ナハリヒテン』紙は、「この演出に感動しない人がいるとすれば、それは本当に心の固い人に違いない」と絶賛している。全曲が終わると、クールと言われるザルツブルクの聴衆が自然に席を立ち、大喝采を送ったという。マグダレーナ・コジェナー、トーマス・クヴァストホフ、クリスティアン・ゲアハーハーといった豪華なソリストにも、最大級の賛辞が寄せられ、今年の音楽祭のハイライトとなっている。

文:城所 孝吉(音楽評論・ベルリン在住)

さて、サイモン・ラトルの不定期連載はこれで終了だが、もちろん、彼のニュースが今後掲載されないなどということは絶対にない。世界最高峰の指揮者とオーケストラ、今後も折に触れて、サイモン・ラトルとベルリンフィルの情報はお届けするので、お楽しみに。

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◆サイモン・ラトル・オフィシャルサイト
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