【BARKS編集部レビュー】ローランドRH-PM5は、デコレーション無しの美味しいプレーン味

今回は、ローランドのシングル・バランスド・アーマチュア型のインナーイヤー・ヘッドホンRH-PM5を試聴した。いわゆるオーディオ・メーカーでも補聴器ブランドでもなく、世界に誇る純然たる国産楽器ブランドによるヘッドホンだ。
◆ローランドRH-PM5画像

RH-PM5はそんなローランドが打ち出したインナーイヤーヘッドホンのフラッグシップ・モデルであるから、まずもって良くないわけがない。ポイントは各人の好み/使用目的に添うかどうか、相性の確認のみである。

私はこの佇まいこそが実に楽器的で、しかもローランドらしさだと思う。末永くプレイヤーに愛され支持される楽器は、本質に根ざした品質の高さが認められたもののみ、である。最後に残るのはそういった製品群であって、歴史を塗り替え新たなサウンドで新時代の音楽を牽引する楽器群は、飛び道具を武器にした商品ではないというのは歴史も証明している真実だ。楽器メーカーとして数多くの事象を自ら積み重ねてきたローランドだからこそ、音楽ツールとして押さえるべきポイントには、決してブレがない。
実のところRH-PM5は、元来ステージ用のインイヤーモニターとして開発されたものだ。ステージ上でのサウンドをきっちりモニタリングすることを念頭に置き、プロ現場のリクエストに応えるべく設計が行なわれている。ラインアレイPA(ドライバーユニットが一列に並んだスピーカーシステム)で起こりがちなステージ上でのローの回り込みなども十分に考慮され、低音がブーミーにならぬようローはきっちりとタイトに絞り込まれた仕様になっている。だぶついたサウンドなどは決して出てこない引き締まった音像が、最大の特徴だ。

アーティストのインモニ用に開発されたという出で立ちのため、2.2mという長すぎるケーブル長やぷりんぷりんした弾力の強いケーブルも、人によっては使いにくいと感じるかもしれない。きっちりと耳掛けしないとケーブルのタッチノイズも気になるだろう。それでも引っ張り出して使ってしまうのは、音楽そのものを主役として鳴らしヘッドホンの特性は全く主張しないという、プレーンなサウンドの心地よさが突き抜けているからだ。聴けば聴くほど好きになる、するめのようなちょっと珍しいインナーイヤー・ヘッドホンである。
text by BARKS編集長 烏丸
Roland RH-PM5
29,400円(税抜)
型式 バランスド・アーマチュア型
感度 104dB/mW
最大入力 2mW
周波数特性 20-16,000Hz
インピーダンス 32Ω
コード 2.2m(Y型)OFCリッツ線
プラグ 金メッキ、ステレオ・ミニ・プラグ
付属品 延長コード(2.2m、金メッキ、ステレオ・ミニ・ジャック⇔金メッキ、ステレオ・ミニ・プラグ)、変換プラグ(ミニ・プラグ→標準プラグ)、イヤピース(S,M,L,XL)
コード・クリップ、交換用フィルター×2、フィルター取替えツール、キャリング・ケース
◆Roland RH-PM5オフィシャルサイト
◆BARKS ヘッドホンチャンネル
BARKS編集長 烏丸レビュー
◆フィリップスSHE9900
◆JAYS q-JAYS
◆フォステクスHP-P1
◆Klipsch Image X10/X5
◆ファイナルオーディオデザインheaven
◆Ultimate Ears TripleFi 10
◆Westone4
◆ソニーMDR-EX1000
◆SHURE SE535
◆ゼンハイザーIE8
◆Etymotic Research ER-4S
◆KOTORI 101
◆ビクターHA-FXC51
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