lynch.、底力を見せつけた衝撃的なワンマンライヴ@渋谷AX

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渋谷ハチ公前交差点をジャック、さらにメジャーデビュー日には歌舞伎町でゲリラライヴを行うなど、ロック界を大きな話題で賑わわせたlynch.。彼らは、一体どんなバンドでどんなパフォーマンスを行うのか。それを知ってもらうに格好のものが、5月に行われたワンマンライヴだ。この模様をお伝えする。lynch.のストレートな魅力を感じていただければ幸いである。

己が委ねた音楽を、そして己自身を信じる――。6月1日のメジャー・デビューを控え、そんな決意の下に<I BELIEVE IN ME>と名づけられたlynch.のワンマン・ライヴが5月11日、渋谷AXで行われた。

◆lynch.、底力を見せつけた衝撃的なワンマンライヴ@渋谷AX~拡大画像~

本来は3月26日に予定されていたものの、東日本大震災の影響により2ヶ月の“お預け”期間を経ての開催だっただけに、メンバーもオーディエンスも頭から完全なるフル・スロットル。神秘的なピアノの音色が幻想へと誘う「LAST NITE」での幕開けから一転、紫のレーザーと共に「ADORE」の暴力的な爆音が放たれると、フロアからは一気に拳が振り上がる。その壮観な様とサビで沸き起こる大合唱に葉月(Vo)は顔をほころばせるが、瞬く間に熱気を2階席にまで運ぶオーディエンスの着火の早さ、それを引き起こす衝動的かつ鍛え抜かれた端整なバンド・アンサンブルこそ、lynch.ライヴの最大の魅力。彼らのキャリアの中で最大キャパシティとなる会場だけに、そのエネルギーも絶大で、葉月も詰めかけた人々への感謝を自然に洩らす。

“こんだけ集まってくれて、ありがとな。震災から今日でジャスト2ヶ月。今の日本はみんな互いを思いやっていて、助け合っていて。同時に、僕らは自粛するばかりじゃなく、心から楽しんで、死ぬほど笑う権利もあるはずです。それでこそ日本は復興すると思いませんか!?”

悠介(G)のコーラスがメロディックに突き抜け、彼から玲央(G)、明徳(B)とソロを弾きつなぐ展開もスリリングな「JUDGEMENT」がさらなる激情をかき立てると、中盤ではデビュー作に収められる新曲も次々に初披露。悠介の奏でる付点8分のディレイがリリカルに艶めく世界を創り上げる「LIE」、晁直の激烈なドラミングでカオティックに爆走する「-273.15℃」、玲央のギター・フレーズが80年代の香り漂わせるメロウな「THIS COMA」。バラエティ豊かな新曲たちを、野太いシャウトから呪文のような妖しい呻き、甘くセクシーなクリーン・ヴォイスと葉月の変幻自在なヴォーカリゼーションが見事に描き出し、へヴィネスと妖艶な美しさを重ね持つlynch.の特色をクッキリと浮かび上がらせる。そして終盤、叩きつけられた彼らのライヴ・バンドとしての底力は、こちらの想像を遙かに絶するものだった。

“AXって声が届きにくいので、いつもの3倍くらい叫んでください!”

葉月の指令に大量の拳と歓声が応える「I BELIEVE IN ME」ではギター陣も声を振り絞り、荒ぶるプレイがデビュー作のタイトル曲にふさわしい一体感と前進力を訴える。誰もが頭を振り、跳んでトランスへと突っ込む「THE BLASTED BACK BONE」、総員ひたすらに叫び倒した「TIAMAT」、股間を撫でさする葉月の“溜まってんだろう? SEXしようぜ!”という煽りがクライマックスを呼ぶ「pulse_」等々。10曲近くにわたったアグレッシヴ・チューンの猛攻の果て、本編を締めくくった「A GLEAM IN EYE」が与えてくれたのは、しかし清々しい感動だった。

“みんな、それぞれ想いを籠めて、全力で歌ってください”

アルバム収録にあたり、歪みの代わりに透明感を加えられたブロックで、フロアに手を伸ばす葉月。想いの籠もった歌声が紡ぐ言葉は“涙があふれても この手は離さないよ”――。耳慣れたはずのエモーショナルなシングルは、新天地への覚悟にファンへのメッセージを重ねたナンバーへと、意義深い変身を遂げていた。

“幸せです! 本当に話したいことがありすぎて、何から言っていいかわかりませんけど……とにかく感動してます”

ステージに再登場した彼の台詞は、そのままlynch.を見つめ、支え続けてきたオーディエンスの気持ちでもあったろう。その後、定番曲を届けたアンコールでは、いつにも増して自由にステージを行き交い、感情のままに動き、叫ぶ彼らの姿があった。そして最後の最後、あふれる喜びを表すかのように、去り際に次々とTシャツを脱いでゆく楽器隊を見送って、葉月が告げる。

“前回のワンマンで、僕は武道館に行ったら脱ぎますって言ったんですけど……ホントに武道館、行きましょう。時間かかるかもしれませんが、それくらいの夢を持たないと人生なんて面白くないので、皆さん付き合ってください”

その言葉が叶う日を筆者も心から願っているし、そのためにも今、伝えておきたいのは、lynch.はシンプルに“カッコいい”バンドであるということ。彼らの高い音楽センスと演奏力は、確かに“違いのわかる”マニアの心をもくすぐるものではあるけれども、しち面倒くさい論評だとか分析なんて、音楽を楽しむのには必要ない。単純に、彼らが生み出す音が衝撃的だから、身体を、心を惹きつけられるから――。貴方がlynch.を愛する理由は、ただ、それだけでいいのだ。

取材・文●清水素子

<I BELIEVE IN ME>SHIBUYA-AX@2011.5.11
-SE-
1.LAST NITE
2.ADORE
3.59.
4.STARZ
~MC~
5.JUDGEMENT
6.EVILLY
7.ecdysis
8.LIE *
9.-273.15℃ *
10. forgiven
11.THIS COMA *
12.AMBIVALENT IDEAL
13.I'm sick b'cuz luv u.
14.I BELIEVE IN ME *
15.ALL THIS I'LL GIVE YOU
16.VERNIE
17.THE BLASTED BACK BONE
18.alien tune
19.unknown lost a beauty
20.TIAMAT *
21.pulse_
22.A GLEAM IN EYE
(AN)
an illusion
SHADOWZ
the universe
discord number
a greatful shit

Major Debut Album『I BELIEVE IN ME』
初回限定盤
【CD】全12曲収録
【DVD】「I BELIEVE IN ME」MUSIC VIDEO
¥3,000(tax in)KICS-91666
※限定パッケージ
通常盤
【CD】全12曲収録 ※限定盤と同内容
¥3,000(tax in)KICS-1666

<I BELIEVE IN ME>3.26振替公演
5月11日(水)SHIBUYA-AX

<TOUR’11 「THE BELIEF IN MYSELF」>
6月11日(土) 梅田AKASO
6月25日(土) 浜松 窓枠
6月26日(日) SUNPHONIX HALL in YOKOHAMA ARENA
6月29日(水) HEAVEN'S ROCK さいたま新都心VJ-3
7月2日(土) 高崎 club FLEEZ
7月3日(日) 柏PALOOZA
7月6日(水) HEAVEN'S ROCK 宇都宮VJ-2
7月9日(土) 札幌BESSIE HALL
7月10日(日) 札幌BESSIE HALL
7月13日(水) 青森 Quarter
7月16日(土) 秋田 LIVESPOT2000
7月17日(日) 仙台darwin
7月22日(金) 福岡 DRUM Be-1
7月23日(土) 鹿児島 SRホール
7月25日(月) 松山 サロンキティ
7月27日(水) 高松 DIME
7月30日(土) 広島 ナミキジャンクション
7月31日(日) 岡山 IMAGE
8月6日(土) 京都 MUSE
8月20日(土) 新潟RIVERST
8月21日(日) 長野 CLUB JUNK BOX
8月28日(日) 名古屋ボトムライン

<東海エリア限定! リリース記念 SPECIAL LIVE>
2011年6月 22日 OPEN19:00/START19:30
名古屋市内某所
観覧方法など詳細はオフィシャルサイトで

<リリース記念LIVE>
6月16日(木)19:00~ タワーレコード渋谷店 B1「STAGE ONE」
タワーレコード渋谷店、タワーレコード新宿店にて『I BELIEVE IN ME』初回限定盤を予約者優先でお買い上げの方に先着でイベント入場券を配布。イベント参加券は数に限りあり。
[問]タワーレコード渋谷店 03-3496-3661

◆lynch. オフィシャルサイト
◆キングレコード
◆硬派なへヴィ・ロックと美しく艶やかなメロディのメジャー・デビュー・アルバム『I BELIEVE IN ME』特集
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