【BARKS編集部レビュー】ファイナルオーディオデザインheaven IVは、甘い甘い誘い水

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▲ファイナルオーディオデザインheaven IV(市場価格14,800円程度)。これまでのheavenシリーズよりも細く長くスマートなった。ハウジングはステンレスで非常に軽量。写真に写っているのは試作品のため、背面の面合わせ部分の設計が多少異なっている。

▲左がheaven IV。右がheaven s(市場価格29,800円程度)。価格は2倍ほどの違いがあるが、良し悪しではなくバランスの違いで使い分けができる。むしろheaven IVのほうが、一般支持率は高そう。

▲筐体が細くなったことで、heaven IVのは女性の耳にも問題なくフィットするサイズとなった。

▲heaven Ⅳ VIOLET / 型番: FI-HE4BVI / JAN コード: 4560329070383。

▲heaven Ⅳ WHITE / 型番: FI-HE4BWH / JAN コード: 4560329070376。

▲heaven Ⅳ BLACK / 型番: FI-HE4BBL / JAN コード: 4560329070369。

▲左から、heaven IV、heaven s、Adagio V。

▲付属する専用キャリーケースもアルミ製。ほかにゴム製イヤーパッドS/M/L2種類(遮音性の高いAタイプと共振音の少ないBタイプ)、保証書が同梱される。

じゃじゃ馬娘Adagioの鮮烈リリースから、さほど間を開けることなくheaven IVなる新モデルが登場した。ファイナルオーディオデザインのバランスドアーマチュアによるカナル型イヤホンのheavenシリーズは、これまでheaven s、heaven a、heaven cとシリーズを重ねてきているが、今回のモデルは枝番がアルファベットではなくローマ数字が冠されている。Piano ForteやAdagioシリーズと同様に、今後の製品ラインナップはローマ数字で展開していくということなのだろう。

◆ファイナルオーディオデザインheaven IV画像

heaven IVはオープンプライスだが、オフィシャルショッピングサイトだと14,800円での販売となっている。IVという数字とその価格から、さらなる上位機種、下位機種の登場の可能性も期待させる新heavenシリーズの中核をなすモデルと連想させてくれるモデルだ。

これまでのheavenとは形状が変わったのみならず、内部構造も進化、開口部もなくなり音漏れに関しても大きく改善されている。ハウジングの長さは長くなったが口径が細くなり重量も軽くなった。女性の小さな耳にも全く問題ないサイズだ。heaven sに起用されていたフラットケーブルが用いられているのも注目ポイントだが、素材は見直されており、しなやかさが増し使用感は向上した。

さて、気になるサウンドはどのようなものか、丁寧に聞き込みを繰り返し、おおよそ4週間使い続けた。

私のフェイバリット・イヤホンのひとつheaven sと比較すると、heaven sの持つ高域の瑞々しさと穢れなき少女のような透き通ったトーンに関しては、どうひいき目に見てもheaven sの圧勝で、その優位性は揺るぐことはない。heaven IVは、同様の素性をベーシックに持ちながら、そのまま重心がぐっと下がり中域に厚さと温かみが加えられた印象だ。heaven sが「少女のような音」であれば、さしずめそのイメージは「透き通るような肌を持った北欧の少年」という感じだろうか。

heaven s、heaven aのはつらつとした躍動感ある高域が好き過ぎる自分だけに、その特徴が薄らいだheaven IVは、ちょっと残念に思えてしまう。のだけど、実は「これがheavenという名前じゃなかったとしたら…」と妄想すると、俄然評価が急上昇する不思議に直面。さしずめ私は、「heavenより汎用性の高い常識的なバランスを持ちながら、あのheavenが持つ透明感あふれる高域のDNAもきっちり受け継いだご機嫌なバランス」と、高く評価しているに違いない。

余計な先入観や予備知識を入れずに真正面からサウンドに対峙すると、やはりheavenシリーズに脈々と流れる清潔感が中心に存在し、透き通ったガラスにトレースするように音楽を描写する瑞々しさが基本的な気質にあると感じる。オーケストレーションを含めた音数の多い壮大なロック・サウンドなどは、ガラスの城をライトアップしたような、幻想と威厳の音空間を生み出すイメージだ。そう、ロマンチックなサウンドなわけです、これは。

heaven sのもっとも特徴的な高域、いわゆるシンバルなどのシズル感といわれる8KHzから10KHzあたりの音域の心地よさは、heaven IVでは影をひそめるものの、800Hzあたりと思しき厚みが生々しく加わっており、これまでのheavenシリーズよりも癖がなく、多くの人に支持されるニュートラルなバランスが一番の特徴であり最大の魅力だと思う。

先に発売となった新シリーズのAdagio Vがオフィシャルショップで12,800円だけに、こことのサウンドの違いも気になるところだが、一言でいえばheaven IVのサウンドはAdagio Vよりも明るい。低域が多い/少ないという比較以前に、各帯域のバランスが全く違うので、サウンドが全く違うと言わざるを得ない。

Adagio Vの持つ「量は意外に多くはないが極端に沈み込んだ低域」と「トレブルというよりプレゼンスの上がった攻撃的なサウンド」は、誤解を恐れずに言うならば、初期のアンスラックスのような典型的スラッシュメタルのようなサウンドだ。一方のheaven IVは、もっと中域が適量出ているために、きわめて常識的なバランスに響き、言ってみれば往年のボン・ジョヴィ・サウンドという感じであろうか。ちなみにheaven sは、その線でいえば…デフ・レパード『ヒステリア』というイメージか。

素晴らしい完成度のheaven IVだが、見逃せない短所もある。ケーブルのタッチノイズがそれなりに大きく目立つので要注意だ。タッチノイズ軽減に最も有効な耳の上を通すSHURE掛けも、フラットケーブルの形状のためちょっと難しいので、クリップなどで固定することを考えたほうがいいかもしれない。

とはいえ、欠点はそれくらいで他は気になるところも何もない。開口部はないが閉塞感もなく、音のこもりや刺激的な歯擦音も感じさせない。遮音性も高く装着感も上々。音の歯切れもよく、不足がちな帯域もなく、多くの人から支持されそうな好バランスのモデルだと思う。

このような王道ともいえるモデルが誕生したことで、知人や家族に真っ先にお薦めするのは、heaven IVということになりそうだ。そしてそれは、ちょっと気を抜くとマニアが感涙するようなド変態なモデルを生み出してしまうファイナルオーディオデザインの目くるめく官能の世界へ誘い込む、甘い甘い誘い水なのだ。ぐへへへ。もはや日本国民、みんなファイナルのとりこですよ。

カラーもベーシックな黒と白に加え、変化球的にバイオレットが用意されている。ユニセックスで高貴なイメージを求めた結果のようだ。

text by BARKS編集長 烏丸

●heaven IV VIOLET
●heaven IV WHITE
●heaven IV BLACK
オープン価格(市場価格税込14,800円前後)
・筺体素材:ステンレス削り出し
・感度:102dB
・インピーダンス:16Ω
・コード長:1.2m
・重量:16g
・保証期間:購入日より1年間
・同梱品:キャリーケース、イヤーパッド(S/M/L)2種類、保証書

◆heaven IV オフィシャルサイト

BARKS編集長 烏丸レビュー(■イヤホン ●ヘッドホン ◆カスタムIEM ◇他)
■フィッシャー・オーディオ Jazz (2012-04-22)
●SHURE SRH1840 & SRH1440(2012-04-16)

■FitEar TO GO! 334(2012-04-08)
◆Unique Melody Mage(2012-03-26)
●Takstar PRO 80、HI 2050、TS-671(2012-03-20)
●klipsch Mode M40(2012-03-15)
■Fischer Audio DBA-02 Mk2(2012-03-07)

◆AURISONICS AS-1b(2012-02-27)
■UBIQUO UBQ-ES503、UBQ-ES505、UBQ-ES703(2012-02-21)
◆Heir Audio Heir 3.A(2012-02-15)
■moshi audio Clarus(2012-02-12)
◆Thousand Sound TS842(2012-02-08)

◆Heir Audio Heir 8.A(2012-02-01)
■CRESYN(2012-01-17)
◆Unique Melody Merlin(2012-01-08)
◆カナルワークスCW-L01P(2012-01-03)
■ファイナルオーディオデザイン Adagio(2011-12-31)

◆LEAR LCM-2B(2011-12-26)
●SOUL by Ludacris SL100、150、300(2011-12-23)
●AKG K550(2011-12-20)
■SENNHEISER IE80 & IE60(2011-12-16)
■DUNU(2011-12-14)

◆カナルワークスCW-L10(2011-12-12)
■オーディオテクニカ ATH-CK90PROMK2(2011-12-09)
◆Ultimate Ears UE 5 Pro(2011-12-06)
■REALM IEM856(2011-12-02)
■ファイナルオーディオデザインAdagio III(2011-11-26)

◇Ultimate Ears用交換ケーブルFiiO RC-UE1&オヤイデ電気HPC-UE(2011-11-25)
●Reloop RHP-20(2011-11-22)
■オーディオテクニカ ATH-CK100PRO(2011-11-14)
■SOUL by Ludacris SL99(2011-11-04)
■Fischer Audio Ceramique(2011-10-25)

■SHURE SE535 Special Edition(2011-10-21)
■JVCケンウッドHA-FX40(2011-10-16)
■BauXar EarPhone M(2011-10-10)
■SONOCORE COA-803(2011-10-02)
◆TripleFi 10 ROOTHリモールド(2011-09-25)

■AKG K3003(2011-09-18)
■Atomic Floyd SuperDarts+Remote(2011-09-11)
■Bowers & Wilkins C5(2011-09-06)
■Westone3(2011-09-02)
◆カナルワークスCW-L31(2011-08-26)

◇ORB JADE to go(2011-08-22)
■YAMAHA EPH-100(2011-08-14)
■NW-STUDIO(2011-08-09)
■NW-STUDIO PRO(2011-08-02)
◆FitEar MH334(2011-07-29)

◆ROOTH SE530×8(2011-07-26)
■Westone ES5(2011-07-21)
●SHURE SRH940(2011-07-17)
◆Ultimate Ears 18 Pro(2011-07-15)
■クリエイティブAurvana In-Ear3(2011-07-06)

◆カナルワークス CW-L01(2011-07-01)
■GRADO GR10&GR8(2011-06-25)
◇SAEC(サエク)SHURE SE用ケーブル(2011-06-21)
■フィアトンPS 20&PS 210(2011-06-17)
■ZERO AUDIO ZH-BX500&ZH-BX300(2011-06-11)

■フィリップスSHE8000&SHE9000(2011-06-03)
■アトミック フロイド(2011-05-26)
■モンスター・マイルス・デイビス・トリビュート(2011-05-20)
■SHURE SE215(2011-05-13)
■ファイナルオーディオデザインPiano Forte IX(2011-05-06)

■ラディウス・ドブルベ/ドブルベ・ヌメロドゥ(2011-05-01)
■ローランドRH-PM5(2011-04-23)
■フィリップスSHE9900(2011-04-15)
■JAYS q-JAYS(2011-04-08)
◇フォステクスHP-P1(2011-03-29)

■Klipsch Image X10/X5(2011-03-23)
■ファイナルオーディオデザインheaven(2011-03-11)
■Ultimate Ears TripleFi 10(2011-03-04)
■Westone4(2011-02-24)
■Etymotic Research ER-4S(2011-02-17)

■KOTORI 101(2011-02-04)
■ゼンハイザーIE8(2011-01-31)
■ソニーMDR-EX1000(2011-01-17)
■SHURE SE535(2011-01-13)
■ビクターHA-FXC51(2011-01-12)
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