【BARKS編集部レビュー】お手軽に肉感的なサウンドアップを図る、Hippo Cricri、Go Vibe Martini+、VestAmp+

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ちょっといいイヤホンを手にし、プレイヤー付属イヤホンとはずいぶん違う心地よい音を知ると、そのままオーディオの世界へずぶずぶと足をとられることがある。イヤホン/ヘッドホン・ブランドがいろいろあることを知り、それぞれの特徴などを理解し始めることには、次なる欲しいモデルなどもできたりして、ずぼずぼと深みへ入っていくことになる。音楽好きにはたまらないグッド・サウンド・パラダイスは、なかなか抜け出すことのできない悩ましきヘッドホン魔境だ。

◆Hippo Cricri、Go Vibe Martini+、VestAmp+画像

▲左から、Hippo Cricri(約9,800円)、Go Vibe Martini+(約10,800円)、Go Vibe VestAmp+(約29,800円)。大きさから搭載機能まで、まちまちのポータブルヘッドホンアンプ3機種。

▲3台を重ねてみたところ。Cricriの小ささ(上段)、Martini+の厚み(中段)、VestAmp+の薄さ(下段)が際立つ。

▲大きさ比較のために並べてみたiPhone。

▲3機種の中では最も大型のVestAmp+ですら、iPhoneと比べるとコンパクトであることがわかる。

そして高級モデルやフラッグシップなどに手を染める頃には、ヘッドホンアンプにも興味が移ったリするもの。「ヘッドホンアンプとやらが一台あると何かと便利」「もっとサウンドを良くしたい」「アンプがないとせっかくのイヤホンを活かしきれない…らしい」と理由は様々だが、ポータブル・オーディオへの素敵な第一歩を踏み出そうとしている貴兄へ、そっと背中を押して差し上げようというのが、今回の執筆コラムの裏テーマだ。

どんなポータブルアンプがいいかは好みによるものなので、一概に語ることはできないけれど、最初は、何が必要で何が重要かも全く分からず選ぶことすらままならない。サウンドの特性もさることながら、携帯性(大きさ、重さ、デザイン…)、操作性(各つまみ、スイッチの使い勝手…)、運用性(充電か電池式か)、機能性(DAC機能の搭載、オプション機能の有無…)など、気にしておきたいポイントは多岐にわたる。今回は、それらの様々な要素を3つのモデルからご紹介、アンプ選びのヒントにしていただければ幸いだ。

ここでお勧めするのはhippo cricri、Go Vibe Martini+、そしてGo Vibe VestAmp+という3モデルだ。いずれもシンガポールのJabenが取り扱う機種だが、良心的な価格と安心の品質から選び出したお薦めの3モデルでもある。

まずは、小さな巨人と呼びたいニューモデルhippo cricri(ヒッポ・クリクリ)。おおよそ9,800円(税込)という市場価格は、エントリーモデルながらもそれなりの値段だが、おもちゃのようなデザインでもなく価格なりの造作でもなく、どこから見ても純然たるポータブルアンプの造形であり、伝統的なルックスと真正面から切りかかる正統派とも言えるサウンドが所有欲を十分に満たしてくれるもの。とにかく何がすごいって、このコンパクトさだ。フリスクやミンティアよりもコンパクトなこのかわいらしさ、存在自体が既に奇跡でしょ。それでこの本格的な音だもの。

「入力されたラインレベルの音楽をイヤホン・ヘッドホンを駆動する大きな信号まで増幅する」のがヘッドホンアンプの主なる役目なので、ポータブルアンプに搭載される最小限の要素は、電源スイッチ、入力(プレイヤーの出力とつなぐ)と出力(イヤホン/ヘッドホンとつなぐ)の端子、そしてボリュームコントロールとなる。cricriの場合、カチッとクリック感のあるボタン式電源スイッチが搭載されている。独立したスイッチなので、ボリューム位置などを動かすことなく電源入/切できるメリットがあるが、ボリュームつまみが意図せず上がっていたりすると電源を入れた瞬間に爆音が鳴る危険性がある点がデメリットであろうか。

▲Hippo Cricri。左側面に入出力ジャックと、その間に電源を入れると光るLEDがある。右側面には、ボリュームコントロールと、ゲインスイッチ、ベースブーストスイッチ。ベースブーストは引き締まったトーンのまま押し出しを強くしてくれるので心地よい。私はデフォルトでON状態で愛用。

▲Hippo Cricri。反対側にはボタン式の電源スイッチ、もう片面には充電用のUSBミニ端子。PCにつなぐだけで自動的に充電してくれる。

▲他機種との大きさ比較。左からフォステクスHP-P1とそのうえにiPodクラシック、ORB JADE to go、iBasso D2+Hj Boa、Hippo Cricri。同じヘッドホンアンプでも、いかにCricriが小さいかが実感できる。

もうひとつ、重要な要素として、据え置き型のアンプと違いバッテリーを搭載しているのがポータブルアンプの大きな特徴。cricriも充電式のバッテリーを内部に搭載しており、充電はPCのUSBから供給を受けるタイプ。付属ケーブルでPCとつないでおけば気軽に充電できランニングコストも気にならないという主流のスタイルで、充電用USBミニ端子(mini USB端子)が搭載されている。

以上がポータブルアンプの基本要素だが、cricriには、さらにゲインスイッチとBASSブーストスイッチが付いている。ゲインスイッチは2段階でボリューム出力(大きさ)を切り替えることができるというものだ。同じボリューム位置でもヘッドホン/イヤホンのモデルによって大きな音が出るものと小さな音しか出ないものがある。インピーダンスと感度の違いによるものだが、その幅は意外に大きいので、ゲイン切り替えによるいろんなモデルに対応できるキャパシティの広さは安心だ。ゲインスイッチを上げてボリュームを絞った場合の音質の違いを使い分けるというマニアックな楽しみ方もアリだ。一方のBASSスイッチは、文字通りONにするとぐっと低域の押し出しがアップする。低域の控えめなヘッドホンと組み合わせてバランスを取るもよし、逆に低域強めなアイテムにさらなるブーストで低域オバケを存分に堪能するのもオツだ。

cricriのサウンドは、価格からは想像できない正統的なトーンバランスを持ち、地に足の着いたしっかりとした低域と濃厚な中域が非常に魅力的に響く。高域の伸びは標準的だが、この小さなボディから出てくる音とは思えない充実したもので、初めて買うアンプにもいいけれど、とにかく軽く簡単に利用したいと思い始めているポータブルアンプ猛者にも、一度試してみてほしいアイテムだ。

一方で、販売価格10,800円のGo Vibe Martini+は、非常にベーシックなヘッドホンアンプ然としたアイテムのひとつ。入出力のジャックと電源スイッチ、そしてボリュームつまみなど、全ての機能がフロント面にまとめられている。iPod/iPhoneやWALKMANなどデジタルオーディオプレイヤーと重ねて使用されることを前提に考えられたデザインで、これがポータブルアンプの大基本形と言えるもの。

▲市場価格10,800円程度のGo Vibe Martini+。厚みはあるものの、十分にコンパクト。必要最低限の機能だけを搭載した質実剛健モデル。フロントパネルには、電源スイッチ、LED、入力&出力ジャック、そしてボリュームつまみのみ。

▲背面は電池交換パネル。わかりやすいデザイン。

▲パネルはドライバー不要で指で簡単に外せる。単4電池×4本使用。すでに連続十数時間使用しているがまだまだ切れる気配なし。

Martini+の場合は、バッテリーは充電式ではなく単4電池×4本を使うタイプ。わざわざ電池を購入し交換しなくてはいけないと思うか、充電の必要もなくバッテリー切れを起こしても電池交換でパッと使える機動力が魅力と感じるかは使用者次第だ。cricriよりは二回りほど大きくなるが、これでもかなりコンパクトな部類に入るモデル。しかもボディ内部のほとんどが電池収納スペースであることを考えると、エレクトロニクスはかなりコンパクトに設計されているようだ。

Martini+のサウンドも、cricri同様、力強さとパンチ力、中域の伸びと低域の野太さが魅力のトーンを持っている。高域も必要十分に出ているが、低域~中域の厚く重いトーンが何より魅力だ。この重厚なサウンドはプレイヤーのイコライザーをいじっても表現できるものではないので、サウンド自体に深みを持たせるには、お薦めの一品。ちなみに前作Martiniでは単4電池×2本だったが、Martini+になって、使用電池が2倍に増えている。駆動時間とともに音色そのものへの改善のための仕様変更で、オペアンプとサーキットも一新されているようだ。

さて、最後のGo Vibe VestAmp+は、一般的なポータブルアンプにUSB-DAC機能が搭載されたモデルだ。VestAmp+に関しては、ボリュームつまみが電源スイッチを兼ねている。つまみを右へ回すとカチッとスイッチが入ってからボリュームを上げることになるので、ボリューム位置を固定しておくようなことはできないが、ひねらないと電源が入らないので不要にスイッチが入ってしまうようなトラブルは起こりにくい。

USB-DAC機能も見逃せない機能だ。これは、付属のUSBケーブルでPCとつなぐことで、PCの中に保存している音楽データをVestAmp+から再生するというもの。PCの内蔵スピーカーやPCについているヘッドホンジャックから音楽を聴くのではなく、PCを単なる再生プレイヤーに見立てて、音の増幅や高品質なサウンド制御は、ヘッドホンアンプ側で行なうという考え方で、当然のようにPCで再生するより格段に音がよくなる。いわゆるこれがPCオーディオと言われる世界だ。

▲こちらは Go Vibe VestAmp+(約29,800円)。プレイヤーと組み合わせやすいボディーサイズと可搬性に富んだ薄さがうれしい。USB-DACを搭載しているため、簡単にPCオーディオを楽しむことができる。

▲付属のケーブルでPCとUSB接続することで、USB-DACとして機能するとともに、内部バッテリーを充電する機能を持つ。

もっとも気軽に簡単にPCオーディオを楽しめるのがUSB-DAC機能付きヘッドホンアンプの魅力なわけで、PCのヘッドホンジャックから聞くサウンドとは格段の違いがある。USB接続は、内部バッテリーへの充電も兼ねた設計だ。

VestAmp+は29,800円というそれなりの価格ではあるが、薄くしかも軽量で使いやすい。サウンドは非常に基本に忠実な実直なもので、分かりやすい特徴や飛び道具的なキャッチは有していない。深みのある低域から中域の充実度は非常に魅力で、喧騒にまみれた屋外での使用でも生活ノイズにマスキングされない芯の強さがある。外でも部屋でもこれ一台で使い倒せる利便性を考えると、お買い得ともいえる価格だ。

ポータブルアンプを購入するに当たっては、ボディサイズ、バッテリー(充電式 or 電地)、USB-DAC機能の有無、そしてオプション機能あたりが着目ポイント。そのうえで好みのサウンドと合致するか、予算内かどうかを検討すればいい。

今回例に挙げた3機種は、奇をてらわずに堅実におすすめできるエントリー・モデルの一例だ。最も売れ線のモデルや人気機種を選ぶのも堅実で間違いのない方法だが、人と同じではイヤだったり自分なりのこだわりと個性を重んじたいと思う人には、一度チェックしていただきたいところだ。

text by BARKS編集長 烏丸

●Hippo Cricri
市販価格:9,800円(税込)
電源:内蔵リチウムポリマーバッテリー
コネクター:3.5mmステレオミニジャック
付属品:フェルトケース、3.5mmステレオミニジャック、充電用USBケーブル

●JABEN Go Vibe Martini+
市販価格:10,800円(税込)
電源:単4電池×4
コネクター:3.5mmステレオミニジャック
付属品:フェルトのケース

●JABEN Go Vibe VestAmp+
市販価格:29,800円(税込)
24bit/96kHz対応のUSB-DAC搭載モデル(アップサンプリングにより192kHzで出力)
電源:内蔵リチウムポリマーバッテリー
DAC:192kHzにアップサンプリングして出力 96kHz/24bitのデジタルオーディオ入力対応
コネクター:USBミニソケット
付属品:USBケーブル、USB-AC変換アダプタ、充電用ACアダプター、フェルトのケース、USBミニソケット

◆JABEN&Hippoオフィシャルサイト
◆JABEN&Hippoオフィシャルショップ

BARKS編集長 烏丸レビュー(■イヤホン ●ヘッドホン ◆カスタムIEM ◇他)
■ファイナルオーディオデザインheaven IV(2012-04-28)
■フィッシャー・オーディオ Jazz (2012-04-22)
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■FitEar TO GO! 334(2012-04-08)
◆Unique Melody Mage(2012-03-26)
●Takstar PRO 80、HI 2050、TS-671(2012-03-20)
●klipsch Mode M40(2012-03-15)
■Fischer Audio DBA-02 Mk2(2012-03-07)

◆AURISONICS AS-1b(2012-02-27)
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◆Thousand Sound TS842(2012-02-08)

◆Heir Audio Heir 8.A(2012-02-01)
■CRESYN(2012-01-17)
◆Unique Melody Merlin(2012-01-08)
◆カナルワークスCW-L01P(2012-01-03)
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◆LEAR LCM-2B(2011-12-26)
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●AKG K550(2011-12-20)
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●Reloop RHP-20(2011-11-22)
■オーディオテクニカ ATH-CK100PRO(2011-11-14)
■SOUL by Ludacris SL99(2011-11-04)
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■SHURE SE535 Special Edition(2011-10-21)
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