バロック、“絶対この場所を壊したくない”ライヴハウス・ツアー最終公演@7/17 渋谷AX、緊急レポート

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今年1月に3枚同時発売したシングルがオリコン週間ランキングで3~5位を独占。2004年末の解散から7年ぶりの復活を果たし、さらなるパワーアップを遂げたバロックが、全国8都市を回ったライヴハウス・ツアーの最終公演を7月17日に渋谷AXで行った。

初日直前にベースの万作が行方不明になるというアクシデントに見舞われ、タイトルを急遽<TOURバロック現象 第3現象 激しいライヴハウスツアー>から<TOURバロック現象 第3現象 激しいライヴハウスツアー ~ばんさくをさがせ~>に変更して敢行された本ツアー。この日もステージの定位置にベースはあれど、それを奏でる万作の姿は無かった。

しかし、それゆえに彼の帰還まで“この場所”を守り、育てようというパワーがステージだけでなく客席からも爆発。先月発売した新曲「ザザ降り雨」(オリコンシングル週間ランキング初登場7位)での幕開けから、憂いあるシャッフル・ビートに乗ってオーディエンスは大きくグルーヴし、怜(Vo)も“そんなもんか? お前らの全部ぶつけてこいよ!”と容赦なく煽り立てる。圭と晃のギター隊も普段以上にダイナミックな動きでステージを駆け、ステージを介して行われる真摯なエネルギーの交換が熱くスパークして眩しい。

そんなヒリヒリと尖った熱だけでなく“温かさ”を感じさせたのが、この日のライヴの最大の特徴。“こうしてみんなの前に立てて良かった。信じて待とうぜ、あっためようぜ、叫ぼうぜ!”(怜)と続けられた「Cherry King」で沸き起こる手拍子は優しく会場を包み、翌日18日にリリースを控えた新曲「メロウホロウ」の力強い疾走感へと繋がって、「我伐道」の大合唱が感動の涙を呼ぶ。その温かな一体感を目の当たりにして、“ツアー大変だったけど、バロッカーの凄さを思い知らされた感じ”という晃の言葉に、大きく頷かざるをえない。

“最大のピンチで、始まる前はツアーを回るのも悩んだけど、最終日を迎えて思ったのは……2004年12月25日に解散して、もう一回バロックをやるのが俺の夢だったから、絶対この場所を壊したくない。ステージの上で好き勝手、自由にやれるバンドだから、とにかく突っ走るしかないと思ってます”

そう告白した圭は、その言葉が真実であることを証明するかのように、アンコールの「tight」でフロアに向かって何度もダイブ。ラストの「teeny-tiny star」では怜が万作のベースを掲げ、“終わらねーよ!”“これからもよろしくな。誰も置いていかねーぞ!”と頼もしく宣言してくれた。その姿にはバロックという掛け替えのないバンドと、愛すべきバロッカーに対する強い決意と確信が満ちあふれていた。

2011年の7月17日に横浜・赤レンガ倉庫で復活ライブを行ってから、ちょうど1年。1月のTOKYO DOME CITY HALL、4月の渋谷公会堂2デイズと、着実にブラッシュ・アップしたステージを見せてきた彼らは、この危機的状況の中でファンとの絆を固く結び、バンドの基盤をいっそう強固に創り上げた。あとは、そこに万作が加わり、完全体となったバロックに出会える日を、今はただ待つばかりである。

取材・文●清水素子
写真●河井彩美(かわいあやみ)

<セットリスト>
1.ザザ降り雨
2.ガリロン
3.モノドラマ
4.イロコイ
5.飴玉
6.Cherry King
7.あなくろフィルム
8.Nutty a hermit.
9.メロウホロウ
10.独楽
11.我伐道
12.グラフィックノイズ
-ENCORE-
1.ザザ降り雨
2.tight
3.独楽
4.凛然アイデンティティ
5.唄
6.teeny-tiny star
-SPECIAL ENCORE-
baby baby

TOUR バロック現象<第4現象>
11月7日(水) NHKホール
[問] フリップサイド 03-3466-1100

<ナイトメア vs バロック NATURAL BORN ERRORS>
7月31日(火)名古屋クラブダイアモンドホール
[問] サンデーフォークプロモーション 052-320-9100
8月1日(水)なんばHatch
[問] キョードーインフォメーション 06-7732-8888
8月4日(土)日比谷野外音楽堂
[問] ディスクガレージ 050-5533-0888

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baroque official Twitter @baroqueofficial
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