ヤマハ、「ボカロ曲」の自動作曲技術「VOCALODUCER」を開発、歌詞を入力するだけで歌声と伴奏からなる楽曲を自動作成

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▲システム構成図
ヤマハは、歌詞を入力するだけで、「VOCALOID」の歌声と伴奏からなる楽曲を自動的に生成する技術「VOCALODUCER (ボカロデューサー)」を開発したと発表した。

「VOCALOID」は、歌詞とメロディーを入力するだけで楽曲のボーカルパートを制作できる歌声合成技術および、その応用ソフトウェア。いわゆる「ボカロ曲」を楽曲として完成させるにはボーカルパートだけでなく伴奏も必要となるが、そのためには別途伴奏を作成するソフトウェアなどの環境および音楽の知識や経験が必要となる。もっと簡単に、もっと気軽にボカロ曲を作りたいという声に応えるのが今回登場の「VOCALODUCER」だ。

「VOCALODUCER」は、歌詞を指定するだけで「VOCALOID」の歌声と伴奏からなる「ボカロ曲」を自動的に生成できる技術。曲調や歌い方などをあらかじめ用意された選択肢から指定すれば、こだわりの条件を反映した「ボカロ曲」も容易に生成することも可能だ。

自動作曲の手順はいたって簡単。50文字以内程度の歌詞を指定するだけで、「VOCALOID」の歌声と伴奏からなる2~8小節程度の楽曲を自動的に生成。歌詞の指定は、漢字や数字を交えた一般的な日本語の文章で行える。また、パラメーターを指定することで、曲調や歌い方などを事前に調整することもできる。

メロディーラインの生成には、J-POPの作曲ノウハウをアルゴリズム化した当社独自の技術を使用。リズムパターン、音高の変化、コード進行の3種類の「テンプレート」の組み合わせをもとに、自動的に魅力あるメロディーラインを生成する。自動伴奏の生成には、「PORTATONEシリーズ」など、ヤマハ製の電子キーボードで定評のあるスタイルエンジンとソフト音源を採用。歌声の生成には、最新の「VOCALOID」エンジンを使用することで、より人間らしい自然な歌声を実現している。

この技術は、パッケージ・ソフトウェアとして発売されるのではなく、キャンペーンサイトやゲーム、ソーシャルメディア上のコンテンツを開発するコンテンツプロバイダーに向けて、今冬よりSaaS形態で提供される(SaaS=Software as a Serviceは、サービス型ソフトウェア、ネットワークを通じて顧客にアプリケーションソフトの機能を必要に応じて提供する仕組み、および、事業形態そのものを指す)。

ヤマハでは、2009年4月より、歌詞とメロディーに関するシーケンスデータをインターネット経由でヤマハのサーバーに送るだけで歌声を生成できるSaaS型のサービス「NetVOCALOID」を提供している。「NetVOCALOID」は、歌声の合成にのみ対応しており、伴奏やメロディーラインについてはあらかじめコンテンツプロバイダーが用意する必要があった。これに対してSaaS型の「VOCALODUCER」では、歌詞を指定するだけで、歌声だけでなく伴奏・メロディーラインも含めた「ボカロ曲」そのものを自動的に生成可能。高負荷な処理である歌声やオーディオファイルの合成はヤマハのサーバーで行うため、コンテンツプロバイダーは本サービスを低負荷な環境で利用できる。サービスは専用のWeb APIから利用できるため、利用時に複雑なシステムを開発する必要がないのも利点の1つ。コンテンツプロバイダーは、スマートフォンやPCをはじめとした、インターネット接続とオーディオ再生ができるあらゆる端末から、より効率的に「ボカロ曲」と連携したコンテンツを開発できるという。今後は、英語、中国語などへの対応も行う予定。

◆ボーカロイド公式サイト
◆ヤマハ
◆BARKS 楽器チャンネル
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