【インタビュー】K、シングル「Christmas Time Again」リリース「どういう人間になればいいのか。やっと本当のスタートを切った気がします」

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■「君と僕の部屋」の“LaLaLa~♪”の部分はお客さんの声なんです
■お客さんに歌わせたいと思って作った楽曲は今までなかったから

──歌詞はWAZZ UPが手掛けたものですが、自分が書いたものではない歌詞を歌うというのはどういう感覚でしょうか。

K:そうですね。アレンジを含めて曲自体は自分のオリジナルなんですけど、自分が関わってない詞を歌うのは、カバーをしているような感じがありますね。WAZZ UPはこうやってたから僕はこうしようとか。だから楽しかったですよ。自分のオリジナルだと何をやっても自分のものになるけど、自分で書いた歌詞じゃないからこそ違うものとしてチャレンジできることでもありますからね。

──たとえば、こういうのは自分では書けないなって感じたところもありますか?

K:それは結構ありましたね。“空に響く天使達の歌♪”なんて、僕がとても言えないようなキレイな言葉なので(笑)。もはや二度とこういう歌は歌えないだろうなって思いながら、歌ったりしたんですけど、今年30歳なんで(笑)。でも、自分が20代前半だったらきっとこういう歌詞を書くんだろうなって。だから、アレンジは余計に大人な雰囲気へ持って行きたいなっていうのがあったんですよ。歌詞の内容がとても若々しいものだったから。

──自分で歌詞を書いたらきっとこういうクリスマス・ソングとはまた違った面が出たのかもしれませんね。そもそもWAZZ UPの「Christmas Time Again」とはアレンジが異なっていて、聴き比べてみると興味深い。

K:そうなんですよ。2曲を聴かせても、まったく気がつかない人もいましたからね、同じ曲だっていうことに。

──ひとつの曲がまったく違ったカタチで2パターン存在するってすごく面白いですよね。

K:もしかしたら、これからコラボレートをするときにも、こういうふうに楽曲を作っていけばもっと楽しいことになるんだろうなと思ってますね。たとえば、あるアーティストとコラボをして、その人なりの解釈をした曲と、僕は僕なりの解釈をした曲で、お互いのアルバムに入れるとか。すごく面白いアイディアだなあって思いますけどね。

──では、カップリング曲の「君と僕の部屋」の話もうかがいたいのですが、これはまたタイトル曲とはタイプの異なる曲で。でも、先ほど讃美歌の話が出ましたが、この曲のコーラスはゴスペルを思わせる感じもあって。ライブでもみんなで歌えるような、すごくいい曲になっていますね。

K:はい。これはちょうど弾き語りツアー<K style 2013>の移動日に書いた楽曲なんです。ホテルの部屋にパソコンと小さい鍵盤だけで。先に歌詞を書いて、その後にメロディを作ったという。

──曲作りの発想の元は?

K:2013年2月くらいに、Rakeさんと一緒にイベントへ出演したんですけど、彼は僕と同じ年で、親近感があったんですよ。で、彼のライブをステージ袖で見ていたら、お客さんに歌わせる楽曲がすごく多くて。自分の楽曲のなかでも自然にお客さんが歌い出す曲はあったんですけど、お客さんに歌わせたいって思って作った楽曲って今までないんです。そういう感覚で楽曲を作っていくのも面白いかなと思って、その帰り道だったかな。ちょうど次の日が福井でのライブがあったので作ってみようと。ライブ現場のピアノで練習をして、せっかくならお客さんが歌えるところを録ってみようっていうことで、レコーダーで録ったんですよ。それがきっかけで、いろいろな会場でお客さんの声を録って。“LaLaLa~♪”の部分はお客さんの声なんです。

──ああ、そうだったんですね。

K:最初は、部屋というキーワードで曲を作りたいと思っていて。その部屋っていうのは自分の作業部屋なんですけど。昔はアーティストがインスパイアされるのって、自分の足で歩いて探しにいったり、ライブを観たりということだったと思うんです。でも、今の時代ってパソコンが一台あれば全部できちゃうじゃないですか。ライブを観るのも、映画を観るのもパソコンでできるし、世界中のいろいろな動画を見ることもできる。そういう意味では、僕の音楽は作業部屋のなかで完結しているような気がして。ここからすべてがはじまったり、すべてが動く気がしたんです。

──ちなみにその作業部屋はどんな感じなんですか。

K:6畳くらいの部屋なんですけど、自分のピアノとキーボードがあって、Macがあって。スピーカーとか軽くレコーディングができるマイクもある。あとはハーモニカとかいろんな楽器もバーっと……あと何があるかな。あ、お酒がすごく好きなので、飲みながら作業できるような感じになっていますね。夜中はそこで飲みながら、いろんなものを観たりして。シャワーを浴びて、髪が渇くまでに30分くらい飲みながらやってると、ああ今日も終わったなあっていう気持ちになるんですよ(笑)。テレビだとずーっと見てしまうんですけど、ネットだと見るものがないと思うとすぐやめられるでしょ。もちろん、音楽も作ってますけど(笑)。そうやって、楽曲を作りたいなって思わせてくれる部屋だったりもする。

──その秘密基地から全国のいろんな人に聴いてもらえるものをっていうイメージ。

K:そうですね。歌詞の最初に“僕が歌う事で世界は大きく変わらない♪”という一節があるんですね。音楽をやっている人には、世界を平和にしたいとか、世の中を変えたいと思っている方が多いと思うんです。僕も、以前はすごく簡単に“平和の歌を作ってみたい”と思っていたんです。でも、軍隊にいた時に、銃の先にナイフをつけて敵を刺す訓練があった。そういう訓練をしていた時、軍隊を作って、自分の家族と自分の愛する人を守るために戦う……それも平和になるため。それでは、相手はどうなのか、平和ってなんなのかって。それってとても危険なことなんだろうなって。この先、そういう曲は作れないだろうなって考えていた時に書いた歌詞なんですね。

──なるほど。

K:いろんなアーティストがさんざん歌ってきて変えられないものは、きっと変えられないんだろうなって思ったし。ただその変えられないまま生きるのも、ね? 面白くない。だから、ひとりひとりを変えていくというか。今、僕の歌を聴いてくれる人がちょっとでも気持ちが変わればそれでいいのかなって。かけ橋になるって、きっとそういうことなのかなって思って作った曲だったんですよね。

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