【インタビュー】SCREW、新作「FUGLY」を語る。「まだまだ進化できるってこと、もっとパワーアップできるはずだってことが確信できた」

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結成から満8年を迎えたSCREW。まさにそのタイミングに世に放たれるニューシングルは、オーディエンスの腰を揺らさずにおかないパーティー・チューンだが、当然ながら毒を孕み、棘を隠し持っている。題して「FUGLY」。英語の辞書にも載っていないこの言葉は、鋲によれば“f..kin’ ugly”の短縮形であり、とてつもない醜さを意味するのだという。果たしてそこに秘められた真意とは? そしてカップリング曲たちを含めた全4曲から見え隠れするSCREWの“今”とは? 4月のある日、メンバー全員に話を聞いた。

もっと心の奥底にあるものを解放しあって、醜い部分も見せ合いながら
混ざり合えたら、それが美しさに繋がるのかなって


――今回のシングルを制作するにあたって、たとえば「新しい流れの出発点となるべきもの」とか、そういった具体的なテーマや狙いというのはあったんでしょうか?

鋲:発売日の4月23日というのが、このバンドが8年前に初ライブをやった日でもあって。その記念日を祝えるパーティー・チューン的な楽曲を作ろうという話をしてたんです。自分のなかからそういう発想が出てくることは滅多にないし、たまたまその日付があったというのが理由として大きいんですけど、なんかその巡り合わせは無視しちゃいけないのかなと思った。しかもパーティー・チューンとはいえ、自分たちなりの毒々しさを持ったもの、かならずしも明るくてポップなわけじゃないものを作ってみたくて。タイトルは“非常に醜い”という意味なんですけど、要するに、ライブでのファンの子たちとの関係をもっと醜いものにしていけたらなと思ったわけなんです。もっと心の奥底にあるものを解放しあって、醜い部分も見せ合いながら混ざり合えたら、それが美しさに繋がるのかなって。

――そういったテーマについては、全員が共通認識を?

ジン:ええ。今みたいな話を鋲の口から聞いたうえで、僕らがやるパーティー・チューンってどんなものだろうって考えたときに、やっぱり元々このバンドが持ってる毒々しい部分や激しさというのは絶対に必要だと思ったし。実際、曲自体はノリで作ったところもあるんです。これまで僕らがやってきたような楽曲の流れも汲みつつ、ちょっと新しいものにしたいなと考えたとき、自分としてはヘヴィ・ロックとエレクトロの融合というのが出てきて。ダンス・ナンバーを作るんであればそういう要素は入れたいな、というのがありましたね。

和己:曲作りはジンが率先して取り組んでたんですけど、全体的にはすごくスムーズに進んでましたね。

ジン:プロデューサーと相談をしながら、これまでやってこなかったようなテイストの要素を入れたりもしてみたんですね。ただ、やっぱりこういう曲の場合、あんまりあれこれと持ち込むことよりも、全編通してグチャグチャになれるようなものにすることが何よりも大事だったりもするわけで。

マナブ:同期を前面に押し出したこういう曲って、シングルの表題曲としては初に近いけど、これまでにもあるにはあったので……。そこに歪んだギターががっつり入ってないと、ありがちなダンス・チューンになってしまうだけだというのはわかってたし、そこで悩むことはさほどなかったですね。

ルイ:ベースについては、今回はまず自分で最初から最後までフレーズを作って、そのフレーズを改めてシンセ・ベースで打ち込んでみたりとか。セクションごとに自分の音とシンセ・ベースの音の大きさの割合が変わっていくんですよ。Jポップの領域だとわりとよくある手法なんですけど、あんまりバンドではやらないことだと思う。そういう意味では、バンド・サウンドってものにも必要以上には縛られてないというか。あくまで曲の聴こえ方というのを最優先しましたね。

すごく解放されてる気分ではありますね、自分自身としても。
だから他の曲とは違うパフォーマンスができたりとかもする


――この曲で実際にどういう空気を作りたいかとういうのは、ミュージックビデオの雰囲気にも現れていますよね。とにかくフロアをグチャグチャにしたいというか。あらかじめライブで演奏している図というのが頭のなかにあったわけですか?

和己:そうですね。実際、すでにイベント・ライブとかでも演奏してきたんですけど、この曲でのライブでの形というのもできあがってきつつあるし。

ジン:ミュージックビデオでもファンのみんなが参加してくれていて、ライブでもその子たちやミュージックビデオをいち早く見てくれた子たちが率先して乗ってくれたりとか。そういうこともあって、浸透するのが早かったですね。自然にそのノリが広がっていったというか。

鋲:すごく解放されてる気分ではありますね、自分自身としても。だから他の曲とは違うパフォーマンスができたりとかもする。自然と身体が動くので、それが客席にも伝わってるんじゃないかな。みんなを攻め立てるというよりは、腰振ったりとか、ファンキーな感じ。当初のイメージ通り、踊って騒げて暴れられる曲になりましたね。

――敢えて今回、英語中心の歌詞にしたのは?

鋲:単純に、この楽曲には英詞が合うなと思って。しかも難しい英語じゃなくて、日本語英語みたいなものというか。そういう憶えやすいものが合うんじゃないか、と。

――しかも曲調は明るいのに、むしろ闇っぽい言葉が目立ちます。

鋲:そうですね。それが自分なのかな、と。べつに暗い歌詞にしようと心掛けてるわけじゃなく、SCREWの鋲というキャラクターのなかに入ってしまうと、自然とこうなってしまうんです。

――なるほど。さて、今回はこの表題曲のイメージにとらわれていると、カップリング曲たちとのギャップにも驚かされることにもなります。まずは「呪縛は永劫に…」。

ジン:この曲の原案は僕が作ってきて。これまでSCREWがやってきたようなライブ向けの曲、というか。だからわりと王道的ではあるんですけど、今までとまったく同じようなことをやっても面白くないので……。

和己:だからむしろ、“今までの王道”に近いものだよね?

ジン:うん。それを踏まえながら、自分が当初思っていた以上に新しいものにできたかも、という感覚ですね。これは早くライブでやってみたい曲のひとつで。

鋲:ジンが作る曲のど真ん中、という印象。ものすごく硬派な感じがしたので、歌詞もとことん硬派にいこうかなと思って。これもある意味、醜い歌詞ですね。まずはこっちが醜いところを見せていかないと、ファンの子たちもそこを見せてくれないと思うし。

和己:あと、この曲についてはやっぱりマイキーさんにギターを弾いていただいたことが大きかったですね。

マイキーさんが「日本語で歌っていることを除けば、
俺たちがやっている音楽と一緒だ」と言ってくださったそうで


――SOULFLYやSNOTでの活動歴で知られるマイキー・ドーリングのことですよね? これは、プロデューサーの告井孝通さんからの発案で実現したことなんですか?

和己:ええ。告井さんの紹介で。以前、マイキーさんに、僕らの「Red Thread」という曲を聴いてもらったことがあったらしくて。そうしたらマイキーさんが「日本語で歌っていることを除けば、俺たちがやっている音楽と一緒だ」と言ってくださったそうで。そんなこともあって、前々から何か一緒に面白いことができたらいいねという話をしてたんですけど、ようやく今回、タイミングが合って。

ジン:マイキーさんのその言葉はすごく嬉しかったですね。僕もすごくヘヴィ・ロックとかを聴いてきたし、そういう音楽をやってきた当事者の方からそういう言葉をかけてもらえて、実際こうして参加してもらえたというのは夢みたいな話でもあるし。

――この曲では彼のギター・ソロが聴けるわけですが、どう感じましたか?

和己:同じギタリストとして感じたのは、やっぱり僕にはない引き出しを持ってる方なんだな、と思いました。ソロへの入り方とか、ハモり方とか。音そのものに説得力があるし、歴史が感じられて。曲自体はかなりエッジが立ってるのに、だいぶ柔らかい音で弾いてるじゃないですか。そこがまず驚きでしたね。で、逆に自分ではもっと尖ってるほうに行ってみようということで、配信限定の音源では自分でそういうソロを弾いてみたんです。

――そこでの聴き比べも面白そうですね。

和己:はい、実際ライブでも、マイキーさんが弾いてくれたソロを僕が弾いてみようかと思ってたりするし。

マナブ:やっぱりこれは、僕も和己も絶対弾かないソロですよね。年齢というか年輪の違いも感じるし。誰が聴いても、その部分だけ世界が変わるような印象があるはずだし、パッと聴きの印象として、これまでにはなかったものになったと思う。結果、こんなにもインパクトのあるものになったのは嬉しいことだし、敢えてメンバーじゃない誰かに頼んだことの意味があったという気がしますね。

――外部のギタリストにプレイを頼むことに、躊躇や違和感みたいなものはまったくなかったんですか?

和己:マナブが加入する前はギタリストが僕だけだったので、その頃はそういう感覚も少しはありました。ただ、その後、2人でいろいろ話し合いながらやっていくようになってからは、やっぱり自分だけでは出てこないようなアレンジが出てきたりすることも増えてきて。そういうところに気付き始めてからは、抵抗もなくなってきました。逆に今回こういう機会が得られたことは、単純に嬉しいという感じでしかなかったし。自分たちの音楽を広げていくためなら、当然それも歓迎できるというか。

マナブ:うん。自分たちの音楽に、だんだんいろんな人が関わるようになってきて、いろんな意見を聞きながらそれを形にしていくってこともおぼえてきたり。そういう経験をしてきたんで、そういった部分での抵抗もなくなってきましたね。過程がどんなものであれ、結果としてできたものが良ければいいんだと思えるようにもなってきたし。

――今回みたいなことが実現すると「今度は誰々に参加して欲しいな」とかそういった願望も出てくるのでは?

和己:いや、まあ。それもちょっとあったりはしますけど……言わぬが華というか(笑)。

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