【イベントレポート】ザ・ビートルズ、アビイ・ロード・スタジオで試聴会

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7月8日、ロンドンのアビイ・ロード・スタジオで、9月にリリースされる『ザ・ビートルズ MONO LP BOX』の試聴会が開かれた。イベントには、同スタジオのエンジニアで、2011年に『ザ・ビートルズBOX』(2009年9月発売)により米グラミー賞の「ベスト・ヒストリカル・アルバム賞」を受賞したショーン・マギーと、『マーティン・スコセッシのブルース』などで米グラミー賞を受賞し、ファンからの評価も高いリイシュー盤の数々を手がけてきたマスタリング監修者スティーヴ・バーコヴィッツが出席。スタジオ3でマッキントッシュ・ラボの音響システム(モノラルカートリッジはオルトフォンが提供)を使い、10曲がプレイバックされた。

◆『ザ・ビートルズ MONO LP BOX』画像

2009年リリースのCD版『ザ・ビートルズ・モノ・ボックス』がデジタル・リマスターから作られたのに対し、今回、マギーとバーコヴィッツはデジタル・テクノロジーを一切使用せずにレコードをカッティング。オリジナルの4分の1インチのマスター・テープと1960年代に制作されたモノ・レコードを聴き比べ、当時のエンジニアが残したメモを基に1960年代と同じ手順で作業を進めたという。

マギーは「素晴らしいプロジェクトだった。当時のメモはとても興味深かった。オリジナルのレコーディング・ノートとカッティング・ノートがあり、レイアウト、カットの数、なぜカッティングしたか全てが記されていた。そして何より、彼らがテープに残したディテールの素晴らしさに感嘆した。現在のテクノロジーを使い、この良さを十分に活かすことができたと思いたい」と話した。

そして、「レコード会社とアップルから話を持ち掛けられたとき、“今度は何をやるんだ?”って思った(笑)」というバーコヴィッツはこう続けた。「これらのアルバムは世界を変えた。そして世界を変えたそのとき、大半の人達はそれをモノラルで聴いていた。自分が、あの頃彼らがやったこと以上にいいものが出来るとは思えなかった。だから、当時、アーティストやプロデューサーがこのスタジオ、この部屋で作ろうとしたサウンドを再構築することにしたんだ。オリジナルに近づける、それがゴールだった。CD版のモノとはまた違うレベルを目指した」

この日、バーコヴィッツが厳選、プレイバックしたのは、「オール・マイ・ラヴィング」「ツイスト・アンド・シャウト」「アイル・フォロー・ザ・サン」「ハード・デイズ・ナイト」「イエスタデイ」「アイ・フィール・ファイン」「タックスマン」「ウィズイン・ユー・ウィズアウト・ユー」「ペニー・レイン」「グラス・オニオン」の10曲。

今回のプロジェクトを進める中で、バーコヴィッツが「これまでとはサウンドが全く違う」と思ったひとつが「アイ・フィール・ファイン」だったそうだ。また、「ファンなら『サージェント・ペパーズ』のモノは持っておくべきだ。本当に違う」という。

そして『ザ・ビートルズ MONO LP BOX』はサウンドだけでなく、パッケージも忠実にオリジナルを再現。同梱されるカードやポスターはもちろん、スリーブもフロントは光沢/バックはマット仕様、『ホワイト・アルバム』はトップローディングでナンバーも刻印されている。これまで様々なビートルズのリマスター盤やスペシャル・エデョションを世に送り出してきたプロジェクト・マネージャーのガイ・ヘイデンは「ジョージ・マーティンやビートルズ、エンジニア達が当時やろうとしたことを再現できるチャンスだった。このモノ・アルバムが専門家やコアなファン向けになるのはわかっていた。だから、サウンドにしてもパッケージにしても可能な限りオリジナルに近づける、それが狙いであり、なんとしても成し遂げなくてはならないとの思いがあった」とその出来に太鼓判を押している。

Ako Suzuki, London


『ザ・ビートルズ MONO LP BOX』
2014年9月10日(水)日本発売
UIJY-75007/20 税込価格 59,800円(税抜価格 55,370円)
11作品14枚組 BOX SET  完全初回生産限定
輸入国内盤(ブックレット翻訳、解説、歌詞・対訳付)

◆ザ・ビートルズ・オフィシャルサイト
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