【インタビュー】SoundWitch、理想を体現した超強力盤『Romanesque』を引っ提げて全国転戦中

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■客席から見つめていたSoundWitch
■「一番のファン」と公言するSharkの視点


 ▲『Romanesque』
 ▲Twin
 ▲Dragon
 ▲Matsubai
 ▲Maiden
 ▲Shark
――その後、Sharkくんが入ることになったのはどんな経緯だったんですか? 当初はサポート参加していたんですよね?

Shark:そうですね。サポートを始めたのは2013年の1月ぐらいやと思うんです。

Matsubai:1月13日のライヴが(休養している)Sackさんが最後やって、そこから一ヶ月曲作りをやって、ライヴを再開したのが3月。

Twin:もともとみんな知ってるバンド仲間やったんですよ。

Maiden:Sackが個人的な事情で休養に入るに当たって、いろんなドラマーにその時々でヘルプしてもらってたんですけど、そのうちの一人がSharkで、長くやっているうちに、「しっくりくるんじゃない?」って話になって。

Twin:Sharkからすると、「引きずり込まれた」って思うかもしれんけど。

Shark:すごく遡るんですけど、『WICCAHOLIC』を出した頃に、その当時、僕がやってたバンドとSoundWitchが対バンすることになったんですよ。そこでネットで検索してみたんですけど、「Without」のPVを観た途端に、「これは凄ぇ!」って思わされたんですね。だから、すぐにライヴを観に行って、「今度、対バンさせてもらいます。よろしくお願いします」みたいに挨拶をして……そのときにCDも買ったんですよ。

Twin:思い出した!

Shark:だから、こんなこと言っていいのかどうかわからないですけど、ただのファンみたいでしたよ(笑)。

Twin:そう、めっちゃ来てくれたもん、ライヴに。

Maiden:俺が入った後も何回か来てるもんな、客として。むっちゃビデオに映ってるもん(一同笑)。

Twin:そうや。次に対バンしてくれる人が、チケットも買って、CDも買ってくれたって喜んでたのを思い出したわ。

――筋金入りのファンじゃないですか。

Shark:いやぁ……公言すべきなのかどうかわからないですけど、一番のファンだとは思ってます。

――でも、それはすごく重要なことだと思うんですよ。SoundWitchが好きでこのバンドに加わったということですから。

Shark:そうですね。だから、最初に「手伝ってくれない?」って言われたときには、すごく嬉しかったですし。ただ、いざやり始めたら、ものすごくプロフェッショナルな集団じゃないですか。やっぱり音楽に対してシビアなんです。僕は他にも手伝っていたバンドがいくつかあったんですが、もう一線を画してるんですよね。サポートとはいえ、ホントにここに集中しなきゃやっていけないなと思いました。

Twin:注文が多すぎてな(笑)。サポートっていう概念が私たちにはないし、ステージに立ったら一緒やからね(笑)。

Shark:そう。だから僕も単なるサポート・ドラマーという意識ではできなかった。

――自分自身がSoundWitchに新たなものを持ち込んでやろうといった考えもありました?

Shark:それはステージの下ではありました。俺だったらこうするぞ、みたいなものは、SoundWitchに限らず、どんなバンドを観ても想像するんです。だけど、一緒にスタジオに入ったら……何と言うんですかねぇ。曲の完成度はもともと高いんですが、だからこそ、そこであまり自分の色を出したら、曲が崩れることがわかってきたんです。そこはバランスの取り方次第ではあるんですが、自分のプレイを見せようというよりは、この曲を正しく聴かせるためにはどんなプレイをしたらいいのかを考えています。むしろ、それまでやっていたサポート・バンドとは逆の手法になるから、手クセとかも封じられたというような感覚なんです(笑)。

Maiden:封じられたいうか、基本的にそれは他のパートもそうだからね。それは悪いことではなく、みんなが曲に対して理解して、それを再現する。

Twin:途中から入ったメンバーはみんなそう。サポートという段階では既存の曲をやってたんで、曲の持ち味を絶対に損ねたくないからそういう注文をしたけど、『Romanesque』は一緒に途中段階から作っていったんで、Sharkの持ち味とか、そういうものを活かした作品にもなっている。

■自分たちは何たるかという確固たる意志
■精力的なツアーを行う中で生まれた数々の新曲


――『Romanesque』は、そうやって積み上げてきた新体制の初音源ですから、なおさら作り甲斐はあったでしょうね。ツアー中にも先駆けて新曲を披露したという話もありましたが、今回のアルバムの中で、最も初期に書かれた曲はどれになるんですか?

Twin:「So Sweet So Scratch Heroes」ですね。これは<GROTESCA SHOW>ツアーが終わってすぐに作り始めたんです。だから、Maidenが加入する前なんですけど、とかくピコリーモっていう言葉が持ち上げられている時期だったんです。その中で、量産されていくものも増えてきて……そのこと自体が悪いとも思わないけど、量産されていることに気づいていない演者、作り手のほうはどうなんだろうって。そして逆に、量産されるに至るまで、多くの人の心を動かしたものを安易に否定してしまうことにも疑問を感じる。じゃあ、私たちがピコリーモというものを自分たちの解釈でインプットして、アウトプットしてみたらどうなるんだろうと、そのどちらに対してもちょっと揶揄したような意味合いから、実は作り始めたんです。だから、「So Sweet So Scratch Heroes」というタイトルもダブル・ミーニングになっていて、愛おしい屑ヒーローたちという意味もありますし、“Scratch”にもいろんな意味がありますよね。それは曲や歌詞にも言えることなんですけど。

――なるほど。今の説明はよくわかります(笑)。なおかつ、この曲を聴くと、SoundWitchはすごく器用なバンドだなとも思うんです。いろんな要素を持ち込んでも、自分たちの色にしてしまう力量がありますし、“遊び”の要素も感じるんです。『Romanesque』というアルバム全体に向けたコンセプトのようなものはなかったんですか?

Twin:大きくあったのが、とにかくカッコいいものを作ろうと。

――それは前2作とは違うんですか?

Twin:たとえば1stアルバムは、それまでのベスト・アルバム、2ndアルバムはそこから派生した、自分たちが何たるかということを解き放ったアルバムだと思うんです。ただ、私たちのバンド自体のコンセプトというものじゃないんですけど、アッパーもダウナーも、いろんな感覚がある中で、どこまでもいろんな要素を深く突き詰めて、聴いてくれる人の心を刺激したいなというのがあるんです。これはライヴもしかりですけど、それを音楽で表現しきってやろうというのが今回のアルバムです。今まで模索してきた、自分たちは何たるかという意志を持って……まぁ、正装したといったら変ですけど、改まって、「これ、カッコいいでしょ?」っていうものを提示できる、聴く人それぞれが違う印象で楽しんでもらえる作品を作ろうと思ったんです。

――仕上がってみて、手応えはどうでしょう?

Dragon:もうバッチリですね(笑)。やっぱり、1st、2ndと違って、ツアーをしている最中に1つずつ積み重ねて作っていった曲たちなんで、よりライヴに対するリアリティみたいなものも、すごく表れてるかなと思うんです。1st、2ndのときは、探ってた意識のほうがまだちょっと強かったと思うんですが、今回のアルバムはより核心に近づけたかなという感じです。

Matsubai:このアルバムの曲たちの作り方とか、多分、全員が初めての経験やと思うんです。曲作りといったときに、たとえば、ギターをちょっと弾いたものを土台にして、そこから仕上げていくようなやり方が多いと思うんですが、この新しい5人になってから、まず曲のテーマであったりとかを提示して、そこに自分たちのベストなプレイやフレーズを突っ込むという進め方になっていたんです。そこで各パートがいろいろ味付けしていくと、曲は変化していきますけど、その時点で新たな解釈も出てきて、最初に思ってたものとは向き合い方もまた変わっていく。その繰り返しやったんで、自分の中でもすごくいい経験になりました。

Twin:何か出来上がった形の種に対して、これでもかっていうぐらい、それぞれがSoundWitchの名に恥じぬカッコいいものを投げ掛けて、投げ掛けて、また返ってきてという押し問答みたいな(笑)。そうやって作っていったのはすごくありますね。個人個人が、今までやったことないようなことをやってるし、聴いたことないようなことが返ってきたりする。

Matsubai:たとえば「Blow」は、ドラムとベースのビートが一定で、ずっと16分音符で同じことを弾き続ける。変な話、あり得ないんですよ(一同笑)。

Shark:6~7分だっけね。

Matsubai:そう。多分、ドラムもオカズをいろいろ入れたいやろうし、ベースも動きたくなってくるのを全部我慢するというプレイで。でも、それによって出る味があるんですよ。

Twin:人々をダウナーの境地に誘う(笑)。

Matsubai:そう。曲としての正解はこれなんやなと。実際、ライヴでも何回もやってるんですが、今のところ、誰一人として、「もうちょい派手に動いたほうがいいんじゃない?」とか、「ドラムが寂しいな」という意見は言われてないんです。

Maiden:周りでもいたよな、「Blow」が一番好きやって言ってる人が。インパクトが凄いって。前の<GHOST OF GROTESCA SHOW>ツアーを廻って、メンバーそれぞれがSoundWitchに対しての理解が深いというか、どんな曲でもSoundWitchがやればSoundWitchになると強く思えたんです。誰一人として、「俺はこう弾きたいから」みたいなプレイはないよな。SoundWitchというものをまず大前提でみんなが理解してるから成り立つ作曲方法でもあると思うし、それに対して、誰も臆してない。何の心配もなく、他のメンバーに「任せた!」って振れる。それの当然の結果がこのアルバムやと思うし。

Shark:出来上がった曲は、僕らはすごくカッコいいと思ってますし、このアルバムがどのように評価されるか、すごく楽しみです。今回、デラックス・エディションに付いているDVD(CDには未収録の「Electric Kiss」「Gemini」を含む10曲入りライヴ映像)の評判もすごくいいんですよ。これからどんどんツアーを廻っていくと、よりリアルにそういうことを感じられたりするんでしょうし。

Twin:そうやね。「聴いてもらう」ことを前提に曲は存在してると思うので、“人のもの”になって、さらにフィードバックされるものを栄養に音楽をやってるという思いはあるなぁ。

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