【2015年グラミー特集】「アナ雪」「ハッピー」良作揃った今年の洋楽。6日グラミー候補発表

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■画期的な大作はなくても、良質な作品が目立った今年

12月。この1年を振り返る時期となった。音楽シーンにおけるそれは、各国における賞レースの始まりでもあり、その中でもっとも注目を集めるのは、来年の2月8日(日)に開催される世界最大の音楽の祭典「第57回グラミー賞授賞式」のノミネーション発表[12月6日(土)]である。ただし、「グラミー賞」におけるこの1年とは、1月から12月まででなく、前年の10月1日から当年の9月30日までをのことを指し、つまり、その1年のあいだに発表された作品がノミネーションの対象作。よって、日本をはじめ、世界中で大ヒットを記録しているテイラー・スウィフトのアルバム『1989』は対象外となる。発売日が10月27日だったからで、しかし、それに先行して発表された「シェイク・イット・オフ」は8月18日のリリースだったので、ノミネーションの可能性は十分に有り得る。

では、この1年の洋楽シーンはどうだったのかというと、画期的な大作が登場することはなかった。ただし、良質な作品が数多く発表された年であったことも事実で、さらにいうと、「グラミー賞」ではお馴染みのアーティスト、または、「グラミー賞」選考委員からのウケが良いアーティストの発表作に良質なものがじつに多かった。これは、作品の評価が大きく割れるケースとなる典型的パターンで、おそらく、「第57回グラミー賞授賞式」も例外ではないはず。だから、ノミネーションにおいても、バラエティに富んだ、多くの人が知るアーティスト名、作品名が並ぶことになるのではないだろうか。

そしてその筆頭が、コールドプレイ。6枚目のアルバムとなる『ゴースト・ストーリーズ』はこれまでのバンド・サウンドでなく、エレクトロを軸としたダンス・ミュージックを全面に押し出したもので、この新しいスタイルは総じて評価が高く、しかも「グラミー賞」常連のアーティストとあれば、最優秀アルバム賞など、数多くのノミネーションが予想される。

また、なんのインフォメーションもなしに、突如、ニュー・アルバム『BEYONCÉ』をiTunesで配信販売を昨年12月にスタートさせたビヨンセ。「第55回グラミー賞授賞式」でベスト・ロック・アルバム賞など3部門を受賞し、今年はアルバム『ターン・ブルー』を発表したブラック・キーズ。昨年の大ヒット曲「ハッピー」を収録したアルバム『G I R L/ガール』を今年3月に発表したファレル・ウィリアムス。以上、3組の「グラミー賞」常連アーティストも複数のノミネーションが予想される。

■グラミー常連U2の革新的な動き、新人サム・スミスは台風の目となるか

そして、このロック、ブラック・ミュージック勢に加えて、マルーン5、フォスター・ザ・ピープル、アリアナ・グランデといった人気ポップ勢も各部門に名前を連ねることになるのではないだろうか。ポップといえば、日本では松たか子、May J.がカヴァーしたイディナ・メンゼルの「レット・イット・ゴー」はどうだろう。この、映画『アナと雪の女王』の主題歌は今年の「アカデミー賞」で歌曲賞を受賞している。

ちなみに、「グラミー賞」常連で忘れてはならないのがU2。これまで、ロック・バンドとしては史上最多となる22回の受賞を誇り、iTunesユーザー5億人を対象にニュー・アルバム『ソングス・オブ・イノセンス』を無料配信した今年9月の「事件」は記憶に新しいところだが、「グラミー賞」のノミネーションは作品が市販されることが条件であり、たしかにU2はその後、CDとアナログで販売したが、それは10月に入ってからのことだったので、このアルバムはノミネーション対象外となる。

しかし、今回のノミネーション予想をすると、メジャーなアーティストの名前ばかりになってしまうが、例外が一人いる。新人のサム・スミス。デビュー・アルバム『イン・ザ・ロンリー・アワー』は年が明けた1月にようやく日本国内盤が登場するのだが、海外では5月にリリースされ、彼の地元イギリスでは2週連続で1位、そしてアメリカでは初登場2位というチャート・アクションを記録している。同じ新人でいうなら昨年のロードほどではないが、台風の目となる可能性はあるソウル・シンガーだ。

なお、12月6日(土)に行われる「第57回グラミー賞授賞式」ノミネーション。今年は“A VERY GRAMMY CHRISTMAS”をテーマに、最近のヒット・ソングだけでなく、クリスマス・ソングの披露や、さらには、「グラミー賞」だけでなく、クリスマスの思い出もアーティストに語ってもらうという新しい試みを採り入れたイベントになるという。そのノミネーション・コンサートに出演するのは、マルーン5、ティム・マックグロウ、ファレル・ウィリアムス、アリアナ・グランデなど、超豪華ラインナップ。クリスマスのムードも重なり、例年以上に華やかな内容になること必至である。

Photo:Getty Images / FilmMagic, Inc

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