ポール・スタンレー「自伝は自分へのラブレターに過ぎない」

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2014年、自伝『Face The Music: A Life Exposed』を出版したキッスのポール・スタンレーだが、自伝というものは基本、クズだと思っているそうだ。自分へのラブレターになりがちだからだという。

◆『Face The Music: A Life Exposed』画像

トレインのフロントマン、パット・モナハンの週刊ポッドキャスト『Patcast』に出演したポール・スタンレーはこう話した。「自伝ってものは、本質的にはクズだ。自分自身へのラブレターになりがちだからな。自分が思っている自分、それもいい面について書く。少なくとも、話は脚色されているだろう」

バンド・メンバーのジーン・シモンズの自伝に目を通したときは、「おい、あれやったのは俺だと思ったけどな。あれは俺だったはずだ。あいつは自分のことを俺だと思っていたのか」と驚いたそうで、ジーン・シモンズに限ったことではないが、「俺が知る限り、あいつらは昨日のことも覚えてない。それがどうやって30年前のことを思い出せるんだ?」と、内容に懐疑的になるそうだ。

それでも、自伝を出版する気になったのは、自分もみんなと変わらないということを知ってもらいたかったからだという。「あの本を書いたのは、俺の人生は素晴らしい、が、いつも素晴らしかったわけではないからだ。人生は楽なときばかりじゃないってことを悟る助けになれば…。実際のところ、君らが尊敬する人達、完璧だって考えている人達は、君らとそう違わない。それに、問題を抱えている人の多くは、自分は一人じゃないってことに気づいていないときがある。だから、壁をちょこっとぶち破り“俺らはみんな一緒だ”って言ってやれば…。精神の浄化作用だよ」

『Face The Music: A Life Exposed』は8月に出版された際、『New York Times』紙のベストセラー・リスト(ノンフィクション)の2位に初登場した。日本語版もシンコーミュージックから出版されている。

ポール・スタンレーが望んだように、この本がセラピーになると感じた読者も少なくないようだ。

Ako Suzuki
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