【インタビュー】Kαin、BLITZ公演を前にYUKIYAが語る「ここが最後じゃなきゃいいね」

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■ライヴタイトルにも二つの意味があって
■お客さんが僕らと同じだけ重要だっていうことと……

──本来それが最も誠実なスタンスですよね。ただ“その頃には現役じゃないから関係ない”ということは、歌える限り歌い続けたいというお気持ちは無いんでしょうか?

YUKIYA:ゼロではないです。気持ちって日々揺れ動くものだから、のんびり自分の好きな歌を歌える環境があるなら歌い続けたいと思うときもあるし、実際おじいちゃんになってもギターの弾き語りとかは出来るだろうけど、そういう自分の肉体だけが拠り所のものとKαinとでは話が違うんですよね。Kαinとして理想の形を表現するためにはある程度の広さのあるステージ空間だったり、映像や照明といった演出も必要だから、そこも含めた総合芸術としての音楽というところで考えると、やっぱりどこかで区切りをつけないといけない。これはすべてのアーティストに言えることですけど、結局は自分のエゴを売りつけてるわけじゃないですか。“良い音楽”に定義なんて無いから、あくまでも僕が“カッコいい”とか、良い曲、良いライヴだと思うものを押しつけてるだけ。しかも何年も音源を出してないくせに、インディーズ形態のまま人にエゴを押しつけてお金を貰ってるんだから……なんて言うんでしょうね。そういう言葉が生まれる何年も前から、僕だけ一人でクラウドファンディングやってるようなもんですよ。

──なるほど! わかりやすい。

YUKIYA:別に信用のある法人とかでもないのに、“YUKIYA”というものを信用して、お金を払ってくれる人たちが何千人かいて。だから、それに対する後ろめたさというか“ゴメンね”みたいな気持ちは、すごく大きいんですよ。自分の年齢とか体力とか体調とかも含めて、そういうものにいつまで耐え得るのか? あんまりこういうことを言うと不安を煽ったり、同情を惹こうとしてるみたいに取られるのも嫌なので、控えるように努力はしてますけど……やっぱり僕みたいに個人のお金を出資して、例えば赤坂BLITZとかの千人規模の会場でライヴをやり続けるのってしんどいんですよ。なんだかんだ恥ずかしくない公演をしようとしたら、一回の公演でだいたい300万、400万かかるし、もしも天変地異とかで当日ライヴが中止になったら、チケットを払い戻さなきゃいけない。そう考えると、その日の総予算の倍くらいは現金でプールしておかないと危ないんですね。なのでライヴが何事もなく開催まで漕ぎ着けて、成功してほしいっていう気持ちは、そのへんのバンドマンとかアーティストに比べると、僕は切実さのレベルが違いますよ。

──そりゃそうですよ! 台風や地震一つで自分の資産が数百万吹っ飛ぶわけですから。

YUKIYA:毎回“地震来たら、マジ俺やべぇ!”って、祈るような気持ちでその日を迎えてますからね。僕らの場合、大体5月と11月に割と大きい会場でライヴをするんですけど、普段のライヴっていうのは正直そこに向けての予算を作るためだったりもするから、何か一つでも歯車が狂っちゃうと次回は無いんです。だから神経はすり減るし、みんなそれがしんどくて、かつて大きいところでやっていたバンドさんも、だんだん規模を縮小せざるを得なくなるんだと思う。決して音楽やパフォーマンスが劣化したとか、動員が減ったとかだけじゃなくて、そのリスクを全部バンドだけで背負い続けるっていうのは、すごくキツいことなんですよね。僕自身、それを20年も続けたことで正直かなり疲弊してます。だから、みんなを不安にさせたいとかじゃなく、今度の5月2日が最後になってもおかしくないし、そうなっても悔いの無いライヴをしたいですね。

──本来すべてのアーティストが、すべてのライヴに対して、それぐらいの覚悟で臨むべきですよね。

YUKIYA:そうだと思います。今回のライヴタイトル<one another day / die another day>にも二つの意味があって、バンドだけでやることにこだわっている僕らでも、普段よりも大きい会場でのライヴでは、スタッフだったり来てくれるお客さんだったりが僕らと同じだけ重要だっていうことと。もう一つは“ここが最後じゃなきゃいいよね”っていう気持ちですね。

──そう望みつつ、最後になっても後悔しないつもりでやると。

YUKIYA:ここ何年か、僕はそれが出来ているつもりです。2015年11月28日、ラフォーレミュージアム六本木公演でも最後の曲が終わった瞬間、“あ、今日がKαinのラストライヴでも後悔しないかも”と思いましたから。まぁ、日にちが経つと“もう一回アレを感じたい!”って欲が出て、また頑張るわけですけど。

──バンド云々関係なく、それこそ明日何が起きるかわからないですしね。

YUKIYA:ホントそうですよ。人はいついなくなるかわからないし、人生どうなるかなんて想像つかないですから。20年前にD≒SIREで上京したときだって、20年後もワンマンライヴしてるなんて考えもしなかったですからね。もちろん幸せなことではあるけれど、僕らみたいな人間がステージに上がってキャーキャー言われて、それが何十年も続いてるっていうのは……長い夢を見てるみたいなものなので。まぁ、魔法みたいなもんですよ。全然ネガティブな意味じゃなく、いつかは解けるものだから、続くのが当然と思って生きていくと、質が落ちちゃう気がしますね。

──音楽に限らず、何に関してもそうですよね。では5月2日、赤坂BLITZでの誕生日ワンマンに向けて一言お願いします。

YUKIYA:2016年はいろいろありまして、やるかやらないか?っていうところまで追いつめられた結果、発表が遅くなってしまったことに対しては、本当に“心配かけてすみません”と言いたいですね。ただ、やる以上は今までのどのライヴよりも、みなさんにベストだと思ってもらえるものを残したいので、ぜひ、それを確かめに来てもらえれば嬉しいです。

取材・文◎清水素子


■ライヴ<one another day / die another day>

2016年5月2日(月)赤坂BLITZ
開場/開演 17:30/18:30

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(問)ネクストロード 03­5114­7444(平日14時~18時)

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