【インタビュー】RED PENCIL TEACHERS「バカみたいな歌詞をどれだけ感情的に歌えるかということにもこだわりました」

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2015年10月にリリースした『ATAMAYOKUNAR』でデビューを果たし、ラウド&メロディアスな曲調と笑いを誘う歌詞を融合させた特異な音楽性やメンバーのほぼ全員がプロミュージシャンながら“やりたい放題だから顔出しNG”という異色のスタンスなどが話題を呼んだRED PENCIL TEACHERS。そんな彼らが放つ2ndミニ・アルバム『RPT AFTER ME』はあらゆる要素が深度を増していて、RED PENCIL TEACHERSの魅力を満喫できる一作となっている。ミステリアスな彼らの本質に迫るべく、NAOKI(vo)とTAGIRU(g)、MASAKI(dr)を迎えてインタビューを行った。

◆RED PENCIL TEACHERS~画像&映像~

■メンバーとすれ違った時に“ハッ”と来るものがあって
■「もしかして『赤ペン先生』やってなかった?」と声をかけた


――BARKSでのインタビューは初めてですので、まずはRED PENCIL TEACHERSを結成した経緯などをお願いします。

NAOKI:うちのメンバーはそれぞれ普段は別のバンドをしているんですけど、『赤ペン先生』みたいな通信講座をやっていた経験がある人間は、なんとなく波長で分かるんですよ。それで、街中の交差点でメンバーとすれ違った時に“ハッ”と来るものがあって、「お前、もしかして『赤ペン先生』やってなかった?」と声をかけたら、やっぱりやっていて。そうやって意気投合したメンバーが集まって、一緒にバンドをやることにしたんです。メンバー全員『赤ペン先生』経験者なので、迷うことなくバンド名はRED PENCIL TEACHERSにしました(笑)。

――運命的なものを感じます(笑)。メンバーが揃った時点で、こういうバンドにしようというコンセプトなどはありましたか?

NAOKI:僕らが『赤ペン先生』で育ったように、人にサクセスストーリーや人生のあれこれを教示できる存在になりたいというのがあって。それが、このバンドの一貫したテーマになっています。

TAGIRU:そう思うようになったのは、『赤ペン先生』の最初に来るマンガがデカかったよね(笑)。

NAOKI&MASAKI:そうそう(笑)。

TAGIRU:『赤ペン先生』の教材を取ってくださいという案内があるんですけど、それにマンガが載っていて。そのマンガはダメダメだったヤツが『赤ペン先生』をやることによって、最終的にモテていくみたいな内容なんですよ(笑)。メンバー間で、あのマンガは憧れるよねという話になって、ああいう物語を表現できるようなバンドを目指そうということになりました(笑)。


――前向きなテーマですね。音楽性は、どういう風に決めたのでしょう?

NAOKI:僕らは、子供の頃にわりとハードな音楽が流行っていた世代なんです。SIAM SHADEとかが人気があって、その後DRAGON ASHとかのミクスチャーが来て…という感じで。時代の流れと共に流行りの音楽は変わったし、僕らもいろいろな音楽から刺激を受けて自分達の音楽を創るようになったんです。でも、激しい音楽は自分達のルーツになっているし、ここに来てラウドな音楽が復権し始めているというのがあって。それで、今の感覚で激しい音楽をやったらどういう物になるんだろうと思って、RED PENCIL TEACHERSで形にしてみることにしました。ただ、誤解してほしくないんですけど、それぞれメインでやっているグループに不満があるわけではなくて。こういうこともやってみたいと思うものを、このバンドでやっているだけです。

TAGIRU:ひらたく言えば、“俺らはラウドなものをやりたいんだよ!”という(笑)。で、僕は自分のグループではボーカルをやっているんですけど、ラウドな音楽をやるなら絶対ギターだなと思って。それで、ギターをやらせてくれと言いました(笑)。

NAOKI:僕もメインというか、デビューしたグループではラップ担当です。このバンドではベースをやりたいと思っていたんですけど、他にベーシストがいたので、仕方なくボーカルになりました。

TAGIRU:ノリとしては中学生ですよね。「えっ、ギターは空いてないの? じゃあ、ドラムやる」みたいな(笑)。


▲VOCAL:NAOKI

――キッズ魂を活かしたバンドと言えますね(笑)。MASAKIさんも普段のやっているバンドではドラムではないのでしょうか?

MASAKI:いえ、ドラムです。でも、僕が一番初めにプロになったのは鍼灸師だったので。そこからスイッチしてドラムになったという意味では2人と同じです。

NAOKI&TAGIRU:いや、それは同じではない(笑)。

MASAKI:ああ、そうか(笑)。

――RED PENCIL TEACHERSで、いつもとまた違った顔を見ることができるのは、ファンの方達も楽しいと思います。7月13日にリリースされる2ndミニ・アルバム『RPT AFTER ME』は、どういうテーマのもとに作られた作品でしょう?

NAOKI:ヒット商品を生み出した人というのは、次に向かってそれを越えるという作業が必要だと思うんですけど、僕らの場合は前作がヒットしなかったので(笑)。今回はお客さんが求めているところを擦らなくて良いというコンセプトのもとに、どれだけ冒険できるかということに挑戦しました(笑)。

MASAKI:だから、『RPT AFTER ME』は良い意味で、本当に今の自分達がやりたいことを詰め込んだミニ・アルバムです。

――そういう“ワクワク感”が音に出ています。それに、ラウドだったり、ハードだったりしても常にメロディーがキャッチーということも魅力になっています。

NAOKI:そこは武器だと思っていて。若いラウドバンドには負けないぞという気持ちでメロディーを考えています。あとは、前作は耳で聴いている分には超カッコいいけど、歌詞を見ると、こんなにふざけたことを言っているんだ…みたいなことがコンセプトだったんですね。今回は一聴して、ふざけていることが分かるようにしたいというのがあって。だから、前作はサビ・パートも英語の歌詞で埋め尽くして、最後だけ笑わせようみたいな感じだったけど、今回はど頭からやっちゃって良いんじゃないかとか、ナレーションを入れちゃっても良いんじゃないかとか。そういう冒険をしました。


▲GUITAR:TAGIRU

――楽曲のカッコ良さと変わった歌詞のギャップが最高です。語感の良さと、歌詞の意味を両立させているのも秀逸ですし。

NAOKI:ありがとうございます。そこは本当に大事にしていて、最初はでたらめの英語で歌って耳触りの良い響きを探すんですよ。それを元にして言葉をハメていって、歌詞の内容はそれに合わせて考えているんです。

TAGIRU:NAOKIはプロの作家としても活動しているので、その辺りのスキルは本当に高いんですよ。E-girlsさんに楽曲を提供したりしているんです。

MASAKI:プロフェッショナルな能力を、遊びでも駆使するという(笑)。でも、そこが面白いんです。

――全く同感です。ミニ・アルバムに向けて曲を作っていく中で、指針になった曲などはありましたか?

NAOKI:一番最初に作ったのが「SINDBAD」で、あの曲ができたことで見えたというのはありましたね。さっき言ったように、女の子のナレーションを入れるというアイディアを思いついて、それを形にした曲なので。

TAGIRU:アレンジ的にファンキーなところがあったり、凝ったキメがあったりして、すごくカッコいい曲だと思うんですよ。なのに、最後の締めのキメのところにもナレーションが入ってきてブチ壊すという(笑)。そういうことを、やりたかったんです。

MASAKI:僕の中でも「SINDBAD」が出来たことは大きかったですね。1枚目の曲とは違ってファンク・テイストが強くなっていて、僕が元々やりたいことにすごく近かったから。それもあって良い曲だなと思ったし、この曲は叩いていて楽しいです。

NAOKI:一作目を出した直後に「SINDBAD」を作ったことは、本当にターニング・ポイントになりましたね。それまでは、“まぁ楽しくやろうよ”というノリだったのが、あの曲が形になったことで、みんながより真剣にふざけようという気持ちに切り替わったんです。そのほうが絶対的に面白いものになるだろうと。全員が足並みを揃えてそういう気持ちになれたのはデカかったですね。

――「SINDBAD」のアパレル・ショップの店長代理を演じているナレーションはすごく良い味を出しています。

NAOKI:ナレーションをやってくれたのは、元々アパレルの店員さんだった人なんですよ。それで、「うん、こういう嫌な店長いた」とか言っていて。だから、すごくリアリティーがあるんですよね。

TAGIRU:ナレーションも真剣に遊びました。「SINDBAD」以外で印象が強い曲をあげるとしたら、「I am a sissy」かな。僕らのルーツになっている要素を活かした曲だけど、中学、高校の頃に聴いていたものとは違っていて。メロディーや音の面も含めて、ちゃんと今の時代性みたいなものを注入できたんじゃないかなと思う。そういう意味で、すごく気に入っています。

MASAKI:僕の中では1曲目の「Balcony beach」も印象が強いです。アルバムのイントロ・ダクションのインストで、僕が表現できるのは最後のクレッシェンドのところだけなんですけど。いかに、それを落とし込むかというところで、すごくこだわりました。それに、「Balcony beach」から「I am a sissy」の洗練感のある出だしに入っていく流れもすごく気に入っています。

TAGIRU:「I am a sissy」の入り方は良いよね、自分で言うのもナンだけど(笑)。「I am a sissy」は、ちょっとジャスティン・ビーバーとかを感じさせる導入から始まって、そこからメタルコアっぽくなるという構成にしたかったんです。それを上手く形にできたんじゃないかなと思います。

――たしかに。アッパーなミニ・アルバムを、ピアノやストリングスを配したスロー・チューンの「God of romance」で締める辺りも心憎いです。

NAOKI:アルバムの最後は、どうしてもバラードにしたかったんです。僕らはラウドな曲だけではなくて、聴かせられる曲を毎回1曲用意しているんです。だから、「God of romance」は絶対に外せなかった。この曲は、すごく良いメロを、すごく無駄遣いできたなと思っています(笑)。

TAGIRU:しかも壮大だしね(笑)。

NAOKI:そう(笑)。なんならボン・ジョビじゃないかというくらい壮大な曲でふざけられたことに満足しています(笑)。

TAGIRU:それに、RED PENCIL TEACHERSは、バラードが好きなメンバーが揃っているんですよ。ラウドで手数が多いものをバァーッとやっていく中で静かな曲をやると、この歳までミュージシャンをやってきたことが活きてくるというのがあって。「God of romance」も音数が少ない形でもしっかりアレンジしていくことができて、長いことやってきて良かったなと思いました。ギターもリッチー・サンボラ風のギターが弾けて手応えを感じています(笑)。

MASAKI:僕は元々日本のポップスというフィールドで仕事をさせてもらうことが多くて。“せつなロック”と謳ってBPM=118以上はあまり...ないみたいなバンドをやっていたので、「God of romance」みたいな曲はすごく馴染みのある場所なんです。だから、レコーディングの遊びとかも自分のままで出来て、この曲も楽しかったです。

――バンドの懐の深さを活かしているんですね。「God of romance」はせつないラブソングかと思いきや、SNSの勘違いがテーマになっているというのも最高です。

TAGIRU:LINEの自動返信機能に気づいてない人という(笑)。そういう意味では、せつない歌詞ですけどね(笑)。

NAOKI&MASAKI:ハハハ!! たしかに(笑)。

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