【インタビュー】Hi-STANDARD、難波章浩が語る「ハイスタを3人のものに取り戻す」

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■3人が100%OKになったからこそ
■新曲が生まれたんです

──そういうことを経て、3人の気持ちが固まってきた部分って、言葉にできますか?

難波:もちろんバンドとして失ったなにかを取り戻すとか、そういうことになる時間だったのかもしれないけど、“戻る”っていう気持ちではなかったと思うんですね。以前みたいな感じとか、昔みたいなハイスタをっていうムードは3人には全くなかった。今の俺たち……もちろんブランクもあるし、各々の活動を継続していて、それらを経験した新しいハイスタをやっていこうと。それがヘボくてもいいじゃないの?って。昔のファンがガッカリしても仕方ない、それもハイスタでしょ!みたいな開き直りもありましたね。

──なるほど。

難波:ぶっちゃけ、僕らにとっても新しいですからね、ハイスタが。だって、10数年ぶりにライブをやったり、音源を16年ぶりに出すわけですから、新しすぎちゃって(笑)。そもそもの目標値が、リリースしてライブをしてっていうところじゃないのかも。究極、3人が集まってキャーキャー言えていたら、それでいいんです。3人がゴキゲンだったらいいんです。それが本当にすごく強いバンドだなって。いわゆるビッグバンドの復活とか客観的に見てますけど、それとは意味が違うというか。僕らはちょっと特殊なバンドなのかな。だから、取り戻すという意味では、ハイスタを3人のものに取り戻すということで。ハイスタという名前が広がりすぎちゃって、どこにハイスタがいるの?みたいな状態から、ハイスタは3人のものなんだ!って。

──3人がワチャワチャしていることが本来のハイスタだと?

難波:ワチャワチャしてる姿を見せるのがライブだし、それを音として届けるのが音源じゃないですか。ワチャワチャしてないままやってる人たちも多い気がするんですよね。バンドはまず自分たちが楽しむものなんじゃないのっていうのを、もう一回確認したかったんでしょうね。それには普通のバンドとして3年なり4年なりかかったということじゃないかな。健くんはKEN BANDの世界とか、僕はNAMBA69の世界、ツネちゃんもドラマーとしていろいろ活動しているわけで。各々が持っているチームというか、それを止めないで、ハイスタは運命共同体的な、それぞれの最大公約数的なバンドになれたらいいなと思っているので。

──それぞれの現在の環境を尊重しつつ。

難波:それを持ったままハイスタをやってる。それ自体が前とは違うわけで。「ANOTHER STARTING LINE」のリリース方法もすごくスムーズにいったし、それをインディーズでDIYで、今の自分たちだけでやってしまう。それも、世間からしたら意味がわからないだろうし、そうとう強烈だったと思うんですよね、自画自賛ですけど(笑)。3人がコアなところでイエイ!ゴキゲン!イエス!ってやってたら相乗効果でとてつもないことができる。この10数年のそれぞれの経験だったり、新しいものを作り続けてきたみんなの力を結集するとそういうことができちゃうという。それが今のハイスタであり、2000年までのハイスタとは違うところですね。

──たとえば、1990年代はそれぞれがハイスタに対して100%を注いでいたとするなら、今はそれぞれの活動があって100%ではないかもしれないけどやれる限り全力でやろうという余裕も?

難波:いや、ぶっちゃけ余裕はないですけど(笑)、きっとどちらも100%だと思うんですよ。それぞれにリアルに家族がいて、それぞれのチームがある中で、ハイスタとしての新しいカタチができて。2000年までのハイスタでは成し得なかったことが今できる。そうでないとハイスタは今、成り立たないのかもしれないし。僕たちのペースが新しく生まれて、そこに対して100%注ぐ状態になってますからね。このあいだ健くんがライブで、“KEN BANDとハイスタが自分の中で同居している。棲み分けも含めて、全部がYESになった”みたいなことを言ったらしいんです。僕らはそれを直接聞いてなかったけど、そんなことは一緒にいたらわかるんですよね。

──ええ。

難波:2011年とか2012年くらいに、“ハイスタをやることはどうかな?”って健くんが思っていたことも僕らは肌で感じてましたからね、古い仲間だし。映画(ドキュメンタリーフィルム『横山健 -疾風勁草編-』)でも言っていたとおり、健くんはずっとKen Yokoyamaっていう世界を作ってきて、ハイスタをやることでどうなるのか、そこが悩みだったと思うから。それが、ハイスタというバンドが100%YESになることのテーマだったような気がするんです。僕はさっきも言ったようにもちろんハイスタをやりたかったし、NAMBA69も続けられると思ってた。でも、3人がOK!ってならなかったら、僕もYES!ってならないんですよね。それからどんどんOKになって、そうしたら僕もYES、ツネちゃんもYESになったと思うんですよ。で、健くんがライブで公言したということは本当にそうなったんだなと。そういう意味でも、さっき言った“みんなとコミュニケーションを図るあの時間”は必要だったし、健くんがYESってなってないときにリリースとかライブとかがあったら、違ったものになっていたと思う。そのへんのジャッジもチームやクルーがしっかり考えてくれるようになっているから、間違いないですね。で、3人が100%OKになったからこそ、新曲が生まれたんです。

──前シングル「ANOTHER STARTING LINE」を聴けば、ハイスタが一枚岩の結束を持っているのが伝わりますから。

難波:安定感ありますよね(笑)? ズシッとくるから。キャーキャーイエーイエー!みたいなことも「ANOTHER STARTING LINE」に入れたかったけど、それは次回のオリジナル音源でやれたらいいなと。でも、今回のカバーシングルにはキャーキャー感が出てますよね?

──僕もそれを強く感じました。何よりメンバー3人が楽しんでる雰囲気が伝わってきますよ。

難波:シュープリームスのカバー「You Can't Hurry Love」は往年のハイスタ感が出てるしね。

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