【インタビュー】Hi-STANDARD、難波章浩が語る「ハイスタを3人のものに取り戻す」

ポスト

■そもそもパンクは自由だし
■これからはもっと自由に

──今回収録されている2曲のカバー(「Money Changes Everythings」「Happy Xmas(War Is Over)」)は、どちらも1997年に発表されたものですね。

難波:当時27歳ですからね。2000年に休止したときが30歳だったから。

──あと、1997年は『ANGRY FIST』をリリースした年になります。

難波:ああ、そうか。自分たちの中で『GROWING UP』(1995年リリース)はすごくいいアルバムができたと思ったんですよ。それが世界的にも広まって、そのプレッシャーなのか『ANGRY FIST』はこじんまりしちゃった感じがある。僕らの中ではあまり納得してないところもあって。

──こじんまりしたとは?

難波:狙った感じがしたんですよ。『GROWING UP』をFat Wreck Chordsから出したことで世界に広まって、海外バンドのトレンドとかを意識しすぎたのかもしれない。これはハイスタじゃねえなって。もっと暴れようってなって、それでノンプロモーションで「Money Changes Everythings」とか「Happy Xmas(War Is Over)」をライアン・グリーンじゃない音で出したんですよ、今思うと。

──そうだったんですね。

難波:で、次に『MAKING THE ROAD』を作るんですけど、その制作はめちゃめちゃ大変でしたね。『GROWING UP』『ANGRY FIST』を越えられるのかと。生み出すことに精一杯でした。ハイスタはここまでじゃないのか、力尽きるんじゃないのかって(笑)。無事に『MAKING THE ROAD』を出して長いツアーに突入したんだけど、見事にそこで力尽きましたからね(笑)。それくらい途轍もないアルバムではあるんです。生み出して死んじゃうんですから、それもシブいなって。サケみたいな感じですよね(笑)。しかも、2000年の<AIR JAM 2000>で花火を打ち上げて活動休止ですもん、強烈ですよね。

──「Money Changes Everythings」と「Happy Xmas(War Is Over)」は、『ANGRY FIST』の前後にリリースされているものなんですよね。そういう意味ではガス抜きと言ったらヘンかもしれないですが。

難波:そうかもしれない。ハマりたくなかったんでしょうね。Fat Wreck Chordsで世の中に広がったところはあったんですけど、そうじゃないよ、それだけじゃないよっていうところもあったのかな。確かにそういうタイミングでカバーをやってるのかな。今回もそうなんだな。そういうときにカバーをやって、自分たちを確認しているんでしょうね。

──いい意味で遊びながらカバーしつつ、それが自分たちの確認になるわけですね。

難波:オリジナルを作るとなると、ガチガチにみんなマジになるじゃないですか。それで大変なときもあるから(笑)。今、思い出したけど、1990年代当時はプレッシャーが凄かったんですよ。ハイスタは結局アルバムを3枚しか出してないんです。『MAKING THE ROAD』の頃は3人の関係もギスギスだったというか、消耗したというか。それくらいハイスタというバンドにのしかかる期待度とか、それに応えなきゃいけない責任感があったかもしれない。それが時代も変わって2010年代に入って、凄いビッグバンドがいたり、新しいバンドたちがいっぱいいるじゃないですか。今、それほどのプレッシャーはないんですよ(笑)。

──そうなんですか?

難波:以前は常に君臨しなきゃいけない、一番じゃなきゃいけないみたいな気持ちはあったんですよ。それは僕だけかもしれないけど、歌う人間として、フロントマンとしての気持ちなのかもしれないですね。だけど、今は若くて凄いバンドもたくさんいますから、これからは自由にやれそうだなみたいな(笑)。

──伸び伸びと周りを気にせず?

難波:そう。たとえばCDチャートって、CDだけのものだから配信は入っていないでしょ、これだけ配信が多い時代なのにそういう意味では正確ではない。逆を言えば、オリコンで1位を獲っちゃったハイスタが、“そういうことじゃない”ってメッセージするチャンスでもあるんですよ。

──そもそもカバーだけでシングルをリリースするって今の時代にはなかなかないですし。

難波:そうですよね(笑)。そもそもパンクは自由だし、これからはもっと自由に。このカバーシングルは気軽に聴いて笑ってほしいです、ミュージックビデオを含めてね。“ハイスタって、アホだな”って思ってもらえたらいいです。ユーモアは忘れたくないんで。

──そして、12月23日には<AIR JAM 2016>が開催されますね。

難波:まず、<AIR JAM>は西日本での開催はなかったので、西に届けたいという気持ちがあって。そこで、九州の福岡で開催ということになりました。ラインナップについては自然に、自分たちが交流あるバンドを呼んで。今の時代に新しい<AIR JAM>をやるっていうことがテーマです。熊本の震災もあったし、九州が元気になってもらえたらいいなという思いを込めて。ドームでロックフェスというのも日本初なんですよ。アリーナを完全スタンティングにはできなかったけど、ドームでスタンディングができること自体初ですから。今回の<AIR JAM 2016>がいろいろな意味で未来に繋がればいいなと。とにかく楽しい一日になればいいですね。

取材・文◎荒金良介
撮影◎佐藤哲郎


■カバーシングル「Vintage & New, Gift Shits」

2016年12月7日発売
PZCA-80 ¥1,200(税抜)
01.I Get Around
02.You Can't Hurry Love
03.Money Changes Everything
04.Happy Xmas (War Is Over)
※TRACK 3,4 は過去発売した7inch Vinyl Recordの再録、CD化。


■シングル「ANOTHER STARTING LINE」

2016年10月5日発売
PZCA-79 ¥1,200(税抜)
01.TOUCH YOU
02.ANOTHER STARTING LINE
03.NOTHING TO LOSE
04.RAIN FOREVER

■<AIR JAM 2016>

2016年12月23日(金・祝) 福岡 ヤフオク!ドーム
リストバンド交換8:00 開場10:00 開演12:00 *21:05 終演予定

▼スペースシャワーTV『AIR JAM 2016』
初回放送:2017年2月25日(土)21:00~23:00 (リピート放送3月予定)
▼スペースシャワーTV『AIR JAM 2016 DOCUMENTARY SPECIAL』
初回放送:2017年3月予定
▼スペースシャワーTV『Hi-STANDARD「GOOD JOB! RYAN TOUR 2016」LIVE & ドキュメンタリー』
初回放送:2017年1月29日(日)22:00~22:30 (リピート放送2月予定)
▼BSスカパー!(BS241/Ch.585)『AIR JAM 2011 SPECIAL』
放送日時:2017年1月04日(水)19:00~22:00 他
▼BSスカパー!(BS241/Ch.585)『AIR JAM 2012 LIVE SPECIAL day1/day2』
放送日時:2017年2月放送予定 (※後日BSスカパー!公式ホームページ内で発表)

◆Hi-STANDARD リリース特設サイト
◆Hi-STANDARD オフィシャルサイト
◆PIZZA OF DEATH オフィシャルYouTubeチャンネル
◆<AIR JAM 2016> オフィシャルサイト

◆インタビュー(3)へ戻る
◆インタビュー(1)へ戻る
この記事をポスト

この記事の関連情報