【インタビュー】丸本莉子、“日常を切り取った”心の声が聴くものを癒してくれる1stアルバム『ココロノコエ』

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■みんな大変なことを抱えながら頑張っているんですよね
■聴いた人が自分の気持ちも吐き出せるような歌になればいいな


――「あたし」もアレンジがビッグバンドジャズ風で楽しい曲ですが。

丸本:これは、上京した頃からお世話になっている平野晋介さんっていうアレンジャーさんにお願いしたんですけど、アルバムだから好きにやっていいかなって(笑)。なので歌詞も自由に書きました。

――この歌詞のように、家に帰って、1日を振り返って、悶々として自分と向き合うことって、結構ありますよね。

丸本:TwitterとかFacebookを見ていると、みんな自分が「リア充です」みたいな感じですよね。でも、実際は、直接「最近どう?」って聞くと、「大変よ!」って答えが返ってくるんです。Facebookを見ていたら、すごくたくさん友達がいるんだなぁって思ってた人も、「友達ゼロ!」とか言う。だからきっとみんな、ネガティヴなことは内に秘めて、みんなに負けないように幸せだって見栄を張っているんだなって思ったんですね。そう考えたら、実は私も同じだなと思って。Facebookで近況報告はするけど、嫌なことは書けないから。そういうところをこの曲で表現できないかなって。

――リア充と言っていても、実際は窮屈な毎日を感じているんですよね、みんな。

丸本:みんな大変なことを抱えながら頑張っているんですよね。「あたし」の歌詞みたいに悶々と考えちゃうことって、毎日ではないと思うんですけど、こういう日もあると思うんですよね。聴いた人が「こういうことあるよな」って、自分の気持ちも吐き出せるような歌になればいいなと思います。


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――「鏡に映った顔を失くしたピエロ」というフレーズが、ネット社会を表しているような感じがします。ネットの中の意見って、実態がよくわからない顔のない人の意見という感じがして。

丸本:よく考えると意味がわからないフレーズなんですけどね(笑)。でもそう思っていただけるとうれしいです。

――次の「フシギな夢」もそうですし。これはブルボンの「ラシュクーレ」のCMソングにもなってますね。

丸本:この曲は、ちょうど去年の今頃作っていたんです。こうやってアルバムの1曲として聴くと、落ち着く感じがします。

――次のカヴァー曲「言葉にできない」にうまくつながる一曲にもなっていますよね。だから、「言葉にできない」がカヴァーって気づかない。あまりにも馴染んでいるから。

丸本:そうなんですよ。出来上がったものを父親にはじめて聴かせたとき、「これ、小田和正さんっぽくない?」って言ったくらいで。サビ前でカバーと気づいて、「la la la……」で、その恥ずかしさを隠すように一緒に歌い出したという(笑)。

――ははは(笑)。でも、お父さんがそうやって間違えるくらい、声とメロディが馴染んでいるんですよね。

丸本:ミニアルバムでは毎回カバー曲を入れていましたが、今まで三曲カバーさせていただいて、全部女性の曲だったんです。でも今回は初めて男性アーティストの曲で。キーも小田和正さんのキーのまま歌ったんです。誰もが知っている名曲ですけど、すごく新鮮な気持ちで歌えました。編曲はギタリストの西海孝さんにお願いしました。私の声が前に浮き立つように、リバーヴ感をなくしてカラっとした仕上がりになっています。後ろでスチールギターが鳴っていて。シンプルなんだけど寂しくて。レコーディングは、スタジオでみんなで一発録りしたんですけど、それもとても楽しかった。難しかったですけどね。

――歌ってみてどうでしたか?

丸本:実は少し前にライブでも歌わせていただいたんですけど、この曲をやった時にその日一番会場の一体感が出たんです。それは、この曲がそれだけ名曲だからなんですが、その時に、私のライブなのにこの曲で一番盛り上がるのは良くないなと(笑)。自分のレパートリーでも、そういう曲を育てなければいけないと感じました。

――目標ができましたね。「つなぐもの」のイントロも変わりましたね。

丸本:これもアルバム仕様に新鮮さをプラスしました。だから一瞬、「つなぐもの」じゃない気がしますよね(笑)。何パターンかイントロを作った中から合うものを選んだんです。アルバムの中に馴染むように。

――アルバムのラストは新曲で終わりますね。「この風に乗せて」はすごく春っぽい雰囲気で。

丸本:サラリーマンを主人公に描きたいと思ったんです。私と同世代の人たちって、もう新人でもないし、役職がついているわけでもないし、宙ぶらりんな状態で。入社した当時はすごく意気込んで「頑張ろう!」ってなっているけど、慣れてきたらそういう気持ちって薄れていく。そういう状態の時を描きたいなと思ったんです。何行かカギカッコの部分があるんですけど、これは就職する前に、恩師のような人から言われた言葉で、その言葉は、時間が経つにつれて忘れてしまっているんですけど、人混みの中で新品のスーツを着た新人サラリーマンを見たときに、その言葉がスッと頭によみがえる……みたいなイメージなんです。

――そういう意味だったのか!

丸本:そうなんです(笑)。入社してしばらく経って、やりがいが見出せなくなっている時期の人を描きたかったんですよね。冒頭にある新聞のエピソードは実話なんですよ。友達が、上司に「新聞を読め」と言われて契約したものの、読まずにどんどん溜まって行くという話をしていて。

――リアルですもんね。この曲の主人公は、この後、自分の未来を変えて行こうと何かをはじめるんでしょうか。

丸本:きっと、こういうことは人生の中で、何度でも思うんでしょうね。

――1sアルバムを作ってみて、どうでしたか?

丸本:できた達成感は今までと違いましたね。ずっと制作に没頭していたので。今はちょっと余裕があるので、ここでもっと次の曲を作っていかなきゃダメだなぁとは思っています。

――じゃあ、これからガンガン曲作りですね。

丸本:ただ、いっぱい曲を作るには、いろんなことを感じなければいけないので、インプットも必要だなと。フットワークを軽くして。漫画がすごく好きなので、漫画を読んでいいなと思ったものの主題歌を勝手に作るとか(笑)。今は「キングダム」(中国の春秋戦国時代を舞台にした戦記もの)を全巻読んだところで。

――「キングダム」か~(笑)。どんな曲ができるんだろう。

丸本:ははは(笑)。読んだ作品ごとに曲を作ったりすれば、いろんな曲ができそうですよね。

取材・文●大橋美貴子





1st Album『ココロノコエ』

2017年3月22日(水)Release
初回限定盤【CD+DVD】
VIZL-1138 3,600円+税
通常盤【CD】
VICL-64765 2,800円+税

<CD収録内容>
01. ココロ予報
02. 誰にもわからない
03. 夜を泳ぐ
04. やさしいうた (guitar intro)
05. 今だけの永遠
06. ガーベラの空 ※TBSテレビ系「噂の!東京マガジン」2017年1月~3月エンディングテーマ
07. 愛は
08. あたし
09. フシギな夢 ※ブルボン「ラシュクーレ」CMソング
10. 言葉にできない
11. つなぐもの (another intro)
12. この風に乗せて
<DVD収録内容>
ココロ予報 (Music Video)
誰にもわからない (Music Video)
やさしいうた (Music Video)
ガーベラの空 (Music Video)
フシギな夢 (Music Video)
つなぐもの (Music Video)

ライブ・イベント情報

<リリース記念インストアイベント ミニライブ&サイン会>
2017年3月22日(水) 東京都 タワーレコード渋谷店
START 18:30
*ライブ観覧無料
*イベント参加券配布対象店舗:タワーレコード渋谷店

2017年3月25日(土) 大阪府 タワーレコードNU茶屋町店 6F イベントスペース
START 12:00
*ライブ観覧無料
*イベント参加券配布対象店舗:タワーレコード梅田NU茶屋町店 / 梅田大阪マルビル店 / 難波店 / 神戸店 / 京都店 / あべのHoop店

2017年3月26日(日) 埼玉県 イオンレイクタウンmori 木の広場
START (1)13:00 (2)15:00
*ライブ観覧無料
*イベント参加券配布対象店舗:イベント会場特設CD即売ブース(イベント当日のみ)

<ISEKI LIVE 2017~COFFEE&SOUL~>
2017年3月18日(土) 広島県 ライブ楽座
OPEN 16:00 / START 17:00
出演:ISEKI / 丸本莉子

<満月の夜の丸本さん家 Vol.2>
2017年4月12日(水) 東京都 月見ル君想フ
OPEN 19:00 / START 19:30
出演;丸本莉子 / お客様:fumika リリィ、さよなら。


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