【インタビュー】Tetsu [D’ERLANGER]、「もう一度あの場所で」

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■ベストを尽くせてる実感がある
■それ以上がないからこそ胸を張れる

──この10年間というのも、計画立てながら進んできたわけではなかったですもんね。

Tetsu:うん。めちゃくちゃでしたから、振り返ってみると。

──実際、再結成からこれまでの間、何がいちばん大変でしたか?

Tetsu:そう訊かれて言いたいことはたくさんあるけども(笑)、何がいちばんかというのは特定しにくいかな。というのも、結局、PITでのライヴを終えて次の朝に目覚めた時、すべて報われた気がしたんですよ、俺は。結局、常にそうやって報われながら次に向かえてるんで、大変だとは感じないんですよね。だから、このままやっていければ今後もそれを大変だとは感じないだろうと思う。それでも消せない大変さというか“これは嫌だ!”というような気持が仮に残ることがあれば、その時はもう“無理!”って宣言するだろうと思うんです。

──苦労をいとわないのと、無理をするのとは違うはずですもんね。

Tetsu:うん。今、ドラマーとしてのことをやるのみならず、マネージメントのこともやっているわけですけど、実はそこで全部が繋がってるというか。すべてがパワーの源になっているのと同時に、そこで何かが無理だということになれば、すべてが無理ということになる。というかね、結局はそれが自分の人生なのかなって思うんですよ。

──大変なのは承知のうえ。だけど本当に無理なわけじゃないならばやり遂げられるはずだし、やり遂げれば報われる。そうやって前に進んでいける、ということですよね。

Tetsu:そう。その“報われる”っていうことについても、具体的には説明しにくいんだけどね。たとえばまた武道館でやれる機会があったなら、これまでやってきたことのすべてが報われたと思えるだろうなと思う。あそこはやっぱり特別な場所で、昨年末にもマーヴェリックのイベントに出させてもらって、久しぶりにD’ERLANGERとしてあの場所でやって。この景色を見ておかないと、という気持ちでしたね。もう一度ここで、という思いは当然あるんです。それをブチあげて、そこに向けて計画を立てていくという感じではないんだけども、こうしてマネージメントを5年間ずっと切り盛りしてきて、もう一度あそこで、という気持ちが強まってきてるのは確かで。それは多分、前にやったことがあるからこそなんだろうなと思う。やったことがなくて、そこに立つことを目指すというのとは感覚的に違うんだろうと思う。

──ちょっと変な言い方かもしれませんけど、マネージメントをする立場の人間として、“このバンドをもう一度あそこに立たせたい”という気持ちだったりもするのでは?

Tetsu:それもありますね。もちろん自分自身としても、やりたいんですよ。やっぱりあそこがいちばん好きだし、気持ちいいし、見晴らしもいい。神聖な気持にもなるしね。でも、“やりたい”っていう気持ちだけでできる場所じゃないし、だからこそ目標にもなるし、モチベーションにもなってくる。それが実現できるまでは絶対ギブアップしねえぞ、と決めているんで。

──どんなバンドでも永遠ではあり得ないし、あと何枚アルバムを作れるかもわからない。しかし今現在のD’ERLANGERの場合、バンドを存続させること自体について必死になる必要がないというか。

Tetsu:それはないですね。なんか今は、ヤバいぐらいそれがない(笑)。でもそれは、それだけちゃんとベストを尽くせてる実感があるからなんだろうと思う。これ以上ないぐらいやってるし、考えてるし。それ以上がないからこそ、胸を張れるというか。

──そういう実感がお互いにあるからこそ、変な不協和音が生まれることもない。ただ、2007年にバンドが復活した時、こうして10年続くと思っていましたか?

Tetsu:どうだろう? 思ってなかったかもしれないな。なんか全然、今とは気持ちが違ってたし、背負うものがまるで違うというか。確かにね、マネージメントを切り盛りするようになってから、自分のこと、バンドのことだけ考えてやればいいという状況ではなくなったわけですよ。だけど自分にはそれが楽しくもあるし、こういう経験をしてきたことによって、スタッフの有難みってものをいっそう感じられるようになったというのもある。さかのぼってみれば、昔はめちゃくちゃだったわけですよ。かつては雑誌とかも多くて、表紙もバンバンいただいちゃって、まさに取材ラッシュみたいな状況もあったけど、そうやって露出をひとつ確保してくることがどれだけ大変かなんて、考えたこともなかったしね。“撮影があるんですけど衣装はどうしましょう?”みたいなことがあれば“スタイリストを雇って手配してもらって全部買い取りましょう”なんてことを普通にやってたし。今の俺たちは、取材があればこうしてちゃんと時間通りに来るじゃないですか。こんな現状を知ったら、デビュー当時のレコード会社のスタッフは怒るんじゃないかな(笑)。

──やればできるのに何で当時はやってくれなかったのか、と?

Tetsu:うん(笑)。ラジオの収録に行かなかったり、新幹線に一本乗り遅れてTVに間に合わなくなったり、いろいろあったわけですよ。TV局の楽屋が狭いっていう理由で揉めたりとかね。それはもう10年前どころじゃなく、20年、25年前の話になっちゃうけど。そんな時代があったうえで、現在があるわけなんで。当時のスタッフとは今でも友達付き合いをしてるから、そんなのも笑い話になってるし、“最近はそんなふうに世話をかけてくれるバンドがいなくてね”なんて言ってくれるんだけど。いたら困るんだろうけどね、実際は(笑)。だけどまあ、今の俺がこんなふうに考えてるって知ったら、当時のスタッフはみんな腰抜かしますよ。

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