2日間にわたって行われた最先鋭ヘヴィ・ロックの祭典<CHAOS ASSAULT Vol.1>。初日のSIGH/MANTAR/Borisに続いて、2日目はDOOM/SIGH/CHURCH OF MISERY/MANTARという強力なラインアップが集結した。

土曜日ということ、また4バンド出演ということもあってか観客動員は2日目が上回っていたが、両日いずれのバンドも鮮烈なステージ・パフォーマンスで、会場全体をアドレナリンの渦巻く陥穽へと叩き込んだ。

2日目の開場時間を前にして、渋谷Garretの扉の前には行列ができていたが、会場の中ではトップバッターとして出演するDOOMの藤田タカシ(G)がギター・サウンドの調整をギリギリまで行っている。その音量がデカイ!並んでいる観客にもそれが漏れ聞こえていたのか、まだライブが始まってもいないのにフロアのテンションが異常に高かった。

そして午後5時ジャスト、「Rocking Russian」イントロのドラム・ビートからDOOMのショーが始まると、サウンドチェックより数段デカイ轟音が観衆を襲う。1985年に結成、ヒストリーDVD『Insomniac Days - The History of DOOM -』も先日発売されるなどベテランの域に達した彼らだが、落ち着いてしまうつもりはまったくないようだ。エクストリーム・メタルの太い背骨が貫きながら、ジャズやプログレッシブなどトリッキーなフレーズも加えた彼らは、人間を狩ることを覚えた動物のようだ。年輪を経たことで、DOOMはより危険なバンドになった。前半は『Killing Field...』『Complicated Mind』(共に1988)からのナンバー、後半は最新アルバム『Still Can't The Dead』(2016)からの3連打と、思い切り駆け足でバンドの軌跡を集約してみせた。


▲DOOM

初日に続いて登場したSIGHは、両日参戦のファンを意識してか、セットリストを大幅に変えてきた。1曲目は最新作『IN SOMNIPHOBIA』から「The Transfiguration Fear」。エクストリーム・メタルにパーカッション乱打やシンガロング・コーラスを縦横無尽に取り入れた情報過多のファスト・ナンバーで観衆を何が起きるか予測させない、まさに混沌の世界へと絡め取っていく。

不動のバンド・リーダーでボーカルとフルートを担当する川嶋未来は、初日と変わらぬ黒装束とダークで怪しいステージ・プレゼンスをかもし出していたが、ボーカル/サックスのDr. Mikannibalは同じ黒いコスチュームながら、より表情豊かでアッパーなムーブメントで強烈な存在感を放つ。初日のヴェノムに代わってカバー曲コーナーではデスの「イーヴル・デッド」をプレイ。初期SIGHからライブでプレイされてきたこの曲だが、Dr. Mikannibalをセンターに据えたナンバーとして新たな装いで復活することになった。この日は彼女が火を付けた杯から赤いネバネバ液を浴びるなど、パフォーマンス的には前日以上に“見せる”ステージだった。


▲SIGH

この日の公演において最大の話題のひとつは新生CHURCH OF MISERYのファースト・ライブだろう。2014年にTatsu Mikami(B)を除くメンバー3人が脱退、アルバム『And Then There Were None』(2016)はスコット・カールソン(リパルジョン)らを迎えた実質スタジオ・プロジェクトとして作られたが、遂に新布陣でステージに還ってくることになったのだ。彼らを目当てにしていた観客も多かったようで、バンドがステージに上がる前から期待と不安がないまぜになった異様な空気が漂っている。

フィードバックから「El Padrino」のイントロが鳴り響くと、その空気に引火して場内は爆裂。Yasuto Murakiのギター・リフ、Junichi Yamamuraのドラムスと共に、スローでダークなドゥーム・メタルのグルーブに乗ってうねりを生み出していく。新ボーカリストのHiroyuki TakanoはSITHTERでも活動するが、CHURCH OF MISERYの金看板を背負って、触ったら切れそうなほどの殺気を放っている。このラインアップでこれからヨーロッパ・ツアーを行い、帰国して12月には東京でワンマン・ライブを行うことも発表。猟奇殺人を題材にとったドゥーム・メタルで長年の人気を誇ってきた彼らが新編成でもその殺傷力と瘴気を持ち備えていることが、この日のステージで証明された。


▲CHURCH OF MISERY

ドイツからの2人の刺客MANTARは前日に続いて出演、この日はラストに登場する。アップテンポでノセまくる「ザ・ストーニング」から始まるライブは、前日で日本の観客のツボを早くも把握したもので、ギター兼ボーカルのハンノはパンク・ロッカーっぽく一見“アイ・ドント・ケア”なアティテュードを見せながらも、しっかり観衆とのコミュニケーションを取り、ハードなドライブ感を伴うギター・ワークで盛り上げていく。

「日本のオーディエンスはシャイだというのは本当か?」「ノー!」などの応酬を取り混ぜながら、ドラマーのエリンチが叩き出す極太グルーブですべてをなぎ倒し、この日も「イラ・ボリアリス」での一丸となった合唱、「ホワイト・ナイツ」での凄まじい昂揚感でイベントを締めくくることになった。



▲MANTAR

世界が羨む強力な顔ぶれが東京で凄演を繰り広げた2日間。終わってみるとそれは2夜の夢だったようにすら思える。だが全身に残る鈍痛と疲弊は、<CHAOS ASSAULT Vol.1>が確かに存在したことを物語っている。

来たるべき<CHAOS ASSAULT Vol.2>ははたしていつ開催され、どんなバンドが参戦するか。我々は再び“ケイオス=混沌”に備えなければならない。

文:山崎智之
Photo by Mikio Ariga

<CHAOS ASSAULT Vol.1>
2017年9月22日(金)・23日(土)
@東京渋谷GARRET