【初参加レポ】<朝霧Jam>は、寝食とライブが融合する音楽ファンのホーム

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朝。眠りが深かったため見逃したダイヤモンド富士は次回の楽しみにとっておくとして、それにしても風が爽やかだった。肌にあたると、まっさらな朝の中に自分がいることを実感し「また新しい1日がはじまる」という喜びとときめきを抱く。忘れがちなそんな感覚をみんなと共有したような気持ちになったのが、朝霧恒例のラジオ体操である。メインステージに集まって数千人でおこなうラジオ体操は確かに一見の価値があった。その後に朝食に食べた「高原のシチュー屋さん」のクリームシチューがとてもミルキーで絶品だったこともどうしても書き記したい。朝霧はどの飲食店もおいしくて価格が安いので、ニジマス、富士宮焼きそばなど地元のものを片っ端から試したくなるし、これでは自炊組のキャンパーも引きつけられてしまうだろう。









その後、ラジオ体操にも参加していた“DJみそしるとMCごはんのケロポン定食”という、DJみそしるとMCごはん&ケロポンズによるスペシャルアクトは大盛況。来場していたたくさんの子供たちにとっては紛れもないピークタイムだったろうが、視覚的にも聴覚的にもエンターテイメント性が高くて見事に引き込まれていく。特に、おみそはんのニューアルバム『コメニケーション』に収録されるケロポンズとのコラボ曲「ライスッス」は、“お米”というあまりにもポップな題材を、それに輪をかけてキャッチーなメロディで歌う強度のあるナンバーあった。

MOONSHINE STAGEのスタートを切ったのは、ROTH BART BARONの重厚なバンド・アンサンブルだった。非常にエモーショナルな名演。思春期性がファンキーかつダンサブルに炸裂する思い出野郎Aチームが続き、名実ともにすばらしいインディーロックを一気に味わう。初めて目にした人も、後日各アーティストのワンマン公演につい行きたくなるラインナップだろう。

▲思い出野郎Aチーム

そして、このエリアに広がる噂通りいろんな種類が揃うワークショップ、マーケットエリアを散策する。麻素材の衣服や、色とりどりのろうそく、ハンドメイドの革製品、記念にしたい富士山雑貨、うつくしい民族楽器にTACOMA FUJI RECORDSのTシャツまである……到底見切れません。フジロックの奥地のほう、フィールド・オブ・ヘブンやオレンジカフェのように、飲食やカルチャーやファッションが音楽と一体化している。実際にいくつか体験したり購入したりしながらも、驚異のリピート率を誇るという朝霧Jamだけあって、いつの間にか「次、来た時にしよう」と思わせるのだから自分でも面白かった。初参加でもホームになるのが朝霧Jamのようだ。









昨年2016年のヘブンを思い起こした、同じく日本晴れの中でのUAのステージも脳裏に焼き付いている。青空の下で聴くUAは地球のディーバだ。その後は、このメインステージ・エリア中央に位置していた苗場食堂のとろろ飯とけんちん汁を食べて愛しいフジロックに思いを馳せた。だが、しかし。もう「早くフジロックに行きたい」と願い続けているほどのフジロスを今回の朝霧Jamで癒やせそうと踏んでいたけれど、それはお門違いだった。それはもちろん、こうして朝霧の魅力に触れたことで朝霧ロスを患ったからである(朝霧はその深刻度がお天気によさに比例するそう)。冒険と癒やし、エキサイトとリラックスetc……と、人それぞれに形容できるこのふたつのフェスは、相乗効果のように魅力が発揮されるようにも思える。これからは1年間をこのふたつのフェスを軸に過ごしたいくらい。

▲UA





そしてやはり、「ただ呑みに来た」「いるだけで最高」と言われるほどのロケーションで、海外アーティストの音楽を体験できるフェスは本当に貴重だ。

UAのあとは、RAINBOW STAGEにはペトロールズ、ロード・エコー、大トリのサチモスが、MOONSHINE STAGEにはCHON、NONAME、セオ・パリッシュが登場。ロック、ポップ、エレクトロ、ラップが共存し、巨匠も新進気鋭のアーティストも集結するという贅沢の極みである。これで入場料が¥15,000、小学生以下は保護者の同伴で入場無料というのは、お世辞抜きで本当に安い(自然と共生していることまで実感できる)。なかでも、ライブスタート時から「かっけー!!」と叫ばれるほど男惚れしてしまうサチモスは、彼らの現在地をきっちりと示しメインステージのトリに相応しい雄姿だった。朝霧とサチモスの相性は抜群。ロック、ファンク、R&Bなど多彩なジャンルを咀嚼する音楽性もさることながら、「ダサいことはしない」というシンプルだが高い精神性も共通しているように思えて感動に拍車をかけた。朝霧Jamはこうして、「現行の音楽シーンを映し出す」という音楽フェスの役割も十二分に果たし大団円を迎えた。

▲NONAME

▲THEO PARRISH

▲Suchmos

  ◆  ◆  ◆

まるで深呼吸のように体が整う朝霧Jam。アーティストのラインナップが出揃う前にチケットが売り切れることも、大いに頷ける初参加となった。こんなに1日1日を大切に過ごせる機会は滅多にない。にもかかわらず、こんなライブが期待できるのだからリピーターにならざるをえない。「また来年」と、みんなが当たり前のようにSNSやブログで約束している理由がよくわかった。



<“It’s a beautiful day” Camp in 朝霧 Jam>

2017年10月7日(土)、8日(日) 富士山麓 朝霧アリーナ・ふもとっぱら
■Gate Open/Camp In 10月7日(土)10:00
■Show Start 10月7日(土)14:00
■Gate Close 10月8日(日)20:00 予定
※オーバーナイトキャンプ:10月9日(月)11:00まで指定場所でのキャンプが可能
※場外オートキャンプ:10月9日(月)11:00までふもとっぱらでのオートキャンプが可能
(※全券種SOLD OUT)

■10月7日(土)
BELLE AND SEBASTIAN
CARL CRAIG
BICEP(LIVE SET)
D.A.N.
EGO-WRAPPIN'
GARLAND JEFFREYS
LOGIC SYSTEM
MARTHA HIGH with オーサカ=モノレール
MOUNT KIMBIE
SAICOBAB
WILKO JOHNSON

■10月8日(日)
Suchmos
THEO PARRISH
CHON
DJみそしるとMCごはんのケロポン定食
jizue
LORD ECHO(LIVE BAND SET)
NONAME
思い出野郎Aチーム
ペトロールズ
ROTH BART BARON
TXARANGO
UA
Yogee New Waves

■http://asagirijam.jp

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