【インタビュー】2(ツー)、もっと人と繋がりたいという想いを突き詰めて完成させた2nd『GO 2 THE NEW WORLD』

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■最後に「FALL FALL FALL」という曲を形にした時に
■2ndアルバムの意味がここでできたなと思いました


――では、最新作『GO 2 THE NEW WORLD』について話しましょう。本作の曲作りに取り掛かる時は、どんなことを考えていましたか?

加藤:今回は、明確なテーマがありました。1stは完全に初期衝動じゃないけど、バンドの中での爆発感みたいなものを重視したアルバムだったんですが、今回は逆で、内側を向いていたのを、外に向かって広げたいというのがあったんです。1stの時は自分達だけだったけど、そこにお客さんもいて欲しいと思ったし。だから、メロデイーを分かりやすくしたり、アレンジとか構成も分かりやすくしたり、過剰なものをどんどんそぎ落としていったりしました。だから、今回はずっと引き算を意識して曲を形にしていった感じですね。そうやって曲を作っていって、最後に「FALL FALL FALL」という曲を形にした時に、2ndアルバムの意味がここでできたなと思いました。このバンドで初の直球のバラードであると同時に、新しいところにいけたことを感じたから。だから、これは絶対に入れて欲しいと佑太郎君に言いました。

古館:1stを作った時は、「俺らは、これしかないよね」という話を、よくP助としていたんです。自分達は背伸びをするつもりもないし、お互いに前のバンドでいろいろあったけど、新しいバンドを組んで、その喜びを表現するとなると“これだ!”というものしかやりたくなかったから。そういうアルバムを作って、発売して、ツアーを廻っている頃からP助が2というバンドが明確に見えたと言うようになったんです。自分達の核を提示した1stを経て、確固たる自分達の指針が見えたと。その後、あがってきた曲も1stをさらに進化させたものだったり、より人と繋がりたいという想いを感じさせるメロディーだったりしたんです。それに引っ張られる形で、自分が書く歌詞も内にこもったものではなくて、外に飛び出ていこうという気持ちを表現したものになった。今回の『GO 2 THE NEW WORLD』は、そういうものが詰まったアルバムです。

加藤:僕の中に、もっと人と繋がりたいという想いが生まれて曲作りを始めたけど、それを佑太郎君に話したりはしなかったんですよ。でも、僕が“外に向かって開く”ということを意識して曲を作ったら、佑太郎君もそういう歌詞を書いてきた。お互いが求めたものが同じだったことが分かって、その時は嬉しかったですね。


yucco:『VIRGIN』の潔さみたいなものはすごく好きですけど、『GO 2 THE NEW WORLD』は幅が広がっていて、前回とはまた違う良さのあるアルバムになったなと思います。今回の曲で、私の中で特に印象が強いのは「LOVE FEELS LIKE A WAR」です。合宿に行ってアレンジを決めたりしている時に、まだ歌詞ができていなかったのに、みんなで音を合わせていると古館君が“ヨークシャーテリア”と歌っている言葉だけ聞こえてくるんですよ(笑)。それがすごく良いなと思って、そこから入って、この曲がすごく好きになりました(笑)。

加藤:みんな思っていたよね、“今、ヨークシャーテリアって言ったよな?”って(笑)。

一同:そうそう!(笑)

――それは、気になりますね(笑)。「LOVE FEELS LIKE A WAR」は静から動に変わる構成でいながら、2分で終わるというのも絶妙です。

加藤:この曲は『VIRGIN』のイムズを引き継いだ曲で、1stの曲はほとんどが2分くらいなんですよ。1stを作った時に、そういうソリッドさの魅力に気づいてしまって、今回も1曲入れることにしました。ただ、サイズはコンパクトだけど凝縮感があって、面白いものになったと思います。

赤坂:僕は『GO 2 THE NEW WORLD』の中で特に気に入っている曲をあげるとしたら、「BOY AND GIRL」になりますね。ベースから始まるし、露骨にベースが引っ張る曲です。前もベースが引っ張っている曲はあったけど、「BOY AND GIRL」は、“こんなに、ちゃんと前に出て良いんですか?”みたいな感じで(笑)。ベースの弾き甲斐が一番あるし、楽曲自体も好きです。


▲古舘佑太郎

古館:僕の中で印象が強いのは……歌詞の話になりますけど、「NEVERLAND」かな。赤裸々という意味で、この曲は今の自分だから書けたというのがあって。ピーターパンをモチーフにした象徴的な歌詞という体を装っているけど、“年下に大威張り”という言葉が出て来たり、2番で放ったらかしになっているバンドのブログのことを歌っていたりして。今回、最初に歌詞を書いたのが「NEVERLAND」だったんです。これを書けたというのが、自分の中では結構デカかった。前の自分だったら多分全編ピーターパンで押し通して、オブラートに包んでしまったと思うんですよ。でも、今の自分はそれだけでは完結させたくないんです。みんなの日常だったり、身近なものを入れないと人に共感されないということに気づいたから。だから、ネバーランドを題材にしつつ、ネバーランドにはない漫画とか、バンドのブログといったものを差し込むことにしました。歌詞のアプローチを変えていく中で、最初の頃に書いていた歌詞のほうが良かったみたいなことを言われて悩んだ時期もあったんですよ。変わっていった自分を後悔したりとか、16歳の頃とかに純粋に書いていたものが良いんだなと思ったりとか。でも、「NEVERLAND」は、この年齢になったからこそ書けたものなんですよね。だって、16歳の頃には年下のヤツはいないし、やめていくバンドも少なかったし。「NEVERLAND」みたいな歌詞が書けるようになったということも、2というバンドを組んでセカンド・ステージに戻ってこれて良かったなと思える要因の一つになっています。

――続けることの大切さを感じます。「NEVERLAND」は、ドリーミィーな曲調も良いですね。

加藤:「NEVERLAND」も「FALL FALL FALL」とはカラーが違うけど、ある種バラードっぽいというか、ゆったりした曲ですよね。この曲は山下達郎さんの「蒼氓」とかをイメージした部分もあって、リバービィーなサウンドでいくことにして。そこに佑太郎君が書いた「NEVERLAND」というタイトルの歌詞がついて、上手く世界観がマッチングしたなと思います。それに、この曲ができあがった時に、2はこういうものもいけることが分かって嬉しかったですね。


▲加藤綾太

――たしかに「NEVERLAND」を聴くと、繊細さを表現できるバンドだということが分かります。ドリーミィーということでは、アッパーかつドリーミィーという独自の味わいの「UFO CATCHER」も印象的です。

加藤:「UFO CATCHER」も、めちゃめちゃ気に入っています。この曲は唯一四人だけでは再現できないアレンジになっているんです。鍵盤とかシンセ、グロッケンとかが入っていますから。それに、ギターが10何本入っているんですよ。もう何をやっているのか分からないと思う(笑)。その“ザワザワ感”が「UFO CATCHER」というタイトルと連結している感じもあって、これも良いパッケージングになったなと思いますね。

古館:この曲を最初に聴いた時は、イントロとかで“なんじゃ、こりゃ?”と思いました(笑)。これは凄いなと。メロディーを聴いていくうちに、ただの変わり種ではないなと思ったけど、歌詞を書くのに一番苦労したかもしれない。あのメロディーに“ユーフォー・キャッチャー”という言葉を乗せた辺り、わけが分からなくなっていたのかなという気がしますね(笑)。ただ、タイトルから明るい歌詞をイメージするかもしれないけど、今回の中では一番暗い歌詞になっています。最終的にハッピーエンドに落とし込まないといけないという気持ちがあって、いろいろ試みたけど無理だった。でも、アルバムの他の曲がハッピーで、希望に満ち溢れているから、1曲こういう曲があっても良いかなと思って。それで、暗い歌詞のまま完成させました。

――「UFO CATCHER」も、アルバムの重要な要素になっています。では、続いてプレイや音作りなどについて話しましょう。

yucco:2ndを作るにあたって、Pちゃんからデモのまま形にしたいと言われていたんです。なので、デモのドラムを聴いて、それをちゃんと再現することを一番意識しました。そういう中で一番苦戦したのが、「UFO CATCHER」です。機械的なドラムを叩いたことがなかったし、個人的にすごく苦手なんですよ。感情を無にして叩くということに、めちゃくちゃ時間が掛かりましたね。あと、「FALL FALL FALL」と「NEVERLAND」は2に入って初のバラードということで、古館君と一緒に歌う気持ちで叩くということを大事にしましたね。特に「NEVERLAND」のほうが、そういう気持ちが強かったです。

――「NEVERLAND」のゴーストを活かした繊細なビートは絶妙です。逆に、この曲のドラムは自分らしいなと思う曲をあげるとしたら?

yucco:どうだろう? ……「SAME AGE」かもしれないですね。

古館:俺も、そう思った。

yucco:でしょう? 人間味のあるリズムを叩いているし、1曲の中でダイナミクスも効かせていて、この曲は自分らしいなと思います。

加藤:yuccoは、8ビートがカッコいいんですよ。うちのバンドは8ビートばかりで、いつもyuccoのドラムに引っ張ってもらっています。

yucco:……改めて言われると恥ずかしい(笑)。でも、メンバーにそう言ってもらえて嬉しいです(笑)。

赤坂:ベースは、1stの時は衝動感というか、前に行きたがる気持ちがありつつ、それを抑えるみたいな気持ちでベースを弾いていたんですけど、今回はそういう感覚で弾くと良さが出ない曲もあって。なので、基本的に“ちゃんと、どっしりと下にいるベース”ということを意識しました。「SONG FOR YOU」は、最初は1stの時と同じような気持ちで弾いていたけど、全然良くなくて。それで、“自分がこう”ではなくて、ちゃんと下を支えて、リズムの縦を揃えることを意識したら良くなりました。ただ、「SAME AGE」みたいに1st寄りの気持ちで弾いている曲や、さっき話した「BOY AND GIRL」みたいにベースが前に出ている曲もあったりして、幅広さを出せたんじゃないかなと思います。


――それぞれの楽曲に合わせて、メリハリを効かせたんですね。それに、常に弾力感のあるベースを弾かれていることもポイントです。

赤坂:僕は、無表情なベースを弾く気はないので。基本的にシンプルですけど、人間味とか、強弱といったことを大事にしていて、それが今言われた弾力感みたいなものに繋がっている気はしますね。特に「FALL FALL FALL」とかはそれが出ている。最後のサビとかはちょっと走ったかなという感じがあったけど、逆に感情の高まりがベースに出ている気がして、それが良かったんです。なので、そのまま活かすことにしました。

加藤:ギターに関しては、歌の後ろで何を弾くかを、しっかり考えた気がしますね。サビとかは上のほうでピロピロするんじゃなくて、あえて佑太郎君と同じようにコードにしたりとか。上物を弾くことを否定しているわけではなくて、このアルバムに関してはいらないなと思って、全体的にギターはあまり主張しないようにしました。目立つべき場所では目立つけど、ギタリストとしてではなくて楽曲に必要な要素としてフレーズやリフを弾いていて、それ以外の歌がしっかりいるところは後ろに下がってコードを弾くという感じのギターになっています。

――とはいえ、決して地味なギターではなくて、いろいろなアプローチを効果的に使っています。

加藤:そう。実は、いろいろやっています。個人的に気に入っているのは、「MY FRIEND IN NEW YORK」。ちょっとハワイっぽいリフが出てくるんですけど、それが難しくて。上手に弾けるかなと思って、緊張してレコーディングに臨んだんです(笑)。

――ハワイが出てくる歌詞に合わせて、ハワイ感のあるフレーズを弾かれたんですね?

加藤:いや、実はそれは逆だったんです。

古館:あのフレーズが先にあって、それを聴いた僕がハワイを連想して、そこから歌詞を広げていったんです。ここでハワイと言いたいから、逆算して歌詞を書いていく…みたいな。だから、あのリフがなかったら、絶対にこの歌詞にはならなかったですね。

加藤:佑太郎君がリフと歌詞をリンクさせてくれたのは嬉しかった。それも含めて、今回のアルバムの中でも僕は「MY FRIEND IN NEW YORK」のハワイ・リフが一番気に入っています。結構難しいからレコーディングで苦労するかなと思ったけど、サクッと録れたし。それに、録ったら、「これ、めっちゃ良いじゃん!」みたいになったんですよ。ということは良いんだなと思って安心しました。

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