【インタビュー】GRAND FAMILY ORCHESTRA、どうしてもこの曲をやりたいと思って作ったシングル「オー晴レルヤ!!」

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バンドマンなら、自分たちの音楽をできる限り多くの人たちに届けたい、聴いてもらいたいと思うのは当然のこと。ただし、その思いをただ聴き手側の能動的な行動に委ねているだけでは、きっと何も起こらないし変わらない。GRAND FAMILY ORCHESTRAは、2018年3月よりこれまでCDでリリースしてきた過去作を配信サービスとYouTubeに全曲アップロードするという、バンド自らリスナーに積極的にアプローチする方法でその思いを少しでも前に進めようとしている。今回、メンバー全員へのインタビューを行い、楽曲開放への思いと4月15日からリリースされる会場・web限定シングル「オー晴レルヤ!!」収録の2曲について、そして彼らにとってバンドマンであり続ける理由はどこにあるのかを掘り下げてみた。きっと、GRAND FAMILY ORCHESTRAというバンドのよりパーソナルな部分を知ってもらえるはずだ。

■僕らはライヴに人が来ることを一番のプライオリティに置きたい
■だから全曲を聴ける状態にしてみようという考え方から始めました


―3月3日から過去作を全曲、配信サービスとYouTubeにアップロードしたことが話題になりました。改めてどんな意図があったのか教えてください。

松山晃太(Vo.G・以下、松山): “何を以てバンドの成功とするか”について、ひとまずみんなで話し合ったんです。バンドをやっている以上は何かしら目的があるはずだから。楽しくやれればいいのか、売れたいのか、それぞれ色々あると思うんですけど、GRAND FAMILY ORCHESTRA(以下GFO)の目的、目標っていうのは何なのかっていうことを話し合った結果、僕らはライヴに人が来ることを一番のプライオリティに置きたいという結論になった。色んな成功例があると思うし、CDがたくさん売れたりとか知名度が上がるっていうのもその一つだと思うんですけど、僕らはお客さんにライヴ会場に足を運んでもらって、その中で最高のパフォーマンスをするっていうことが、一番の目的。そういう風に位置付けたときに、自分たちで能動的にできるきっかけみたいなものがあればなと思ったんです。今だったら海外なんかでもそういうやり方が主流になってきていると思うんですが、ひとまず今の段階で全曲を聴ける状態にしてみたらどうだろうという考え方から始めました。

――CDになっているものをすべて開放するというのは、色々と大変なこともあると思うのですが。

松山:僕らは自主製作という形をとっているので、そこは特に問題なかったです。逆に言うと、自分らの限られた財産っていう考え方からすると、ちょっとリスキーじゃないかっていう考え方はあるんですけど。ただ、それを聴いてもらうことで、PVになっていない曲でも、ライヴでどんどんやっていける。これはバンドマンあるあるだと思うんですが、ワンマンじゃなくて30分くらいのライヴの持ち時間のときに、「この曲知ってる人が少ないし外そうかな」って思ってしまうことって結構あると思うんですよね。それをまず僕らはなくせるっていうメリットがすごくあるんじゃないかなって思っています。


▲松山晃太

――そういう話はもちろんメンバー間で意思疎通が絶対必要になりますよね。

千葉龍太郎(B・以下、千葉):施策自体の話というよりは、「もっとGFOの音楽を広げるにはどうしたらいいのか」というところから出たのが今回のYouTubeの話だったので、自分にとっても新しい形だしチャレンジだと思っています。

ピクミン(Dr):最初にこの話が出た時に、どうなるかわからないし、正直損な気もしたんです。でもライヴを中心に活動を考えたときに、新曲はさておき、曲を知ってもらっているというのはお客さんに対しても強みだと思うんです。ライヴをする上で、お客さんが知っている状態でその曲をやるのと、何となく良い曲だなっていう状態でその曲をやるのでは盛り上がりが違う。良いライヴをすることを優先的に考えたら良いことだなって。

森山良太(G・以下、森山):僕たちって、生まれたときからPCがあったわけじゃない環境で幼少期を過ごしてきていて、所謂デジタルネイティブな世代ではないんですよね。YouTubeもなくて配信もなくてCDを買ったり借りたりしてカセットテープに落としてっていう、まだモノに対する親和性がある世代。でも時代の流れとして次のフェーズに来ているというのは肌感で感じているところはあります。PCにもうCDドライヴがついてない時代の中で、CD盤を作っても聴ける環境のない人には絶対届かないっていうのはどうしてもあると思うし、音楽データって結局データだし完璧な複製ができてしまうので、その権利ってもう守りようがないと思うんです。データになって複製がきくものについてはどんどんパブリックにしていくっていうのが、今後の流れとしては今の世の中には合っているし、今の日本においては一歩先を行く動きとして布石を打てているんじゃないかなと思っています。

OCHAN(Gt&Key):全部放出してしまうというのは、ネガティヴな考え方もあると思うんですけど、自主制作で出しているからこそできるということもありますし、僕自身、全部音源を出すことでどうなるのかなっていう興味はすごくありました。だから今それができる環境でできるっていうのはいいなって思いました。あとはみんなが曲を知るきっかけになって、ライヴで盛り上がるようになったらいいんじゃないかな。

――まだ1ヶ月程度しか経っていないですけど、現時点で感じている反響はありますか。

松山:地道に広がっている気がするのと、ライヴをやったときに少しずつですけど反響は感じています。例えばお目当てのバンドがいて、対バンをなんとなくチラッと聴いてみたとして、そういう人たちが見るときにだいぶ変わってくる気がするんです。フィルターが外れ気味になるというか、もっと親しみやすくなるというか。あと、これは不思議なんですけど、最初は「全曲公開したらもうCD売れなくなっちゃうね」なんて言っていたんですよ。それで公開したら、通販のCD予約がバシバシ入ってきて。それは嬉しかったし、「そういうものなの!?」みたいな。僕もそうですけど、ネットにあろうがなかろうが、良いもの、欲しいものは買いますよね?だから別に大丈夫なんだなと思いましたね。


▲森山良太

――新作の「オー晴レルヤ!!」はCDとデジタルリリースですね。前作「EUREKA E.P.」は、新体制初の音源ということで明確な意思と心情が伝わってくる作品でした。今作はどんな1枚にするつもりで制作しましたか。

松山:そもそも、次のフルアルバムを視野に入れて曲を書いているんですけど、この2曲に関しては制作期間でいえばたぶん1週間くらいです(笑)。なんとなくパーツパーツはあるけど歌詞も乗ってなくてフルコーラスが1曲もできていないっていう状況の中で、弾き語りで良い感じの曲ができた。それが「オー晴レルヤ!!」なんです。レコーディングまで1週間くらいしかなかったんですけど、でも「どうしてもこの曲をやりたい」と思ってしまって(笑)。それで無理を言って作ったんですけど。

千葉:やるとなったらやるタイプなので(笑)。

ピクミン:「オー晴レルヤ!!」を合わせたときに、結構感触が良かったんですけど、その前にやる予定の曲もあったので、僕や千葉は「この曲は次のリリースに回したい」って言っていたんですよ。でも(松山に)「今やりたいものをやらないと意味がないでしょ?」って言われて。「はい、わかりました」って。腹をくくったというか。

一同:ははははは!(爆笑)。

松山:「次に回したい」っていう発言が出るっていうことは、みんな最初に合わせた感触が結構良いと思っているということですよね? それを後に取っておくっていう発想がそもそも僕にないんですよ。もちろん、リリースのタイミングとかがあるのもわかるんですけど、気持ちが醒めちゃうのが嫌で。やっぱり一番熱いうちに打たないと嫌なんですよね、どうしても。だからこそすごく良い音で録れたと思うし、結果やって良かったなって。


――今回、2曲ともシンセの音がすごく良い仕事をしている感じがします。

OCHAN:ありがとうございます、嬉しいです。今回僕はギターを弾いていないんです。この曲は最初に全員で合わせたときにカッコイイなって思ったんですけど、ギターじゃなくてシンセでいいんじゃないかって。最初に合わせたときの衝動のままできた気がします。

松山:今回、僕と良ちゃん、OCHANの上モノのイメージが珍しく最初のセッションの段階で完成形に遠くないところにいたんですよね。だからあんまり苦労しなかったというか、「きっとこんな感じで完成するんじゃないかな」っていうイメージが三人とも近かったと思う。それが今回功を奏したというか。偶然だったんですけどラッキーだったなと思っていて。

森山:自分は行程として後乗せすることが多かったんですけど、OCHANの立ち回りがバンドにすごくフィットしてきたというのもあって。前回のインタビューでもお話させていただいたんですけど、ギターが3本あると、どうしても自分の居場所を探すのが難しくなってくるんですよね。ベーシックができた後にどこの隙間を縫っていこう、どう色を付けよう、というのを家に持ち帰って創るっていうやり方が多かったんですけど、OCHANが今回、リズムに近い部分だったり、上で逃げるところだったり、自分のポジションを見つけてくれたことで、そこの間をギター2本で縫っていくのは、前作、前々作に比べてはるかにスムーズだったと思います。

――千葉さんは以前、ベーシストとして曲に1本の線を通すのが役割だということもおっしゃっていましたが、この曲に対してはどうアプローチしましたか。

千葉:この曲は、最初に求められた器が大きかったんですよね。今まではみんなが良い意味で、自分が何をやるかっていうことが不明確だったものが、今作からすごく明確になっていったんです。それによって自分の行く場所もおのずとわかっていった部分もあったからこそ、ベースっていうものの奥深いところをめちゃくちゃ求められたんです。曲としては、俺はポップスだと思っているんですけど、松山さんはすげえファンキーなことをやっているし、「そこのすべての中間を取れ」みたいなことを求められて(笑)。だから一番濃かったし大変でした。「ファンキーかつJ-POP」って言われたので。

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