【インタビュー】HER NAME IN BLOOD、“自然な生き方”としてのバンド・遊び・筋肉

ツイート


HER NAME IN BLOODが、4月4日にニューアルバム『POWER』をリリースした。メタルをベースに据えながら、ラウド、ハードコア、パンクを血肉化し、強靭かつキャッチーな音楽性を発信しながら、近年さらに鍛え上げられているIKEPY(Vo)の肉体美も(!)確実にその輪を広げている彼ら。今回BARKSでは、新作の内容とともに、2017年4月に新ドラマーMAKIが加入したことで起きた変化とブレないバンドの軸などについて、ライターのヤコウリュウジ氏がIKEPY、DAIKI(Gt)、MAKOTO(Ba)とともにたっぷり語り合った。

  ◆  ◆  ◆

■ シンプルな強さって、どんな環境でも活きてくる

── 2016年9月に発表した3rdフルアルバム『BAKEMONO』は、バンドの真骨頂であるシャウトのみならず、メロディーを歌う場面も増えた意欲的な作品でしたよね。そこからの流れを踏まえると、アプローチの選択肢は様々だったのかなと思いますが、新作に対してどういったイメージを持ちましたか?

MAKOTO(Ba):今回は、自分たちが持つ“シンプルでキャッチーだけどヘヴィ”っていう音楽性をさらに推し進めようとしましたね。『BAKEMONO』もそのときの各々が聴いてたモノ、考えてたことやライヴの規模であったり、いろんな要素が入っていたんですけど、メンバーも替わって、今一度チャレンジしました。

── あらためて、『BAKEMONO』のリアクションはどうでした?

MAKOTO:いいリアクションをもらったなという自負はありますね。(曲作りの中心を担う)DAIKI(Gt)は意識してなかったけど、“日本のバンドが作った”というアイデンティティもあったし。

IKEPY(Vo):ただ、振り返ってみると、今回の『POWER』に比べるとそこまで変化があったわけじゃないとは感じてて。

MAKOTO:うん。あのときなりのチャレンジはあったんだろうけど。

── シンプルさやキャッチーな部分を意識したということでしたが、どうしてそこへ向かっていったんでしょうか?

MAKOTO:ライヴをやっていくうちに、というのは凄く大きいですね。メンバーみんなも感じてたと思うんですけど、あんまり複雑なプレイをやっても、音響が整ってない環境だとわからないというか。それだと自分たちも楽しくないし。

── レコーディングスタジオのモニタースピーカーや、高解像のヘッドホンだからこそわかる部分もありますしね。

MAKOTO:正直、自分も好きなバンドを観に行ったときに「(細部までは)わからないな」と感じることもあるんです。そういったとき、シンプルな強さってどんな環境でも活きてくるし、自分たちがいいなと思うのはそういう楽曲であったりもするんですよね。まあ、今回だってもちろんプログレッシブな曲もやってるんですけど(笑)。

── そこはメンバーで統一された感覚でした?

DAIKI:そうですね。メンバーのルーツを掘り下げてみると、結局はシンプルなヤツが好きなんじゃないかなって。あと、特に何も意識しないで作った部分も大きいです。やってて楽しいのがいちばんだと思ってるので、お客さんも自分らも楽しめる曲をやりたいですしね。

MAKOTO:僕ら、プログレッシブ志向ではないんですよ。

── これまでも、あえてプログレッシブにしてたということはなかったと。

MAKOTO:インディーズでの1stフルアルバム『DECADENCE』から考えると、だいぶ面倒くさいことをやってきたんですけど(笑)、そこだけに向かってたということでもなくて。

DAIKI:その時期に聴いてたモノからの影響は結構あるかもしれないですね。

── 柔軟なスタンスではありますが、軸がブレるような怖さは?

DAIKI:あんまり無いかもしれないです。それをモロに出すわけでもないし、上手く吸収するというか。そこらへんはわりと柔軟にできるバンドなんですよ。

MAKOTO:あと、IKEPYが歌えば大丈夫みたいな感覚がありますね。

DAIKI:うん、IKEPYが歌えばハーネームになる。あと、いろんな音楽から影響を受けて、いろんなモノを吸収するけど、みんな根っこにあるハーネームらしさはちゃんとわかってるんで。





── 制作時期によく聴いていた音楽は具体的に何かありました?

MAKOTO:直接の影響は受けてないけど、パラモアの新しいアルバム(5th AL『After Laughter』)はよく聴いてましたね。あと、ルーツであるストラングアウトとか。

DAIKI:スラッシュメタルやハードコアとか、そっち系ばっかり聴いてました。日頃から好んで聴いてはいるんですけど、その時期は特に。

IKEPY:僕はメロディアスなハードロックを聴いてたと思います。いちばん聴いてたのはハーレム・スキャーレムで、あとはミスター・ビッグやボン・ジョヴィとか、ベタに日本人ウケするような(笑)。

── この3人でも三者三様で、どこかに偏ることもなく。

MAKOTO:そうっすね。今、Spotifyでメンバーがオススメなプレイリストを公開してるんですけど、各々に好きなモノがあって、それぞれが「君のもいいね!」みたいなスタンスだし。いい意味で、僕たちは音楽オタクなんですよ(笑)。自分たち自身もよくライヴを観に行くし、音楽を聴くのが凄く好き。

DAIKI:だから、みんなが好きなことを「じゃあ、やっちゃえばいいじゃん!」っていう(笑)。何かに寄せることなく、上手く吸収して、いろんな曲があってもいいんじゃないのかなと。

── そういった話をうかがうと、このバラエティ豊かな『POWER』はそのスタンスが如実に出てますよね。

DAIKI:とは言え、振り切ったのかなとは思ってます。

MAKOTO:今回、新作へ向けてたくさんのデモを作ったんですけど、その中で生き残ったデモは振り切ったモノだったというか。

── 結果的に振り切ったモノが残ったような?

MAKOTO:最初から振り切ろうとして作った曲もあるんです。今までやってこなかったことだったり、そもそもはハーネームでやる為に作ったわけじゃなかったけど、「こんなのもあるんだけどさ」とメンバーから提示されて、取り組んでみた曲もあったり。意図せずなところも意図したところも両方があったと思います。

◆インタビュー(2)へ
この記事をツイート

この記事の関連情報