【インタビュー】wyse、手塚アニメへの愛とコラボ作品を語る「後世に自慢できる一生もの」

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wyseが9月26日、手塚プロダクションとのコラボシングル「ヒカリ」をリリースする。全3タイプのシングルのジャケット画像は“wyse20th+OSAMU TEZUKA90th=110万馬力”企画として手塚アニメとwyseメンバーの融合が実現したもの。アートワークのみならず、楽曲は漫画史に燦然と輝く手塚作品をイメージして書き下ろされていて、表題曲の「ヒカリ」は手塚治虫が描き続けてきた世界観に通じる“光と影”をモチーフに制作されたナンバーだ。カップリングに収録されているのは「僕のヒーロー」(鉄腕アトム)、「Link」(ジャングル大帝)、「Blue Moon」(リボンの騎士)で、それぞれの作品から受け取ったイメージをwyseのフィルターを通して楽曲として昇華した。

◆「ヒカリ」トレーラー 動画

今回のコラボを「夢のよう」「後世に自慢できる」と語るメンバーに手塚治虫氏への愛をたっぷり語ってもらいつつ、この企画が実現したからこそ生まれたメッセージとロマンあふれる曲たちについて裏エピソードを含めて聞いたインタビューは1万字以上。4人の想いが溢れ出すものとなった。なお、wyseは9月29日を皮切りに<wyse20th+OSAMU TEZUKA90th=110万馬力 COLLABORATION TOUR「ヒカリ」>と題して全国ツアーを開始。ライブも含めてのコラボ企画となり、4ヵ所8公演に来場した方には、それぞれの会場でコラボレーションツアーを記念した限定グッズが配布されることになっている。

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■人生レベルで普通に考えて
■ありえないことだと思う

──手塚プロダクションとのコラボシングル「ヒカリ」は「鉄腕アトム」「ジャングル大帝」「リボンの騎士」をモチーフにした作品となっていますが、この特別な企画が実現したいきさつを教えてください。

TAKUMA:来年wyseが20周年を迎えるに当たって、いろんな方たちと出会う中、音楽を通して新しい取り組みをしてきたんですけど、「もっと何かできないかな」と思っていたんですね。そんな中、手塚プロダクションさんがいろいろな方やモノとコラボしていることを知って「何か一緒にさせていただけるってあり得るのかな?」っていうところから始まったんです。で、オファーをしたら、絵を描いてくださることになったんですね。しかもwyseのメンバーの絵を描いて手塚さんの世界とコラボしたものを作ってくださる流れになって。「だったら、その絵をジャケットにしてCDを作りたいよね」っていう話から、結果、4作品も描いていただけることになったんです。

▲月森(Vo)

──今回のジャケットの案はメンバーから提案したんですか?

MORI:承諾を得てから僕と月森でまず手塚プロダクションさんに打ち合わせに行かせていただいたんです。それでこちらから、“こういうものを作りたいんです”って月森がラフ画を持っていって、僕はロゴやパッケージを提案させていただきました。

月森:そう。メンバーを描いていただけるというお話だったので、雰囲気がわかるラフ画を僕が持っていったんです。「鉄腕アトム」のアトムや「ジャングル大帝」のレオ、「リボンの騎士」のサファイアを描いていただけるなら、wyseのメンバーとどんなふうに絡んで遊ばせてもらおうかなって。

──名作の主人公とメンバーが絡んでいる絵になっているのが夢があるというか、手塚治虫ファンもうらやましいのではないかなと。

TAKUMA:光栄というか、夢のようというか、単純に嬉しいですね。人生レベルで普通に考えてありえないことだと思うので。

月森:僕はTAKUMAからオタクと言われるほどマンガやアニメが好きで、ずっとwyseでアニメのタイアップをもっとしたいなと思っていたんですけど、このタイミングで漫画界のトップレベルの手塚治虫先生とコラボできるなんて、これ以上の周年はないだろうなと思いました。

──日本のマンガを変えた巨匠ですものね。

月森:もう恐れ多くもあり。しかも楽曲をリリースして終わりではなく、ツアーを含めてのコラボレーションですからね。


▲<wyse20th+OSAMU TEZUKA90th=110万馬力>

──「鉄腕アトム」や「ジャングル大帝」「リボンの騎士」をリアルタイムで読んだり見たりしたのはもっと上の世代だと思いますが、メンバーみんな手塚さんの作品に触れていたんですか?

TAKUMA:月森もHIROもMORIもどっぷりだし、リアルタイムではないですけど、例えば「鉄腕アトム」ってすごく身近な存在なんですよね。深いファンの方に比べると当然無知である僕が、それでもアトムのオモチャやグッズは持っていたし、Tシャツも好きで着ていたし、手塚作品には小さい頃からとても自然に触れていたんです。

HIRO:ファミコン世代なので僕は“火の鳥”のゲームソフトを持ってましたね。手塚治虫さんのマンガは普通に教材として学校の図書室にあるものだったんですよ。それぐらい身近で。

TAKUMA:親が好きだったり、本当に自然と自分たちの生活に入り込んでいたし、HIROが言ったように学校にある時点で、当時、僕らが見ていたアニメやマンガとは少し違う立ち位置にある印象でしたよね。

HIRO:だから、今回のコラボが決まったときには率直に「嘘でしょ?」って思いました。絶対に断られると思っていたから、「え? しかも絵まで描いてくださるんですか?」って。自分たちまで手塚作品のタッチで描かれているって「これは一生ものだな」って。後世に自慢できる(笑)。

月森:頑張っていれば、いいことがあるんだなって思いました。

──「ジャングル大帝Disc」なんて主人公のレオがドラマーとしてwyseに参加していますもんね。

HIRO:そうなんですよ。親や友人にすぐ報告しました(笑)。ビックリして、うらやましがられました。それだけにコラボレーションが決まってからはプレッシャーしかなかったですけど(笑)。作品を汚さないようにって。

──MORIさんにとっての手塚治虫さんは?

MORI:僕が小学校を卒業するかしないかの頃に手塚先生が亡くなられたんです。それで愛蔵版であったり、文庫サイズのマンガがたくさん発売されていたので、触れやすかったのかもしれないですね。あと子供の頃は勧善懲悪モノみたいなマンガが好きだったんですけど、中学生ぐらいになると背伸びしたくなって、手塚先生のディープでダークサイドを感じるマンガに影響を受けましたね。

──ちなみにどんなマンガですか?

MORI:僕は「きりひと讃歌」っていうマンガが好きなんですよ。人間の残酷なところもピュアなところも描かれているんですけど、影があった上での正義というテーマがすごく刺激的で。

月森:僕も「きりひと讃歌」は中学生のときに読んでいちばん好きかもしれないですね。

MORI:今回のジャケットに描かれている3作品はとてもイメージしやすいものだと思うし、「鉄腕アトム」を読んだことがない方でもアトムは知っていると思うんですよ。それぐらい有名な作品ですよね。でも、3作品にも悲劇的な部分があって、だからこそ輝いていたりするんですよね。

月森:そう。「鉄腕アトム」もわかりやすい“アトム”というアイコンがあって、子供が楽しめるマンガなのに、大人が見ても考えさせられるっていう。深いんですよね。

HIRO:「鉄腕アトム」は国産アニメの第1号の作品なのでリアルタイムでは見ていなくても再放送で見ていたし、アトムの主題歌はみんなが知っているレベルじゃないですか。そういう作品とコラボレーションするに当たって楽曲でどうアプローチしていくかっていうのがさっきのプレッシャーの話に繋がるんです。wyseはwyseらしくっていう部分を押し出すだけではコラボレーションの意味がないと。詳しくは曲を作ったTAKUMAが語ってくれると思います(笑)。

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